『ありがとうの花』など作詞作曲、坂田おさむさん
NHKの人気番組『おかあさんといっしょ』に楽曲を提供している、シンガーソングライターの坂田おさむさん。坂田さんは同番組の7代目歌のお兄さんでもあり、ママたちの中には当時『おかあさんといっしょ』で観ていた方もいるでしょう。
歌のお兄さんに就任した当時、坂田さんは3歳の女の子のパパでした。子育てをしながら歌のお兄さんとして活躍し、現在まで30年以上も子供のための歌を作り続ける坂田さんに、子育てや作詞作曲への思いを聞きました。
テレビでは「歌のお兄さん」、自宅では「パパ」
Ⓒ坂田おさむ
――1985年の歌のお兄さん就任時、すでにお子さんがいたそうですね。
そうなんです。当時3歳の娘がいました。
もともと僕はシンガーソングライターとして活動していて、フォークやロックなどいろんなジャンルの曲を作って、歌っていました。結婚して娘が生まれて、彼女をモデルにした『はるのかぜ』という曲ができてね、『おかあさんといっしょ』に持ち込みをしたんです。この曲がきっかけになって、NHKに出入りするようになりました。何度かスタッフの方とお話をする中で「今度歌のお兄さんのオーディションをするんだけど、やってみないか」と言われてね。思い切ってオーディションを受けたんですよ。
子供がいることは秘密だったわけではなく、スタッフの方もみんな知っていたんだけど、視聴者はそうは思わなかったかもしれないよね。今の歌のお兄さんにある「恋愛禁止」のイメージからしたら、珍しいだろうね。
「私のパパは歌のお兄さんなんだよ」幼稚園で自慢のパパ
――娘さんは『おかあさんといっしょ』を見て、どんな反応でしたか?
娘は、僕の前に卒業したお兄さんが好きだったので、就任して最初の放送はそんなにうれしそうじゃなかったみたいです…。僕は仕事で一緒に見られなかったんだけど。
でも、幼稚園に通うようになると友達に「私のパパは歌のお兄さんなんだよ」なんて、自慢していたみたいですね。仕事終わりに家に帰ると、娘と友達が数人待っていて「ほら、本当に歌のお兄さんでしょ?」って、娘が僕を自慢気に指さしたことがあります。その日は疲れていたんだけど、さすがに子供たちを放って休むわけにもいかず、一緒に一曲歌いましたよ。娘にもメンツがあるでしょうから、それをつぶすわけにはいきませんでしたね。