続編決定!映画公開中の「ちはやふる」
映画の前編後編が上映されている最中にも、さらなる続編が決定し、ヒットを飛ばす作品「ちはやふる」。
少女漫画であるも、恋愛はサブ。カルタに生きる高校生たちの、スポ根漫画と言っても過言ではない作品です。熱いセリフやストーリーに胸を打ったママたちも多いのではないでしょうか?
高校生キャラのなかにママ選手!その姿が泣ける
この作品には、主人公・千早のライバルとして、"産休明けのママカルター"が登場することを、ご存知でしょうか?そのママとは、18巻で登場するママカルター・猪熊遥さん。敵キャラという立ち位置ですが、子持ちで妊娠中という、すごいママなんです。
彼女の行動やセリフには、心にズシンとくるものがあり、共感する女性が多くいます。私も、猪熊さんのセリフや立ち向かう姿勢に、涙した一人でした。
そんな猪熊遥さんが、どうしてこんなに共感を得ているのでしょうか。彼女の魅力に迫りました♡
応援せずにいられない敵キャラ。元クイーン・猪熊遥ママ
猪熊 遥とは?
猪熊遥(いのくま はるか)
・年齢:34歳
・家族:夫・息子2人(幼稚園前後?と乳幼児)・妊娠中
・クイーン4連覇を記録(女性カルターで4年連続世界1位)
・かるた七段
猪熊さんは、2人の息子を出産・育児している間、競技かるたの世界から一線を退いていました。しかし、夫や息子たちの協力を得て、再びかるた界に復帰。クイーンの座を目指す千早たちの強敵として、戦います。
現役当時の彼女の実力は、現クイーン・若宮詩暢の才能である"感じ"を、凌駕するほどでした。
作者も"ワーママ"。リアルすぎる3つの共感ポイント
出産を経て、育児を頑張りながら試合に向かう猪熊さんの姿は、仕事復帰するワーキングマザーを彷彿とさせます。
そんなママとしての姿は、時として漫画にしてはリアルすぎることも…。それもそのはず、作者の末次由紀さん自身も母親。忙しい漫画家を生業としながら、育児も頑張る"ワーママ"なんです。
猪熊さんを通して「ママも育児以外がんばってもいいんだ」と、勇気をくれるシーンや名言をご紹介します。
1.試合会場で授乳しちゃう
大事な試合を行う会場ですが、息子が泣けばケープを使用して授乳。友人である桜沢先生も「ここでやる!?」と驚いてしまいます。
ママあるあるですが、こんなリアルなあるあるを少女漫画で紹介されるとは…!
2.復帰したら自分の知らない場所に・・・
かつて不動のクイーンとして君臨した猪熊さんですが、台頭する勢いの高校生パワーに、年齢差を感じてしまいます。
さらに、自分が敵として、甘く見られている現実を目前にしてしまいます。かるた選手は、自分の名前にかかった句にこだわりがあり、千早なら「ちはやぶる」といった句は得意札として必ず狙います。猪熊さんの旧姓は"千原(ちはら)"。「ちは」が得意札でしたが、対戦相手はノーマークでした。
数年前は世界の競技かるた選手たちから注目されていたのに、今では自分の旧姓すら知られていないことに愕然とします。
仕事に復帰するママは、猪熊さんと似たような気持ちになったことがある方も多いのではないでしょうか。
復帰するママだけではなく育休中のママにとっても、育児に奮闘している間に世間と遮断され、置いていかれる感覚を味わった方もいるはず。
このやるせない気持ちを猪熊さんも味わっており、私はただの敵キャラじゃない、ただならぬ親近感を感じました。
3.子供とかるた、どっちが大切・・・?
年齢のせいで、才能と謳われた"感じ"も衰えてきてるし、かるたの試合や練習のために子供を十分に見てあげることもできない。
己の全てをかるたに投じることはできないのに勝てるのだろうか…家族を差し置いてかるたを続けていいのだろうか。
猪熊さんは悩みながら、目の前の道を少しずつ進んでいきます。
そして、猪熊さんは、母親であることの強みに気づきます。それは、支えてくれる家族がいること。
試合中子供をみてくれる夫、応援してくれる息子、お腹にいる赤ちゃん…。家族がいて、背負うものや守るものが増えても、それは重さではなく支えが増えたこと。
無邪気な我が子が自分を「女王さま」と呼び、再び女王になることを、心に誓います。
千早たちとは違った視点で悩む様子は、とてもリアルに描かれており、末次先生も悩んだ1人だということが伺えます。若い才能に負けてしまう恐怖がありつつも、挑戦しようとする覚悟。そんな強い母親の姿に、ママ読者は胸を打たれます。
頑張っている全てのママを励ます。猪熊遥ママの3つの名言
1.「示したい。全盛期はこれからだって」
「これって情熱っていうのかしら、欲だと思うの。示したい…クイーンだったころより…なお強く…全盛期はこれからだって」
こちらの言葉は、千早たちの若い勢いに対して、再びクイーンに返り咲きたい強い思いを表したセリフ。あなたも「母親になったから、◎◎できない」と、ついつい言い訳を考えてしまうことはありませんか?私にはあります。猪熊さんだって、最初は年齢や自分のママとしての立場を理由にしようとしていました。しかし、応援してくれる家族の存在が、かるたクイーンへの情熱を再熱させてくれました。
2.「全部尽くさず負けるのなんてまっぴらよ」
クイーン戦前の大会で、猪熊さんは千早と対戦します。結果は、現クイーンを最強だと信じる千早の勝利。猪熊さんは負けた悔しさをきっかけに、かつてのライバルだった桜沢先生の連絡先を聞き、練習相手になってもらえるようお願いします。その時の言葉がこちらです。
「全部尽くさず負けるのなんて まっぴらよ」
一世代前に頂点に君臨していたプライドを捨て、今の自分を高めようとする姿に励まされるのは、ママだけではないはず。
3.「お互い幸せね」
現クイーンへの挑戦権を決める対戦で、猪熊さんは対戦相手にも支えてくれる存在がいることを感じ取ります。その時に呟いた言葉が、「お互い幸せね」。息子にもらった花を髪に挿した猪熊さん、そして親衛隊のハチマキをたすきにする対戦相手。お互いが支えられてここまで来られたことへの感謝を滲ませた一言です。
千早・太一…シーン別で振り返りたい、熱い名言3選
育児が辛い時、うまく母親ができない時
千早「あの日悔しくて良かったって いつか笑って言いたい」
ちはやふる8巻で登場する、千早の言葉。名人にあと一歩及ばなかった、かるたの先輩が心底悔しがる姿を見て、心のなかでつぶやきました。
努力が報われないことはよくあることで、子育てではさらにそれが顕著ですよね。育児は勝ち負けではありませんが、子供が成長した時にいまを振り返ると、笑って大変だった時期を思い返せる日がくるのではないでしょうか。
太一「逃げないやつになりたい」
「先生おれはA級になるより.......逃げないやつになりたい 」
徹底的な努力家であるも、卑怯さも併せ持つ太一。勝てない試合には出ない、という母の教育からか、逃げ癖がついてしまった自分を責めることも。自分の卑怯さを欠点だと思っている太一にとって、楽な方に逃げない覚悟を吐露したシーンでした。
「若くないから」と呟いてしまいそうな時
山城「立ち止まりは種を埋めてるようなもの」
「私くらいの歳になると若い人の立ち止まりは”種を埋めてる”ようなものだと思えるのよ。私から見たら、あなたも『若い人』よ。戻ってくるのよ。」
美しい日本語とともに励ましてくれる、山城専任読手。負けた猪熊さんに対して、
ママになっても夢をもつこと、育児以外の何かを見つけることが大事
とても魅力的な、人生をかけてかるたを取る、ちはやふるの登場人物たち。
私が本作を読んでいた頃は、子供が添い乳をして寝ても、離れると起きてしまうために、ずっと一緒に隣で横になっていた間でした。そんなちょっとした息抜きに、スマホでも読める「ちはやふる」はいかがでしょうか?
きっと、ママにも届く、素敵な言葉が見つかりますよ。