日本の子供の6人に1人は貧困という現実…
厚生労働省の国民生活基礎調査によると、日本の「子供の貧困率」は2012年の段階で16.3%。子供の6人に1人が貧困状態であることを示しています。
(※子供の貧困率=平均所得の半分に以下の世帯で暮らす、18歳未満の子供の割合)
特にひとり親世帯は深刻で、ひとり親世帯の子供の約6割が貧困に陥っているそうです。
原因は、子育て世代の所得が減ったこと。特に、働く母親の多くが非正規雇用のため、近年のシングルマザーの増加が、子供の貧困率を押し上げていると言われています。
子供たちを取り巻く悲惨な状況
ひとくちに「子供の貧困」といっても、その実情はさまざまです。
中には、学校の給食だけが唯一の食事だという小学生や、家族と夜逃げを経験した子供、ホームレス生活の経験がある子供もいます。
また、親から暴力や育児放棄を受けていたり、親がギャンブルやお酒に依存していて、家庭崩壊しているケースも少なくないそう。
このような状況を受け、政府は2014年8月に「子供の貧困対策に関する大綱」を閣議決定し、教育、生活、保護者の就労、経済的支援などの対策を行なってきました。
しかし大人になってからも「貧困の連鎖」に苦しむ人は後を絶ちません。
親から子への「貧困」の連鎖
親の収入が少ないと、教育費が捻出できなかったり、親が忙しくて子供の宿題を見れず勉強が遅れるなど、進学や就職にも影響が出ます。
そのため、貧しい家庭で育った子供は将来的にも低所得になる可能性が高いことが指摘されています。
この現象は「貧困の世代間連鎖」と呼ばれ、新たな問題になっています。
「教育」をどう支援するかも課題のひとつ
有識者の中には、公立大学の授業料を無償化することを提案する人や、格安のネット通信教育の普及により将来的には教育格差がなくなるだろうと予想する人もいます。
しかし、小さな頃から満足な食事をもらえなかったり、幼いきょうだいの世話をしなければならなかったり、親から日々暴力を受けていたりする場合は、勉強する意欲などわかないもの…
より重要なのは、大きくなってからの学習支援より、幼少期から学習に集中できる環境を整えることなのかもしれません。
新たな試みが始まっているものの…
「子供の貧困」や「貧困の世代間連鎖」を減らすため、国や自治体も積極的に動き始めています。
例えば最近では、放課後の教室を開放して子供が勉強に集中できる空間を提供したり、奨学金制度を拡充するなどの試みが始まっています。
けれどもまだまだ対策が追いついていないのが現状ではないでしょうか?
2~3年の対応の遅れが、子供にとっては大きな違いに
子供の貧困に対する支援や法整備が数年遅れても、私達大人にはさほど不都合はないかもしれません。
でも、今まさに貧困にあえいでいる子供にとっては、2~3年の対策の遅れが、大きく人生を変えることになりかねません。
一刻も早く、貧困家庭の実情に沿った対策を進める必要がありそうです。