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🔴【第1話から読む】遠慮がない夫と、口が悪い実母→水と油のような2人にハラハラする妻|夫と実母は仲が悪い
正月の帰省で起きた夫と母の衝突。ぎくしゃくしたまま帰宅することになりましたが、裕子はなんとか修復の糸口を見つけようとします。
二人を繋ぐ手紙
その夜、私は母に電話をかけることにしました。
私「お母さん、今日のこと、ごめんね」
受話器の向こうで、少し間を置いてから母が言いました。
母「私も言い過ぎたわ。でも、あの人、ちょっとキツすぎるのよ」
私「二人とも、悪気はないんだよ。ただ、言い方が下手なだけ」
母「……あんた、間に挟まれて大変ね」
その言葉を聞いた瞬間、涙が頬を伝うのが分かりました。母の声は相変わらず少し強い調子でしたが、その奥にある寂しさを、私はやっと感じ取ることができました。電話を切ったあと、胸の中にぽつんと温かい灯りが残りました。
正月の帰省から数週間後。私は母と夫の間に、もう一度小さな橋をかけようと思いました。直接顔を合わせるのはまだ早い。いろいろな方法を考えましたが、手紙を書くことにしました。買ったばかりの便箋を机に広げて、母には夫がどれだけ家族を思ってくれているかを伝えました。
”ぶっきらぼうだけど、私や悠斗のことを一番に考えてくれる人”
”お母さんが寂しさから言葉がきつくなることも、ちゃんと分かってる”
そして、「お互いの誤解が、少しでも解けますように」と祈りを込めて封をしました。数日後、母から手紙が届きました。
”私も少し言い方が悪かったみたい。年を取ると、素直に謝るのも難しいのね”という一文に、思わず声をあげて泣きました。その筆跡には、母らしい力強さと、どこかのびやかな優しさが混じっていました。私は夫にもその手紙を見せました。
夫「……俺も悪かったかもな」
夫はそう言って、少し照れたように頭をかきました。
私「お互い、言葉が強く出ちゃっただけだよ」
夫「距離があるからこそ、ちゃんと礼儀も必要だな」
夫のその言葉に、私は静かにうなずきました。争いのあとに残ったのは、冷たさではなく、互いを理解しようとする小さな優しさでした。
見つけた尊重の仕方
それから数か月後。誕生日の母に電話をしようと思い、ビデオ通話の画面を開きました。母の顔が映ると同時に、夫が少し緊張した様子で隣に座りました。
夫「お義母さん、お誕生日おめでとうございます」
母「あら、ありがとう。あなたも元気そうね」
母の口元が、ふっと緩みました。その笑顔はほんの一瞬でしたが、たしかに柔らかさを感じました。
私はその瞬間、胸の奥で静かに思いました。やっと、スタートラインに立てたんだ。無理に仲良くしようとしなくていい。ただ、お互いを“家族の一人”として尊重できる距離。それが、私たちの見つけた程よい関係でした。
そしていつか、悠斗が大人になった時、家族は完璧じゃなくても支え合える存在だと伝えたい。そう思えるようになった自分を、少しだけ誇らしく感じました。
あとがき:尊重するということ
家族の関係は、完璧でなくてもいい。ぶつかって、離れて、また少しだけ近づく。その繰り返しの中に、たしかな絆が育っていきます。大切なのは、どちらが正しいかではなく、もう一度“つながりたい”と思えるかどうかだと思います。夫と母の間に生まれた小さな和解は、裕子自身の成長にもつながったようですね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
イラスト:まい子はん










