🔴【第1話から読む】「経済的な余裕が欲しい」普通の主婦の心にあった“小さな隙間”|SNSで投資詐欺に騙された話
俊哉はさつきを責めず、10万円を「高い勉強代」と割り切ることを提案。冷静な話し合いの中で、二人は「簡単に儲かる話には必ず裏がある」という教訓を再確認します。
10万円より大事なこと
俊哉にすべてを打ち明け、彼の優しさに触れたことで、私の心は少しずつ落ち着きを取り戻していきました。次の日の夜、なおが寝静まった後、私たちはダイニングテーブルで向かい合って座りました。
「俊哉、怒ってないの?」
私が尋ねると、俊哉はグラスの水を一口飲んで、静かに答えました。
「怒るなんて。さつきが一番つらいのは分かってたし、さつきが何かをしようと思ったのは、俺たちの将来を考えてくれたからなんだろ?」
その言葉に、また涙が出そうになりました。
「それにさ、」と俊哉は続けました。
「10万円よりも、家族の笑顔のほうが何億倍も大事だよ。俺がさつきを責めて、さつきが心を病んだら、それこそ取り返しがつかないよ」
失敗から学んだこと
私たちが本当に失いたくないものは、お金なんかじゃない。家族の笑顔と、信頼なんだと、改めて痛感しました。その上で、私たちは「安易なお金の増やし方」について、たくさん話し合いました。
「よく考えれば、冷静になればわかるだよ」と俊哉は言いました。「本当に儲かる話なんて、人に無料で教えたりしない。もし、誰でも簡単に大金が手に入るなら、みんな今ごろ働いてないと思わない?そこに気づけなかったのは、さつきの心の隙を突かれたんだね」
私も頷きました。ミオさんの「離婚でつらい女性を救いたい」という言葉は、私の「家族を守りたい」という切実な願いを逆手に取った、計算し尽くされた罠だったのです。私たちは、この経験を無駄にはしないと決めました。
俊哉は「警察への届け出も考えたけど、少額だし、海外のサーバーだと追跡も難しいだろう。今回は本当に『勉強代』として割り切るのが現実的かな」と、冷静に判断してくれました。
甘い話を見抜く教訓
しかし、俊哉は、私に1つだけ指示しました。
「さつき。証拠として、ミオとのLINEのやり取りや、アプリの画面、全部スクショして残して。それで消費生活センターに一度相談してみよう。お金が戻らなくても、情報提供で次の被害を防げるかもしれない」
ミオさんのSNSアカウントは完全に消えていましたが、私たちが動くことで、未来の被害者を守れるかもしれない。そのことが、私にとっての救いになりました。
もう二度と、甘い話には引っかからない。私はスマホを開き、ミオさんと交わしたメッセージを消去しました。あのキラキラした虚像に惑わされた自分に、さよならを告げるためです。
私たちは、10万円という高い授業料を払いましたが、それ以上に大切な「世の中の甘い誘いには必ず裏がある」という教訓と、「何があっても家族で乗り越えられる」という夫婦の絆の深さを手に入れました。
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あとがき:教訓を夫婦で共有する大切さ
俊哉の「勉強代」という言葉は、この経験を単なる失敗ではなく、将来への投資と捉える前向きな姿勢を示します。警察ではなく消費生活センターを選ぶという判断は、この物語を現実的な解決へと導きます。
さつきがミオのメッセージを消去する行為は、過去の誘惑との決別を意味し、今後二度と甘い言葉に惑わされないという強い誓いになりました。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










