🔴【第1話から読む】2年間にも渡り「不倫をしていた」→夫から突然の自白、崩れ落ちる信頼|不倫相手に脅された夫
勝昭は、結婚当初から約二年続いた職場関係者との不倫の全容を話す。ズルズルと2年も続いた不倫相手と、妻の妊娠を機に別れを決意したが、別れを拒否されて脅されているという―――。
全く知らなかった夫の不貞
勝昭の「うん」という、蚊の鳴くような返事が、重い現実を突きつけた。頭が冷えていくのを感じる。目の前の優しくて頼もしい夫が、私が最も信頼していた時期に、私を裏切っていた。
「勝昭…ちゃんと、全部話して。いつから、誰と、どういうつもりで、なんで今言い出したの?」
私の声は、驚くほど冷静だった。きっと、あまりにもショックが大きすぎて、感情が追いつかなかったのだと思う。勝昭は、膝の上で手を組み、絞り出すように話し始めた。
「ごめん、千佳子。結婚してすぐ、職場の取引先の女性と出会って…ちょっとした火遊びのつもりだった。でも、向こうも既婚者で、秘密を共有しているうちに、ズルズルと続いて…。千佳子が妊娠したのを機に、本当にやめようと思ったんだけど…」
2年も裏切られていたという事実
2年間の不倫を「火遊び」とは、ずいぶんな言い方だ。
「私、妊娠中もずっと、裏切られていたんだね」
「違う、俺は律が生まれるのを、心から楽しみにしていて…絶対に別れようと思っていたんだ。もう相手に気持ちはなくて…」
勝昭は顔を歪ませ、涙を流しながら訴える。確かに勝昭は律をかわいがっている。でも、それと不倫はまったく別の話だと、どこか冷めた自分は思っていた。
「それで?今はもう別れたのってこと?なんで今急に打ち明けたの」
「別れようって、昨日、はっきり伝えた。君と律のために、もう二度と会わないって。そしたら、相手が怒り出して……」
勝昭は言葉を切ると、苦しそうに声をしぼりだした。
「脅されたんだ。一方的に関係を切るなら、千佳子にもバラすし、職場にもバラしてやるって。元取引先だから職場がバレてる。千佳子にもいつ連絡があるかもしれないと思うと怖くて…。それでイヤなら金をよこせって…」
裏切られたことへの虚無感
勝昭は、顔を覆って泣き崩れた。彼の言っていることは、あまりにも身勝手で、情けなくて腹立たしい。
「なんて自分勝手なの?私は律を生んで、毎日のお世話でいっぱいいっぱいだよ。そんな今、こんなこと言ってくるなんてひどすぎる」
私は感情的に怒鳴ることもできず、ただ無気力になった。怒りよりも、悲しみが、そして裏切られたことへの空虚感が全身を支配する。
「勝昭のことを愛してたし、律と家族になれることがうれしかった。でも、あなたは裏切ってたんだね、愛なんてなかったんだね」
「違うよ千佳子、君への気持ちは嘘じゃない。本当に愛してる。だから相手がバラす前に、自分で言って謝りたかったんだ…」
愛してる、という勝昭の言葉。その言葉の重さは、私にはもう分からなかった。ただ、頭では理解できないほど彼を軽蔑しているのに、心の底では彼を失うことを想像できない自分がいる。このぐちゃぐちゃな感情を、どう整理すればいいのだろうか―――。
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あとがき:贖罪の優しさと、愛の行方
勝昭が律の誕生を心から喜んでいたこと、そして、律が生まれてからの献身的な優しさが、「贖罪」の行為だったかもしれないという示唆は、読者の心をさらにざわつかせます。裏切りを知ってもなお、勝昭を失うことを想像できない千佳子の心情は、愛憎入り混じる複雑な女性の現実を表しています。
不倫相手からの脅しという現実的な問題も加わり、物語は個人的な感情論だけでなく、夫婦の法的な危機へと展開していきます。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










