🔴【第1話から読む】「もし不倫したら、徹底的に追い詰める」不倫を憎む夫
子供たちと共に家を出て、友人宅にお世話になり始めた光里。しかし子供達はパパを恋しがり、その姿に光里は心が折れてしまいそうになっていて…。
大事な子供のことだから
「最低。最低すぎて言葉が出ないわ。救いようのない馬鹿ね、あんたの夫」
友人の由美の家のリビングで、私は温かいココアを両手で包み込みながら、ようやく人心地ついていました。
あの深夜の修羅場の後、私は一睡もできず、夜が明けるのを待って子供二人を連れ、着替えだけを詰め込んで由美の家へ転がり込んだのです。
由美は、私の話を聞きながら、何度もテーブルを拳で叩いて憤慨してくれました。
「自分で不倫しておいて、相手の女を『守らせてくれ』なんて。どの口が言ってるのかしらね。光里がどれだけ大変な思いをして綺羅里ちゃんを産んだか、一番近くで見てたはずなのに。それを『若くて将来があるから』って? ふざけないでよ!あなたの奥さんにだって、輝かしいはずの三十代があるのよって言うのにね!」
「ありがとう、由美……。でも、光次がさっきから『パパは? いつ帰るの?』って何度も聞いてくるの。綺羅里も環境が変わったせいか、ミルクを吐いちゃって……お世話になっておいて言うのも何なんだけど」
私は隣の部屋で、不慣れな布団の上で眠る子供たちの様子を気にしながら、弱音を吐いてしまいました。
太郎は確かに最低な裏切り者です。けれど、光次にとっては、週末に公園へ連れて行ってくれる、大好きで優しいパパだったことも事実です。私がこのまま怒りに任せて離婚を選べば、子供たちから父親を奪い、彼らの日常を破壊してしまうのではないか。その責任は私にあるのではないか。そんな卑屈な迷いが、毒のように心に回ります。
「私が我慢すれば、形だけの家庭は維持できるのかもしれない。そう思っちゃう自分もいて……」
すると、由美が私の両肩を強く、痛いくらいに掴みました。
「光里、しっかりして! 今のあなたは、ショックで思考が麻痺してるだけ。いい? あなたがそんなに傷ついて、尊厳をズタズタにされて、あいつが何の報いも受けないなんてことがあっていいわけないでしょ? 今ここで『子供のため』なんて自分に嘘をついて許したら、あいつは一生、あなたを舐め続けるわ。そしてまた繰り返す。あなたは一生、あいつのスマホを隠れて見るような、惨めな女として暮らすことになるのよ。そんな母親の背中を見て、子供たちが幸せになれると思う?」
「でも、どうすればいいのか分からないの。私一人じゃ、あいつの身勝手な論理に丸め込まれそうで……。離婚は嫌だ、でも彼女も守りたいなんて、そんなの通らないって分かってるのに、言い返せなかった」
思い出した、「本物のヒーロー」の存在
私は、太郎のあの必死な形相が目に焼き付いて離れませんでした。彼は私に対してではなく、夏菜子という女との「純愛(のつもり)」を守るために必死だった。その事実が、私の心を一番深く抉っていたのです。
「……そうだ。光里の叔父さん、弁護士だったよね? 昔、言ってなかったっけ」
由美の言葉に、私は暗闇の中に一筋の光を見たような気がしました。
「叔父さん……。そうだ、数年前、父の法事の時に、何か困ったことがあったら力になるからって言ってくれてた。でも、こんな恥ずかしいこと相談していいのかな……」
「恥ずかしいのはあなたじゃない、あいつよ! プロの力を借りなさい。感情論じゃ、あの手の自分勝手な男には勝てないわ。論理と法で、逃げ場をなくしてやるのよ。あいつをギャフンと言わせるには、涙じゃなくて、法律に基づいた紙と印鑑が必要なの」
由美の力強い励ましに、私の曇っていた視界が少しずつ晴れていくのを感じました。
そうだ。私は被害者なのだ。ここで私が倒れたら、子供たちの権利さえ守れない。不倫相手を「守りたい」などという身勝手な男の願望を、叶えさせてやる義理など一ミリもないのです。
私は震える手でスマートフォンを取り出し、連絡先リストから叔父の名前を探し出しました。
数年ぶりの連絡。深夜でしたが、叔父は私の短い、けれど切実なメッセージに、すぐに返信をくれました。
『光里、詳しいことは明日聞こう。今はとにかく子供たちと温かくして寝なさい。お前は何も悪くない。叔父さんがついているぞ。法律は、正しい者の味方だ』
その文字を見た瞬間、私は堰を切ったように泣き出しました。由美が私の背中をずっとさすってくれていました。一人で戦わなくていい。その実感が、私の壊れかけた心を辛うじて繋ぎ止めてくれました。
あとがき:頼りになる人たちはたくさんいる
ここにきて最大の味方が登場の予感ですね。確かに悪いのは圧倒的に夫側なので、こういう時こそ法に頼るのは正解かもしれません。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










