月10万円もらいながら無料の職業訓練が受けられる「求職者支援制度」
ひとり親に限らず、就職・転職を希望する方を対象とする制度です。この制度は、月10万円の給付金をもらいながら、無料の職業訓練を受けられます。
働く意思と能力のある方のうち、ハローワークに求職申し込みをしていて、雇用保険被保険者、雇用保険受給資格者でない方が受講の対象です。
実際にこの制度を利用して職業訓練を受講した方からは「生活の心配をせずに訓練に集中できました」、「経験豊富な講師のおかげで理解が深まり、働く意欲が高まりました」といった声が上がっています。
もらえる人
給付金をもらいながら訓練を受けられるのは、以下のような方です。
- 雇用保険の適用なく離職した
- フリーランス・自営業を廃業した
- 雇用保険をもらっていたが、受給期間が終了した
- パートタイム勤務をしながら正社員を目指している
上記の条件のいずれかに当てはまる方のうち、本人の収入が月8万円以下、かつ世帯全体の月収が25万円以下などの収入、資産などの要件を満たせば、給付金を受け取りながら訓練を受講できます(令和3年9月末までの特例として、シフト制で働く方などは本人の収入が月12万円以下でもOK)。
また、条件を満たさない場合でも、給付金を受け取らずに無料の職業訓練を受講できます。
もらえる金額
給付金の受給資格が認められた場合、以下の金額を受給できます。
- 訓練受講手当:月10万円(訓練期間に応じて月ごとに支給)
- 通所手当(定期代などの交通費):月上限4万2500円
- 寄宿手当:月1万700円
寄宿手当とは、家族と別居して寄宿(訓練施設に付属する宿泊施設やアパートなど入居)するときの手当を指します。通所の往復時間が4時間以上かかるなど、住居の変更が必要であるとハローワークが認めたときにもらえます。
なお、給付金を受給しても、訓練期間中の生活費が不足するときは、資金を融資する制度(求職者支援資金融資)があります。扶養家族がいる場合は、月10万円×給付金の受講予定訓練月数まで借りられます。利率は2%(うち信用保証料0.5%)で、担保・保証人は不要です。
訓練コースの内容
受けられる職業訓練コースは多種多様です。例えば以下のようなコースがあります。
- 営業・販売・事務分野:OA経理事務科、営業販売科
- デザイン分野:WEBデザイン科、広告・DTPクリエーター科
- IT分野:WEBアプリ開発科、Android/JAVAプログラマ育成科
- 医療事務分野:医療・介護事務科、調剤事務科
- 介護福祉分野:介護職員初任者養成科、介護実務者養成科
- 理容・美容分野:ネイリスト養成科、エステティシャン養成科、アロマセラピスト養成科
訓練期間は2~6か月ですが、シフト制で働く在職者の方々などを対象に2週間からのコースもあります。
特に事務、デザイン、IT分野のデジタル系の訓練コースは、訓練の受講を通じて取得を目指せる資格が豊富にあり、就職活動に生かせる内容です。
また、託児サービスのある訓練コースもあります。訓練内容とサービス内容をよく確認して、ご自身が無理なく受講できるものを探してみましょう。
厚生労働省「就職につながる『デジタル分野の職業訓練(求職者支援訓練)』を受講しませんか」
もらうための手続き
お住まいの地域のハローワークに、まずは気軽に問い合わせてみましょう。そこで職業相談をした上で、訓練の申し込みなどの手続きを行います。
より専門的な資格をとるなら「高等職業訓練促進給付金」
看護師、介護福祉士などの専門的な資格を取るために1年以上学ぶ場合「高等職業訓練促進給付金」がもらえます。また、2021年4月から対象期間・訓練が拡充され、以前より受給しやすくなりました。
もらえる人
20歳に満たない子どもを養うひとり親、かつ以下の要件を満たす人となっています。
- 児童扶養手当の支給を受けているか又は同等の所得水準にある
- 養成機関において1年以上のカリキュラムを修業し、対象資格の取得が見込まれる
- 仕事または育児と修業の両立が困難
もらえる金額
もらえる金額は市町村民税の課税、非課税によって以下のように異なります。
- 市町村民税非課税世帯:月10万円
- 市町村民税課税世帯:月7万500円
ただし、養成課程修了までの最後の12か月は、支給額が以下のように上がります。
- 市町村民税非課税世帯:月14万円
- 市町村民税課税世帯:月11万500円
つまり、最大で月14万円の給付金が受けられます。
対象となる資格
給付の対象になる資格は、例えば以下のようなものです。
- 看護師
- 介護福祉士
- 保育士
- 歯科衛生士
- 理学療法士
- 保健師
- 助産師
- シスコシステムズ認定資格
2021年4月から2022年3月までに修業を開始した場合、養成機関で6か月以上学ぶ必要がある、デジタル分野等の資格取得も給付対象として拡充されています。
もらうための手続き
お住まいの市区町村(または都道府県)の児童(ひとり親家庭)福祉課が窓口です。相談の上で受講を検討し、手続きを進めましょう。
国の制度を使って収入アップにつなげよう
給付金を受け取りながら職業訓練を受けられる制度はありがたいですね。ご紹介した給付金は、自分で申請して初めて受け取れるものです。手続きなどの手間はかかりますが、もらえるお金はしっかりもらって、スキルアップのチャンスを生かしましょう。
「自分にも受けられる講座があるかな?」など気になる方は、ぜひ自治体の窓口などに問い合わせてみてくださいね。
- 厚生労働省「求職者支援制度のご案内」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyushokusha_shien/index.html,2021年7月8日最終閲覧)
- 厚生労働省「リーフレット」(https://www.mhlw.go.jp/content/000776386.pdf,2021年7月8日最終閲覧)
- 厚生労働省「受講者の声」(https://www.mhlw.go.jp/content/000784179.pdf,2021年7月8日最終閲覧)
- 厚生労働省「高等職業訓練促進給付金等事業」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000062986.html,2021年7月8日最終閲覧)