©soroe.handmade
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日常に潜む影。気を付けていても起こりうる恐怖の瞬間
当時26歳、独身で一人暮らしをしていたオキエイコさん。その日は、仕事で遅くなり帰宅した時には、24時ごろになっていました。
ウサギを飼っていたオキエイコさんは、いつものように換気のために窓を開けて彼氏と電話をしていました。ふと窓の方を見ると刃物を持った知らない男が部屋に侵入してきたことに気が付きます。
驚きながらもとっさに声を出したオキエイコさんでしたが、男に覆いかぶさられたのち、首を押さえられてしまいました。男の手には鋭い裁断ばさみがにぎられ、馬乗りされている状態。オキエイコさんは、自分の人生の終わりを感じたといいます。
性被害の気配を感じ、気づけば抵抗していた
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そんなオキエイコさんに向かい、下着を脱げという男。目的が性加害であるとわかったオキエイコさんは、気づくと抵抗していました。
犯人が、オキエイコさんに背を向け電話を切っている瞬間にはさみを取り出し「死にたくなければ帰れ」と戦うオキエイコさん。犯人が立ち去り、すぐに彼氏に連絡。警察の捜査で、犯人はオキエイコさんのストーカーだったのではないかと推理されました。
オキエイコさんのように犯人に抵抗することは必ずしも良い策とは言えません。しかし、オキエイコさんの場合は最悪の事態を免れることができました。実際に同じように行動できる人ばかりではなく、恐怖で体が動かなくなる方もたくさんいるのではないかと想像します。
深夜、女性が一人でいるところに侵入して怖い目にあわせるなんて、このような行動に出る男性を許すことはできません。決してあってはならないことだと感じました。
トラウマなどないと思っていたけれど
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事件後、時間が経過すると「それほど心に傷は残っていない」と自覚していたというオキエイコさん。しかし時間がたった後もふとした瞬間に恐怖心に襲われることがあり、自分が思っているよりもずっとつらい経験として心の中に刻み込まれてしまったことに気づいたといいます。
当時、ウサギのために換気していた時間はわずか10分ほどだったそうです。たった10分の換気で、自宅で被害にあうとは誰も予想できません。性犯罪は許されないものですが、悲しいことに誰もが被害にあう可能性があります。また、その犯罪の特性から、声をあげにくい人もいるでしょう。
このエッセー作品により、自宅の被害防止について考えたり、社会から性犯罪をなくす方法について考えたりするきっかけになればと思いました。気になる方はぜひ本編も読んでみてくださいね。
『知らない人が家に入ってきた話』の著者であるオキエイコさんは、この漫画にこめた思いについて以下のようにコメントしています。
「お恥ずかしながらあの事件の1秒前までは、自分がこんな事件に巻き込まれるなんて考えた事もありませんでした。
でもそれはきっと、この文を読んでくださっている皆さんの多くにとってもそうだと思います。まさに1秒後、あなたのその後ろの窓から変質者が入ってくるなんて、想像できますか?そのくらい『事件』は突然やってきました。
性被害は人に相談しにくく、相談された側もどう応えていいのか回答が難しい。『なかったこと』にされることも少なくないと思います。
だからこそ、声をあげてもいいことを伝えたくてこの漫画を描きました。人に伝えたい、というより、自分自身に言い聞かせたいという側面が強かったです。
老若男女関係なく、被害者にも加害者にもなってしまう可能性がある性被害。なので誰が読んでも読みやすく重くなりすぎず、でも伝えたいことが伝わる漫画を心がけました。性被害に興味のない層の方にも読んでいただき、社会全体でアンテナを張っていただけたらと思い描かせていただきました。」
この漫画は犯罪被害体験談を紹介したものです。このような被害に遭っている、あるいは遭った経験のある方のために、内閣府の男女共同参画局では『性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター』を設置しています。
自治体によってはこのほかにも犯罪被害者支援センターを設けている場合があります。必要に応じて相談をご検討ください。