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娘が生まれてから、ゆみさんは「ゆみ」よりも「お母さん」と呼ばれることが多くなりました。そのたびに、ふと——私はどこに行ってしまったんだろう、と小さな寂しさが胸をかすめます。母であることは誇らしい。それでも、自分自身の名前が遠のいていくようで、少しだけ残念な気持ちになりました。
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かつて一緒に働いていた同僚からも「母ちゃん」と呼ばれ、家の中でも外でも「お母さん」と呼ばれる毎日。最近の自分は“お母さん”としてしか存在していないのかもしれない——そう気づいた瞬間、ゆみさんは思わず心の中でつぶやきます。私、どこいったんだろう。
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娘の保育園に行くと、ママたちが集まって愚痴をこぼしている場面に出くわしました。「子どもがいる、いないで背負うものが違うよね」「分かり合えないよね」——そんな声が聞こえてきます。
🔴【続きを読む】「みんなで幸せになりたい」子持ちVS子無しの構図は仕方ない?社会に感じる歪み|33歳という日々
幸せだと思える日々があれば、それで十分
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シングルマザーとして4歳の娘を育てるゆみさんは、仕事と育児に追われる日々のなかで、いつも娘を優先して過ごしています。朝は慌ただしく身支度を整え、気づけば自分のことは後まわし。それでも「娘の笑顔を守りたい」という思いを胸に、今日も前へ進んでいます。
しかし、周囲から「お母さん」としての役割ばかりを求められるなかで、自分という存在が薄れていくように感じることもあります。母である前に、1人の自分としての気持ちに戸惑う瞬間もあるのです。
また、周囲との違いにふと孤独を感じることも。家庭のかたちや環境は人それぞれだと分かっていても、自分だけが違う場所にいるように思えてしまう日もあります。
そんなゆみさんを支えているのは、娘の何気ない笑顔や優しさでした。与えているつもりでも、実はたくさんのものを受け取っていることに気づかされます。
比べなくていい、完璧でなくていい。今の自分なりの幸せを大切にしていいのだと、そっと背中を押してくれるお話です。
書籍『33歳という日々』(鈴木みろ/KADOKAWA)とは、高校の同級生だったエリ、このみ、ゆみの3人を主人公に、33歳になった彼女たちの「混じり合わないけれど地続きな日常」を描いた作品です。現在、1〜3巻が好評発売中。
鈴木みろ|Suzuki miro(@suzukimiro)さんのインスタグラム
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