妊活は社会で理解されているの?
晩婚化や晩産化が進んでいる昨今、不妊治療は少しずつ身近な医療となってきました。国立社会保障・人口問題研究所が2015年6月に行った「第15回出生動向基本調査」によると、不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦は5.5組に1組だそうです。
しかしデリケートな内容なため、日常生活において話題に触れることは少ないようで、サポート体制などはまだ十分ではありません。
妊活者用SNS「妊活ボイス」が行った妊活や不妊治療に関する調査によると、3人に1人が妊活中に退職や転職を経験、正社員の半数は妊活と仕事の両立は無理と感じ、精神的負担を理由に退職・転職をしていることが分かりました。妊活にはお金がかかりますから、仕事を続けたかったという人も多かったと思います。
より一層理解を深めてもらわないと、妊活する上で困難が生じる可能性があります。また、少子化にもなかなか歯止めがかからないのではないでしょうか。
「妊活×仕事」調査で見えてくる課題は?
妊活者用SNS「妊活ボイス」では、妊活&不妊治療と仕事に関する調査を行いました。
調査内容は妊活中に退職や転職を経験したか、妊活と仕事の両立は困難か、妊活中の退職、転職理由は何かということ。その回答の中から見えてくる課題について、探ってみましょう。
- 調査対象:10年以内に妊活経験のある20~49歳のまでの女性
- 有効回答数:300名
- 調査期間:2017年10月11日~10月30日
- 調査方法:インターネット上での回答
妊活中に退職、転職を経験した人は3人に1人
妊活ボイス
このグラフから分かるように、妊活のために仕事を辞めたという人は18.2%、16.1%は転職や社内異動を経験されています。それでも65.7%の方は変わらずに仕事を続けていますが、3人に1人は退職、転職を経験しているということに。
妊活はお金がかりますし、なるべくならば慣れた仕事を続けたいもの。それがかなわないというのも、周囲の理解が行き届いていないからでしょうか。この状態ですと、妊活してまでも子供は欲しくないという人も出てくるかもしれません。そうなると、少子化が深刻になる一方です。
妊活と仕事の両立は困難!
妊活ボイス
妊活と仕事の両立についての質問では、就労者全体の46.7%が「とても困難」「困難」と答えました。その質問を正社員に限定すると、実に51.3%が困難と感じているということです。「パートだったから認めてもらえたけど、正社員だったら厳しかったかも。」という声や「病院に通う頻度が多くなるため、働きながら決まった日に通院というのはきつかった。」という声がありました。
このような結果を見ますと、果たして世の中は子供を望んでいるのだろうかという気持ちになります。子供が生まれなければ、日本がこの先どうなってしまうのかと懸念する世の中でないと少子化は歯止めがかかりません。不妊治療をして子供を授かりたい人が増えているのですから、世の中もそのような人たちの声を聞くべきではないでしょうか。言いにくい環境自体を変える必要があると言えそうです。
精神的負担が退職、転職の理由
妊活ボイス
妊活のために退職、転職をした理由で一番多かったのは精神的負担でした。どういうことかと言いますと、「職場でのフォローがなかった」という声があるように、周囲との兼ね合いが難しいようです。
厚生労働省の調査によりますと、70%もの企業が不妊治療に対しての支援やフォローの制度はないと答えました。不妊治療は受けた人にしかわからないつらさがあるため、そのような人たちをフォローしてほしいものですよね。
子供がいない国は未来も暗くなってしまう
少子化が叫ばれて何年もたちますが、国の制度がそれほど不妊治療に向けて変わってきたようには思えません。それは上記の結果からも明らかでしょう。不妊に対する支援体制を確立させなければ、子供は減っていく一方ではないでしょうか。
企業が不妊治療を受ける人にとって居心地よい職場環境を作るには、まずは国が先行して「少子化をストップさせる」という意志を持った対策を講じるべきといえるでしょう。