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親身になって聞いてくれた夫は「痴漢被害者」だった
通勤電車の中で痴漢に遭ったミワカモさん。恐怖や悔しさを抱えて帰宅しますが、親身に耳を傾けてくれる夫の温かい対応に、徐々に気持ちも落ち着いてきます。そして、夫は自身も電車で痴漢に遭ったときのことを話してくれました。
ミワカモさんの夫は、自分で痴漢を退治できなかった自分のことをふがいなく感じ、後悔しているようでした。そこでふたりは被害者のままでいるだけでなく、助けを求めて声を上げられるようにするために今の自分たちにできそうなことを考えてみることにしました。
ふたりが考えた、自分たちにもできることに注目です。
男性の性被害は見えにくい?
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痴漢と聞くと、「被害者は女性で加害者は男性」というイメージが浮かぶ方がいるかもしれません。
筆者自身も高校は電車通学だったので、実際に被害に遭ったことが何度もありました。いつも周りをきょろきょろと警戒し、触られたらどうやって逃げようか、いつもピリピリびくびくしていました。なので、男性も被害者になりうるという現実にハッとさせられました。
男性は力が強いんだから対抗できるだろうというのは、一方的な理屈。実際には動けないし声も出ないのが現実。頭が真っ白になり固まることしかできないものです。女性はまず恐怖を感じますが、男性は周りの目や遅刻が気になったようで、感じ方も異なっているんだなぁと感じました。
ミワカモさんの夫も、チカンされたことに気づいたのに声をあげることはできず、結果、電車に乗らないようにして逃げる対策にとどまったといいます。男性だからこそ被害者として声を上げにくいんだということにも気づかされます。
被害者だけで終わらない!今自分にできること
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ミワカモさん夫婦は、なぜ性犯罪の被害者が声を上げにくいのかを話し合うことに。そして、痴漢に遭いにくいように通勤時間の混雑を緩和するなどの環境づくりや、被害届を出すために仕事や学校に遅刻したときの会社や学校の理解ある対応などの整備が必要だと気づきます。
そのような社会づくりのために、子どものころから性教育が大切だという結論に。法律や社会を急に変えることはできなくても、将来を担う子どもたちが性別に関係なく声を上げられる社会を作っていけるように、自分の体を大切にすることや嫌なことをされたときにどのように声を上げるか教えてあげることはできます。
男女問わず性被害に遭うことが知られ、声をあげる大切さも叫ばれている時代だからこそ、子どものころから体の守り方や助けの求め方を
伝えていきたいですね。
つらい経験をそれだけで終わらせるのではなく、問題に対し夫婦で話し合っているのが印象的な本作。この機会に、性別を問わない性被害についても家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。