長男・律を出産したばかりの千佳子(29歳)は、理想の夫・勝昭の優しさに満たされた日々を送っていた。しかしある日、勝昭は突然、信じられない告白を始める―――。
待望のわが子にも恵まれて、幸せな日々
私の名前は千佳子、29歳。ついひと月前、長男の律(りつ)を出産したばかりの、新米ママ。夫の勝昭(かつあき)とは、同じ年の幼馴染で、学生時代からの長い付き合い。周囲からは「理想の夫婦」と羨ましがられることが多かった。
勝昭は誰にでも優しく、家では家事も育児も積極的に手伝ってくれる。特に律が生まれてからは、慣れない育児で疲弊する私を気遣い、「大丈夫だよ、寝てていいよ」と夜中の授乳を代わってくれたり、律を抱っこしながら洗い物をしてくれたり。
そんな勝昭の思いやりを、私は心から愛していたし、この幸せは永遠に続くものだと信じていた。「ああ、私は本当に幸せだ」と、毎日思っていたのだ。
夫の様子がおかしいことに気が付く
あの日、リビングのソファに座る勝昭の様子がおかしいことに気づいたのは、律が午前中の授乳を終え、静かに寝息を立て始めたころだった。
「勝昭?どうしたの、顔色が悪いよ?何かあった?」
リストラか、それとも隠していた借金か。思いつく最悪の事態を予想しながら、私はドキドキした。勝昭は顔を上げず、震える声で言った。
「千佳子、聞いてほしいことがあるんだ。話したら、君に軽蔑されると思う。もう、一緒にいられないかもしれない」
その言葉の重さに、私の心臓がギュッと締め付けられる。まさか、まさか、病気なんてことは…。私は反射的に勝昭の隣に座り、その冷たい手を握りしめた。
「そんなこと言わないで。どんなことでも大丈夫、私たち夫婦でしょ?」
私の言葉に、勝昭はゆっくりと顔を上げた。その目は充血していて、涙で潤んでいた。
突然の告白に理解が追い付かない
「ごめん。本当に、ごめんなさい……。実は、結婚した直後から、不倫をしていたんだ」
脳が情報の処理を拒否した。不倫?結婚当初から?その言葉と勝昭が、全く結びつかない。私は思わず、手を振り払って後ずさりした。
「え?……今、なんて言ったの?冗談…だよね?」
「冗談じゃない。本当。火遊びのつもりだった。でも、ズルズルと、2年近く……」
彼の言葉一つ一つが、私の大切にしてきた記憶をナイフで切り裂いていくようだった。私の頭の中は一瞬で真っ白になり、次に強烈な吐き気に襲われた。
「待って。結婚して、すぐ……?仕事で遅いって言ってた日とか、同期と出かけるって言ってた日とかが…そうだったってこと?」
今まで私たち夫婦の土台だと思っていた信頼が、音を立てて崩れていくのが分かった。律のかわいい寝顔が視界に入る。この子を抱いて、最高の幸せを感じていた数分前の自分が、まるで遠い過去の別人のように感じられた。
勝昭はただ、床に視線を落とし、小さく「うん……」とだけ答えた。
🔴【続きを読む】「火遊びのつもりだったけど…」→夫が妻にバレていない不倫を“自白”した理由|不倫相手に脅された夫
あとがき:最も信頼していた人からの裏切り
長年の付き合いで築いた「理想の夫婦」という土台が、一瞬で崩れ去る衝撃を描きました。勝昭の告白のタイミングが、千佳子が最も脆弱な状態にある生後1か月という点に、物語の残酷さがあります。
出産直後の疲労と、最愛の夫からの裏切り。そのダブルパンチは、読者に強烈な共感を呼び起こすでしょう。勝昭の涙は本当に心からの後悔なのか、それとも自己保身なのか。千佳子の感情が追いつかないほどの巨大な裏切りが、物語の幕開けです。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










