「この前もね、車の異音が気になって義彦さんにLINEしちゃった。すぐ見てくれるって言ってくれて、本当に助かる。あ、もちろん『幸恵ちゃんのご主人割引』でお願いしちゃったけど!」
里奈さんは悪びれもせず、勝ち誇ったような顔で言いました。私の胸の奥がチリッと痛みます。 彼女とは以前、ちょっとした育児方針の違いから少し距離を置くようになりました。今は正直、苦手なタイプです。それなのに、なぜか彼女は私に対して異常なまでの対抗心を燃やし、事あるごとに私の領域に踏み込もうとしてくるのです。
「……里奈さん、仕事のことはお店の公式LINEか電話で通してほしいな。夫も家では休ませてあげたいし」
私が努めて冷静に言うと、里奈さんは大げさに肩をすくめました。
「えー、冷たいなあ。友達じゃない。それに義彦さんも『困ったらいつでも連絡して』って言ってくれてるんだよ? 幸恵ちゃん、ちょっと束縛激しすぎない?」
その言葉に、反論できずに黙り込んでしまいました。 ※1
「車の相談」は、ただの口実
夫・義彦は、地元のカーディーラーで整備士兼営業をしています。「車の相談」という体で、里奈は義彦に急接近。幸恵は反論したものの、言い返されてしまい、何も言えませんでした。
そこで、夫に抗議。個人LINEで連絡を取らないで欲しいと訴えたのですが、夫は「仕事だから割り切って欲しい」と繰り返すばかり。幸恵のモヤモヤには寄り添ってくれませんでした。
その後、別のママ友から里奈が「幸恵の夫から特別扱いされている」と吹聴していると聞かされます。
夫もシンママも信用できない
それからの数日間、私は疑心暗鬼の沼に沈んでいきました。義彦のスマホが鳴るたびに、通知画面が里奈からのものではないかと過剰に反応してしまいます。
ある夜、義彦が風呂に入っている隙に、どうしても抑えられなくなった衝動に負けて彼のスマホを見てしまいました。 そこには、私の想像を絶するやり取りが並んでいました。
里奈:『義彦さーん、またエンジンから変な音がするの(泣)明日、仕事帰りにお家の方まで見に来てくれたりしないかな?』
義彦:『仕事帰りか……。まあ、近くを通るからいいよ。19時くらいかな』
里奈:『やったぁ! 義彦さん大好き! 幸恵ちゃんには内緒だよ? 焼きもち焼かれちゃうから(笑)』
義彦:『了解。内緒にしとくよ』 ※2
幸恵の不安は、現実となってしまいました。あれほど夫にくぎを刺したのに、聞く耳を持ってもらえませんでした。里奈にも直接忠告したのに…。
約束の日。「残業で遅くなる」と告げた夫を冷ややかに見送った幸恵は、娘を連れ、現場をたしかめに行きます。
シンママ宅の前で目撃してしまった光景
果たして、夫の車は里奈さんのアパートの駐車場に停まっていました。 暗がりの中、ボンネットを開けて作業する義彦と、その横でぴったりと肩を寄せ合い、甲高い声で笑う里奈さんの姿。
「あはは! 本当、義彦さんって何でもできるんだね。私、義彦さんが夫だったら良かったのになぁ」
「よせよ、里奈さん。……さあ、これで大丈夫だよ。もう遅いから帰るね」
「えー、お茶くらい飲んでいってよ。子もども寝たし、ゆっくりお礼させて?」
里奈さんの手が、義彦の腕に絡みつきます。 義彦は一瞬ためらったように見えましたが、その手を振り払うことはしませんでした。
「……少しだけなら」
その言葉を聞いた瞬間、私は楓を抱きしめたまま、その場を走り去りました。 涙が止まりませんでした。浮気なのか、それともただの親切心なのか、もうどうでもいい。
私を裏切り、彼女の「優越感」に加担した。その事実だけで、十分でした。家に戻り、最低限の荷物をバッグに詰め込みました。 書き置きを残す気力もありません。 私は楓をチャイルドシートに乗せ、深夜の高速を実家へと走らせました。 ※3
ショッキングな場面を目撃してしまいました…。里奈は、幸恵を陥れるためだけに夫に近づきます。そして夫は、利用されていることに気づかず、まんまとワナに落ちてしまいました。
幸恵の心情を想像すると、本当にツラいですね。思わず、その場から逃げ出したくなる気持ちも理解できます。幸恵が、夫との離婚を選ぶのか、それとも再構築の道を選ぶのか。はたまた、別の道を模索するのかはわかりませんが、どうか幸恵と楓が幸せになれることを願うばかりです。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










