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刃物を持った男の侵入と必死の抵抗
ひとり暮らしをしていたオキエイコさんの日課は、帰宅後換気のために窓を開け、ウサギにエサをやりながら、彼氏と電話で話すこと。いつものように過ごしていると、ベランダから見知らぬ男が侵入。刃物を持っているではありませんか。
殺されるかと覚悟しますが、妙に冷静になったオキさんは、彼氏に電話がつながっていることや、このまま逃げた方がいいのではないかとなど説得しつつ反撃。
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知らない人が自宅に侵入し命の危機を感じる中、このように身を守ったオキさんは本当に怖かったことでしょう。人によっては動けないまま被害にあうことも十分考えられるシーンではないかと感じました。
どんな理由でオキさん宅を知り、侵入しようと思ったのかはわかりませんが、犯人の行動は絶対に許されるものではありません。
「大丈夫」と思っていた心に異変が
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事件は犯人逮捕に至らないまま。
時がたち、オキさんが当時のことを話すこともあったそうですが、その際は努めて明るく、なんともないように話していたといいます。それは本当に平気だったからではありませんでした。犯人に負けたくなかったから。「何もなかった」と思いたかったから。
その後、オキさんは普通に暮らしていたものの、外で男性に声をかけられただけで恐怖でいてもたってもいられなくなったことがあるといいます。その際、怖くて声も出なかったそう。
性犯罪は心にも大きな被害をもたらします。時間がたっても消えない記憶に苦しめられるのです。オキさんも時間がたってから表れたトラウマと向き合うことになりました。犯人がどれだけのことをしたのか、オキさんの言葉を読むごとに伝わってきます。
トラウマは、犯人に負けたわけじゃない
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作品の最後に、オキさんは性犯罪について今の思いを語っています。人によって心は違いますが、オキさんは「かわいそう」と言われるのが嫌だったと語ります。犯人に負けたくないという気持ちがあり、悔しくなるのだそう。
恐怖や悲しみ、そして忘れられない悔しさ。オキさんが抱える大きなものが、最後の数コマにあふれているようでした。
性犯罪とその後について考えるきっかけに。『知らない人が家に入ってきた話』をぜひ読んでみてください。
『知らない人が家に入ってきた話』の著者であるオキエイコさんは、この漫画にこめた思いについて以下のようにコメントしています。
「お恥ずかしながらあの事件の1秒前までは、自分がこんな事件に巻き込まれるなんて考えた事もありませんでした。
でもそれはきっと、この文を読んでくださっている皆さんの多くにとってもそうだと思います。まさに1秒後、あなたのその後ろの窓から変質者が入ってくるなんて、想像できますか?そのくらい『事件』は突然やってきました。
性被害は人に相談しにくく、相談された側もどう応えていいのか回答が難しい。『なかったこと』にされることも少なくないと思います。
だからこそ、声をあげてもいいことを伝えたくてこの漫画を描きました。人に伝えたい、というより、自分自身に言い聞かせたいという側面が強かったです。
老若男女関係なく、被害者にも加害者にもなってしまう可能性がある性被害。なので誰が読んでも読みやすく重くなりすぎず、でも伝えたいことが伝わる漫画を心がけました。性被害に興味のない層の方にも読んでいただき、社会全体でアンテナを張っていただけたらと思い描かせていただきました。」
この漫画は犯罪被害体験談を紹介したものです。このような被害に遭っている、あるいは遭った経験のある方のために、内閣府の男女共同参画局では『性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター』を設置しています。
自治体によってはこのほかにも犯罪被害者支援センターを設けている場合があります。必要に応じて相談をご検討ください。