「あかちゃんのあそびえほん」シリーズ作者、きむらゆういちさん
1988年の初版から30年間、赤ちゃんが初めて読む絵本として親しまれ続けている「あかちゃんのあそびえほん」シリーズ。初版から変わらずに登場するキャラクターがママにとって懐かしく、赤ちゃんにとっては新たに出会った友達のように感じられるこの絵本には、世代を超えて愛される魅力があります。
いったいなぜ「あかちゃんのあそびえほん」はまだ言葉もわからない赤ちゃんの笑顔を引き出せるのか。その魅力の秘密を知るべく、作者のきむらゆういちさんにお話を聞きました。
子育て中に生まれた『ごあいさつあそび』のアイデア
Ⓒママリ
――大人気シリーズ「あかちゃんのあそびえほん」は、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか?
もとになったアイデアは、僕自身が子育てをしているときに生まれました。一番上の女の子が2歳くらいのときかな。お客さんがきたら「こんにちは」、帰るときは「バイバイ」って、あいさつを教えようとしていたんですよ。
そんなときにね、たまたまテレビでお昼のニュース番組をやっていて、キャスターが「こんにちは、お昼のニュースです」って頭を下げたの。そうしたら娘もテレビに向かってペコッて、頭を下げたんだよね。
僕はその様子を見て「これは面白い」と思いましてね。紙に書いた動物がおじぎする絵を机に貼っておいたんですよ。娘にあいさつをしてほしいときには、その絵をペコリとおじぎさせるの。そうすると、娘もまねをして、ペコッとあいさつができてね。これはいいと思いました。
それから数年たって、絵本の編集者と打ち合わせをしているときに、おじぎの絵のことを思い出して、アイデアとして出したのが、『ごあいさつあそび』の出版につながったんです。
「生後4ヶ月のわが子が笑いました」読者からの手紙で反響を実感
――『ごあいさつあそび』を出版した当時、これだけのロングセラーになると予想していましたか?
いいえ。はじめはね、絵本の内容を十分に理解できない赤ちゃんが、そんなに楽しめるかなと半信半疑だったんです。でも、出版後に、購入したお母さんからお便りをいただくことがあって、そこに「生後4ヶ月のわが子が笑いました」って書いてあってね。
それで「ああ、本当に赤ちゃんが楽しんでくれているんだな」と実感しました。