梅毒症例1,117例のうち、106例は妊婦
国立感染研究所によると、2019年の第1週から第26週の約6ヶ月間に、届け出があった女性の梅毒症例は1,117例に。そのうち妊娠しているとされる症例は106例でした。
梅毒に感染している妊婦106例のうち、中でも多いのは、性風俗産業従事歴のない20代後半から30代前半の女性で、感染源が男性パートナーである可能性があると示唆しています。
梅毒の母子感染は死産や先天性梅毒のリスク
梅毒の症状はさまざまで、中には無症状の場合もあるため、本人が気づいていないうちに感染している場合も。
妊娠中に梅毒に感染すると、胎盤を通じて胎児にも感染し、死産や早産、新生児死亡、先天性梅毒を発症するリスクが伴います。
- 国立感染症研究所「感染症発生動向調査における梅毒妊娠症例 2019年第1,第2四半期」(https://www.niid.go.jp/niid/ja/syphilis-m-3/syphilis-idwrs/9176-syphilis-191023.html,2019年12月11日最終閲覧)
- 厚生労働省「梅毒に関するQ&A」(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/qanda2.html,2019年12月11日最終閲覧)
- 国立感染症研究所「本邦における先天梅毒発生予防に向けて―感染症発生動向調査報告症例におけるリスク因子の検討―」(https://www.niid.go.jp/niid/ja/syphilis-m/syphilis-iasrd/3456-kj3985.html,2019年12月11日最終閲覧)
梅毒はコンドームで防ぎきれない性病
梅毒は、主に性的な接触によってうつる感染症。感染者と性的な接触がない限り、感染の可能性はありません。感染経路は、感染部位と粘膜や皮膚の直接の接触。具体的には下記になります。
- 膣(ちつ)性交
- 肛門性交(アナルセックス)
- 口腔性交(オーラルセックス)
梅毒は、対策としてコンドームを着用していたとしても100%の予防にはならず、アナルセックス(肛門性交)やオーラルセックス(口腔性交)でも感染する可能性が高いのが特徴です。
自分だけ、相手だけが治療しても再感染する可能性があるので、パートナーも含めて完治させることが重要です。
- 厚生労働省「梅毒に関するQ&A」(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/qanda2.html,2019年12月11日最終閲覧)
- 国立感染症研究所「本邦における先天梅毒発生予防に向けて―感染症発生動向調査報告症例におけるリスク因子の検討―」(https://www.niid.go.jp/niid/ja/syphilis-m/syphilis-iasrd/3456-kj3985.html,2019年12月11日最終閲覧)
予防には、パートナーも含めた定期的な検査を
先天性梅毒は、妊娠中でも早期に診断および治療を行うことで防げる疾患。
妊婦は、基本的に妊娠初期の血液検査で梅毒の検査が行われるので、検査時にすでに感染している人はすぐにわかります。しかしパートナーの検査はなく、妊娠初期の血液検査後にパートナーから感染してしまう可能性もあります。
万が一の場合に備えて、パートナーにも自分で病院を受診し血液検査をしてもらいつつ、梅毒に感染した際のリスクを共有していきましょう。妊娠中の性交渉の際には、オーラルセックスも含めて毎回必ずコンドームを使用し、感染には十分注意してください。
- 厚生労働省「妊婦健康診査で実施する標準的な審査項目について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001ylvj-att/2r9852000001ymao.pdf,2019年12月11日最終閲覧)
- 国立感染症研究所「本邦における先天梅毒発生予防に向けて―感染症発生動向調査報告症例におけるリスク因子の検討―」(https://www.niid.go.jp/niid/ja/syphilis-m/syphilis-iasrd/3456-kj3985.html,2019年12月11日最終閲覧)