完璧な妻として家族に尽くす専業主婦の明子。夫・謙太の不自然な残業が続く中、つい出来心で彼のスマホをチェック。届いていたのは、「最高の夜」を匂わせる浮気相手からのメッセージだった。ショックから一転、明子の心は燃えるような怒りに支配され、復讐者となる決意を固める。
幸せな日々に起きた異変
私は明子(33歳)、専業主婦。夫の謙太も私と同じ33歳で、長男のかずは今、ちょうどやんちゃ盛りの3歳。家族3人で、都内の賃貸マンションに住んでいます。ごく普通の、どこにでもいる「幸せな」家族だと、つい先週までは信じていました。
私はもともと自由奔放で自己主張が強かったけれど、結婚して、特に子供が生まれてからは、すっかり「母」の顔が板についてしまいました。謙太の世話を焼き、かずの面倒を見て、家のことをこなす――それが私の日常でした。少しでも生活が乱れると落ち着かない、典型的なきっちり屋かもしれません。誰かがやらなきゃ、家族の生活は回らない。そう思っていましたから。
謙太は商社勤めで、この数か月、とにかく忙しそうでした。
「ごめん、明子。また残業だ」
「この土日はどうしても出張で…」
口を開けば仕事、仕事。最初のうちは「頑張ってるね」と労いの言葉をかけていましたが、次第に違和感を覚えるようになりました。
「忙しい」夫の本当の理由
昔から謙太は要領がよくて、職場も異動が少なく業務内容にも変化はないようです。なのに、毎週のように休日出勤を強いられるなんてちょっとおかしいと思いました。夜遅く帰ってきても、疲れている様子があまりなくて、むしろどこか機嫌よく見えるときもありました。
「おかしい」
そう確信したのは、日曜日の夜でした。謙太はシャワーを浴びていて、スマホをダイニングテーブルに置いたまま。普段は肌身離さず持っているくせに。まるで何かに導かれるように、私はそのスマホに手を伸ばしてしまいました。ロックNOは、私たちの結婚記念日。
ホーム画面を開き、すぐに通知が目に入りました。
『昨日の夜、最高だったよ♡今週の土曜日のレストラン、楽しみにしてる!』
送信元は、知らない女性の名前。心臓がドクンと嫌な音を立てて大きく跳ね上がり、視界が歪みました。手足の先から急速に熱が引いていくのを感じます。
疑惑が確信へ変わる
「ああ、やっぱり。やっぱりね…」
口から出たのは、思ったよりも冷静な、乾いた声でした。残業でも、休日出勤でもなかった。私の夫は、外で、私以外の女と、「最高の夜」を過ごしていたのです。そして、次のデートまで計画している。私はこの3年間、かずの育児に追われ、自分の美容にも気を使う暇もなく、彼のために尽くしてきたというのに。
スマホを握りしめたまま、浴槽から聞こえてくる謙太の鼻歌を聞きました。その呑気で暢気な声が、私の胸の奥に、じわじわと黒い怒りを満たしていくのを感じました。ショックよりも先に、この理不尽な裏切りに対する、燃えるような怒りが全身を支配し始めた瞬間でした。
「許さない。絶対に」
私は震える手で、そのメッセージのスクリーンショットを撮り、別の場所にも保存しました。そして、何事もなかったかのようにスマホを元の位置に戻し、立ち上がりました。私は「妻」ではなく、「復讐者」として、戦いの準備を始めたのです―――
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あとがき:「妻」から「復讐者」へ。冷めた怒りの発火点
幸せを信じていた日常が、たった一つのメッセージで崩壊する瞬間を描きました。明子の「きっちり屋」な性格が、裏切られた怒りと結びつき、感情に流されず冷静に証拠を握るという、恐ろしいほどの闘志へと変化します。この冷めた決意こそが、彼女の復讐劇の始まりです。誰もが持つかもしれない「完璧な生活を守りたい」という執念が、どう彼女を動かすのか、注目です。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










