現代の日本のおいて夫婦別姓は認められていません。ほとんどの場合で妻が夫の姓へと変更しているのが現状です。
日本の婚姻制度改正については過去30年ほどに渡り議論され続けてきましたが、夫婦別姓についての議論は今もなお続けられています。
婚姻時に妻の姓を選択するカップルは4%
日本において婚姻時に夫の姓を選択することが一般的になっていることは周知の事実ですが、現在、婚姻時に妻の性を選択するカップルはわずか4%。
平成27年度の厚生労働省の調査によると、初婚・再婚・総数で妻の姓を選択しているカップルは次のような比率になっています。
- 夫婦とも初婚:2.9%
- 夫初婚・妻再婚:6.6%
- 夫再婚・妻初婚:5.0%
- 夫婦とも再婚:9.0%
- 総数:4.0%
このように、再婚カップルでは妻の姓を選択する確率が他と比べて高いものの、お互い初婚同士だった場合の妻の姓の選択率は2.9%にとどまります。結婚した後のご夫婦は、ほとんどの場合で夫の性を名乗っていると言えますね。
- 厚生労働省「I 出生の年次推移」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/konin16/dl/01.pdf,2022年8月30日最終閲覧)
日本における夫婦別姓の現状
現在、日本において夫婦別姓の選択肢はありません。「夫婦別姓は法律上で認められていない」とは言え、先に紹介した婚姻カップルの姓の選択を見ると、暗黙の了解として妻側が姓の変更を共用されているように感じるのではないでしょうか。
実際に平成29年の調査によると、選択的夫婦別氏制度についての意見は次のように出されていました。
- 婚姻をする以上夫婦は必ず同じ名字を名乗るべき:29.3%
- 夫婦が婚姻前の名字を名乗ることを希望している場合はそうしてもかまわない:42.5%
- 婚姻をする以上夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが、婚姻前の名字を通称としてもかまわない:24.4%
夫婦別姓に対し全面的に反対している人もいますが、42.5%の人は賛成しているという結果でした。
- 内閣府「家族の法制に関する世論調査 2 調査結果の概要」(https://survey.gov-online.go.jp/h29/h29-kazoku/2-2.html,2022年8月30日最終閲覧)
日本における婚姻制度改正の議論
現状では認められていない選択的夫婦別姓ですが、日本における婚姻制度改正の議論は、約30年も前である平成3年の「婚姻制度等の見直し審議」から始まりました。
そして平成8年には「民法の一部を改正する法律案要綱」の中で選択的夫婦別姓を認める提案がなされています。
法務省は約25年も前である平成8年から、選択的夫婦別姓制度の導入について考えていたのですね。しかし紹介してきたように、夫婦別姓に反対している人もいます。そのため平成8年には、国会への提出までたどりつかなかったそうです。
時代の流れで最近は賛成意見の方も少なくありませんが、平成8年には今よりも反対の方が多かったのかもしれませんね。そして時は流れて令和2年。「第5次男女共同参画基本計画」においても選択的夫婦別姓の検討について記載されました。
「第5次男女共同参画基本計画」では国民の意見・国会の議論・司法とさまざまな観点から選択的夫婦別姓について具体的に検討することが記されたそうです。
- 法務省「選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji36.html,2022年8月30日最終閲覧)
夫婦別姓に反対?賛成?改めて考えてみるきっかけに
ニュースや世論調査を見ていると、夫婦別姓に賛成している人が圧倒的に多いように感じられることもあると思いますが、実際はメリット・デメリットを感じる場面は人それぞれです。
皆さんの意見を参考にしながら今一度、夫婦別姓について考えてみてはいかがでしょうか。










