国内でヒアリ発見
環境省は兵庫県尼崎市にて5月26日に発見されたアリについて、6月9日に「ヒアリ」であることが確認されたと発表しました。ヒアリは毒性があり、人体に影響があるとされているアリです。
その後、平成29年7月12日現在に至るまで、以下の場所でヒアリが見つかっています。
- 兵庫県尼崎市
- 兵庫県神戸市
- 愛知県弥富市
- 大阪府大阪市
- 東京都大井ふ頭
港にあるコンテナや、そのコンテナが運ばれた先の場所でヒアリが発見されており、海外からコンテナに乗ってやってきたものと考えられます。
強毒があり、攻撃性が強い
ヒアリは攻撃性が強く、お尻の針に毒があります。刺された場合には激しい痛みを伴い、水泡状に腫れることがあります。また、体質によってはアレルギー反応を起こす場合があり、特に危険な生物です。
海外ではアレルギー反応を起こしたという報告や、アナフィラキシーショックによる死亡例も報告されています。安易に触ったり、捕まえたりしてはいけません。
- 環境省「ストップザヒアリ」(https://www.env.go.jp/nature/intro/4document/files/r_fireant.pdf,2017年7月8日最終閲覧)
- 東京都環境局「ヒアリ」気をつけて!危険な外来生物(http://gairaisyu.tokyo/species/danger_15.html,2017年7月8日最終閲覧)
- 東京都「東京港大井ふ頭において確認された「ヒアリ」について」(http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/07/07/03.html,2017年7月8日最終閲覧)
- 環境省「ヒアリ(Solenopsis invicta)の国内初確認について」(http://www.env.go.jp/press/104185.html,2017年7月8日最終閲覧)
- 環境省「特定外来生物の解説」環境省(https://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/list/L-kon-02.html,2017年7月9日最終閲覧)
- 環境省「ヒアリ(Solenopsis invicta)の国内初確認について」(http://www.env.go.jp/press/104185.html,2017年7月9日最終閲覧)
- 環境省「東京港におけるヒアリの確認について」(http://www.env.go.jp/press/104306.html,2017年7月9日最終閲覧)
- 環境省「大阪港におけるヒアリの確認について」(http://www.env.go.jp/press/104283.html,2017年7月9日最終閲覧)
普通のアリとの見分け方
世界には約1万種類ものアリが存在するといわれています。そのうち、日本で生息しているアリは約300種類ほど。300種類の在来種の特徴をすべて知るのは困難ですが、環境省は「ヒアリか、そうではないか」と見極める簡易的な基準を発表しています。アリを見つけた時は、この基準をもとにヒアリかどうか確認をしましょう。
ヒアリかもしれないと疑われるときには自治体に連絡をし、捕まえようとしたり触ったりしないようにしてください。
日本にいる在来種のアリ
環境省の「ヒアリの簡易的な見分け方(暫定版)」によると、ヒアリではない日本在来種の特徴は以下だといわれています。
- 黒いアリ
- 2.5㎜以下の小さいアリ
- 赤っぽいアリでも大きさに連続的変異がないもの
海外には黒いヒアリも存在しますが、日本に入ってきているヒアリは赤っぽいアリだといわれています。
また、ヒアリの特徴として大きさが一定ではなく、2.5㎜~6.5㎜ほどで個体差が激しいとされています。そのため、だいたい同じ大きさのアリの集団は、ヒアリではないと考えられます。
ヒアリ
環境省
環境省が2017年7月に発表した資料によると、現在日本に渡来しているヒアリの特徴は以下のようなものです。
- 赤っぽくツヤツヤしている。腹部の色は暗め
- 働きアリの大きさが2.5㎜~6.5㎜と、連続的な変異がある
- 行列を作り、餌に集まる
以上は、顕微鏡を使わなくても目視で確認できるといわれています。このような特徴がみられる場合はヒアリかもしれないと考えられます。
また、ヒアリの大きな特徴として大きなアリ塚とよばれる巣があります。日本の在来種でヒアリのように土でできた大きな巣を作る種類はいません。上記のような特徴のアリが、土が盛り上がった巣の周辺で見つかった場合には警戒しましょう。
なお、上記の見分け方はあくまで簡易的なものです。環境省は、正確に見分けるためには専門家が顕微鏡を使って観察しなければ判断できないと説明しており、迷ったら避けて行動しましょう。
- 環境省「ヒアリの簡易的な見分け方(暫定版)」(http://www.env.go.jp/press/files/jp/106316.pdf,2017年7月8日最終閲覧)
- 甲南大学「アリの話」甲南大学理工学部生物学科細胞学研究室(http://www.konan-u.ac.jp/hp/aya-got/ants.html,2017年7月9日最終閲覧)
- 九州大学「前人未到の地で新種を発見したい」九州大学先生の森(https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/university/professor/maruyama.html,2017年7月9日最終閲覧)
- 環境省「ストップザヒアリ」(https://www.env.go.jp/nature/intro/4document/files/r_fireant.pdf,2017年7月9日最終閲覧)
- 東京都環境局「ヒアリ」気をつけて!危険な外来生物(http://gairaisyu.tokyo/species/danger_15.html,2017年7月9日最終閲覧)
- 環境省「ヒアリについて」(http://www.env.go.jp/press/files/jp/106333.pdf,2017年7月10日最終閲覧)
ヒアリに対する対策は
ヒアリに刺されないようにしたり、実際に見かけた時に駆除したりするための対策は、どのようにすればよいのでしょうか。ヒアリに対する予防策と、見かけてしまった時の対応についてお伝えします。
慌てずに落ち着いて、必要な対策を取ることが大切です。
刺されないように予防する方法
まずヒアリに刺されないように予防するには、ヒアリが刺すことができないように肌を露出しないことが大切です。特に足元はアリがいる地面に近いため、サンダルではなくシューズを着用し、できるだけ肌を露出せずに長ズボンを着用するとよいでしょう。
また、アリがたくさんいる草むらには、できるだけ近づかない方がよいでしょう。
駆除する方法
ヒアリを発見し、駆除する場合には以下のような方法があるといわれています。
- 熱湯をかける
- 液剤を散布する
- ベイト剤を使う
見える範囲のヒアリを駆除するのであれば、熱湯で駆除することが可能です。しかし、巣穴は深いため、巣に熱湯をかけてもすべてのヒアリを駆除するのは難しいとされています。
液剤を巣に注入することで巣の中のヒアリを駆除することができますが、これは生息範囲が狭い場合に有効な手段といわれています。
ベイト剤は毒入りの餌で、働きアリが巣穴に持ち帰ることで巣の中のヒアリを駆除することが可能です。目の前のヒアリをすぐに駆除できるわけではありませんが、より多くのヒアリを効果的に駆除するには有効です。
万が一刺されたら
万が一ヒアリとみられるアリに刺された場合には、20~30分は安静にし、体調に変化がないか注意しましょう。症状が悪化しない場合には急がずに病院を受診します。
もしも症状が悪化してくる場合には、救急受け入れのある病院を受診し「アリに刺された」ということ、「アナフィラキシーの可能性があること」を伝えて、すぐに治療をしてもらいましょう。
- 神戸学園大学医務室「特定外来生物ヒアリに注意してください!」(http://www.kobegakuin.ac.jp/support/student_life/pdf/0623.pdf,2017年7月9日最終閲覧)
- 神戸市「お知らせ」(http://www.hma-web.or.jp/photo/特定外来生物「ヒアリ」「アカカミアリ」.pdf,2017年7月9日最終閲覧)
- 和歌山県「特定外来生物「ヒアリ」について」(http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/032000/032500/sizen/hiari.html,2017年7月9日最終閲覧)
- 環境省「ストップザヒアリ」(https://www.env.go.jp/nature/intro/4document/files/r_fireant.pdf,2017年7月9日最終閲覧)
- 沖縄県「第3章 外来アリ類(ヒアリ等)の防除技術・体制の確立」(http://www.pref.okinawa.jp/site/kankyo/shizen/hogo/documents/04daisanshou.pdf,2017年7月9日最終閲覧)
- 東京都環境局「ヒアリ」気をつけて!危険な外来生物(http://gairaisyu.tokyo/species/danger_15.html,2017年7月9日最終閲覧)
- 東京都環境局「どんな 外来生物がいらいせいぶつがいるの?」気をつけて!危険な外来生物(http://gairaisyu.tokyo/children/type_15.html,2017年7月9日最終閲覧)
- 環境省「ヒアリについて」(http://www.env.go.jp/press/files/jp/106333.pdf,2017年7月10日最終閲覧)
落ち着いて、まずは刺されないための対策を
子供たちが進んで手を出してしまいがちな、小さな生物「アリ」。今までは身近な生物として子供と一緒に楽しんでいたママたちも、今回のヒアリについての報道はとても怖いと感じているかと思います。
まずママたちができる対策は「予防」です。草むらなど足元が見えにくく、アリがよく生息している場所に出かける場合には、サンダル履きは避けるなどの対策を行いましょう。
ヒアリは他のアリとは違った特徴があり、今はまだすべての都市にいるものではありません。生活の中でアリを見つけたら、まずは落ち着いてヒアリの特徴と比べてみましょう。もし「ヒアリかもしれない」と感じたら焦らず、また無理に駆除を試みずに、自治体に連絡をして確認を依頼しましょう。
子供たちが興味を持ちやすい生物だからこそ、正しい知識をもって、落ち着いて対処したいですね。