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「大切にされるべき存在」図書館で本も借りられない放置子に、初めて言ってくれた人

このお話は著者・山野しらす・放置子漫画(@yama_shira)さんが知人の実体験を再構成したお話です。時おりニュースなどでも話題になる「放置子」という問題。これは子どもの問題ではなく、背景に子どもを放置する保護者の存在があります。過酷な状況で育つと、子どもは「しっかりしないと」という意識からか、実年齢よりずっと精神年齢が高くなるように感じませんか。子ども時代を思いきり満喫するという子どもにとっての大切な権利を大人ができるだけ守れるような、そんな社会であれば、子どもはもっともっと、元気になるように感じます。

©yama_shira

【1話目から読む】私が放置子だった頃の話

心の奥底に響いた言葉…「大切な存在」と言われたのは初めてだった

主人公のしおりは幼少期から両親の愛情を知らずに育ちました。父親は家族を顧みることがなく、母親は子どもより仕事と不倫の方が大切な人です。保育園児のころから母の不倫に付き合い、いろいろな場所に連れまわされていたしおりは、時に車の中やスーパーのフードコートに放置されることもありました。

小学1年生の夏休み、少額のお金だけを持たされ放置されたしおりは、1日を安全に過ごすため地域の図書館に入り浸っていました。そんなしおりに気づき、自分が運営する塾に来てみないか?と誘ってくれた初老の男性が現れました。母親に相談し、その男性が運営する塾に入ったしおりは、そこで「一般の生活」や社会のルールやマナーをていねいに教えてもらえるようになりました。

ある日、塾長である男性・パパ先生にどうして塾の先生になったのか聞いたしおり。するとパパ先生はゆっくりとその理由を話し始めました。

©yama_shira

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山野しらす・放置子漫画(@yama_shira)さんのKindle

パパ先生とママ先生の穏やかで柔らかな接し方で、しおりは「純粋に子どもでいられる時間」を取り戻しました。塾にいる時間はしおりにとって、本当に子どもでいていい貴重な時間だったのではないでしょうか。

パパ先生やママ先生のように、時間やお金をうんと割いて知らない子どもたちを育てようとするのは、本当に大変ですし、信念がないとできないことですよね。ですが、しおりのような子だけでなく、どんな子どもにとっても居心地がよく、気持ちがときめくような場所が社会の中にあると、子どもたちはもっと心に余裕をもって生きていられる気がしますね。

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