子宮頸がん検査(検診)の目的
子宮頸がんが発症する原因は、HPV(ヒトパピローマウイルス)への感染によるものです。HPVに感染すると、約5~10年以上かけて子宮頸がんとなります。
ヒトパピローマウイルスへの感染が続くと、細胞は少しずつ変化し、がんの前段階である子宮頸部異形成を経てがん化しますが、定期的な検査によって子宮頸部異形成の段階で発見することができます。がん化する前に病変を見つけることが子宮頸がん検査の目的です。
また、がん化しても早期発見ができれば治療をすることで完治する可能性が高くなりますが、初期段階の子宮頸がんでは自覚症状がほとんどないため早期発見が難しいです。早期発見による早めの治療のためにも定期的に検査を受けることが重要です。
- 日本対がん協会「検診の意義と目的」(https://www.jcancer.jp/about_cancer_and_checkup/各種の検診について/子宮がん検診について/検診の意義と目的,2019年4月2日最終閲覧)
- 千葉県医師会「健康トピックス」(https://www.chiba.med.or.jp/general/topics/care/care1_1_05_04.html#questions01,2019年4月2日最終閲覧)
子宮頸がん検査の方法と内容
子宮頸がんの検査は、まず問診や視診、子宮頸部の細胞診を行います。また、子宮や卵巣の状態を確認するために、超音波検査を行うこともあります。子宮頸部の異形成やがんが疑われるときは、精密検査を行って異形成やがんの診断をします。
子宮頸部の異形成であれば、医師の指示に従って定期的な精密検査を受けて経過観察となることがありますが、子宮頸がんと診断された場合は、症状にあわせた治療が必要です。
細胞診
細胞診は、子宮の入り口付近を専用のブラシでこすって細胞を集めて、顕微鏡でがんの前段階である病変やがん細胞の有無を確認する検査です。
がん細胞は、正常な細胞とは異なった形や色をしています。顕微鏡で見ると違いが確認できるため、子宮頸がんの診断に役立ちます。
コルポスコピー
細胞診で子宮頸部の異形成や子宮頸がんが疑われた場合は、コルポスコピーという検査を行います。
コルポスコピーとは、コルポスコープという拡大鏡で子宮頸部の粘膜の部分を拡大して観察する検査です。検査時に3%の酢酸液を子宮頸部に塗布し、病変がある部分を特定して組織を採取します。
子宮頸部や膣壁を通常の6~40倍に拡大して観察することができるため、肉眼で確認しきれない粘膜や血管の変化を発見することができます。
組織診
コルポスコープ診で異常が発見された場合は、異常があった箇所の組織を採取する組織診を行います。
採取した組織から病理組織の標本を作り、顕微鏡で観察してがんの診断をします。がんの確定診断ともいえる検査で、検査時は痛みや出血を伴うことがあります。
小さな組織片からでもがんや異形成細胞の組織構成を確認できて、どの部分の病変であるのかが特定できるという点が組織診の特徴です。
ただし、子宮頸部全体を採取するわけではないため、病変がある部分を正確に採取できていなければ、実際の病変と検査結果に相違が出る場合があります。
超音波検査
子宮頸がん検査で行う超音波検査は、体の表面に超音波をあてて行う経腹超音波検査、もしくは膣内に器具を挿入し超音波をあてる経膣超音波検査のどちらかで行われます。
子宮頸がんの性質や状態を確認したり、病巣と周囲の臓器の位置、他の臓器やリンパ節への転移の有無を調べたりします。
CT検査・MRI検査
組織診で、病変が疑われる部分が子宮頸部周囲の組織に入り込む浸潤がんだと診断された場合は、画像検査(CT検査・MRI検査)を行います。
CT検査やMRI検査では、他の臓器やリンパ節への転移の有無、子宮周辺への浸潤(がんの広がり)の程度を調べることが可能です。
- 国立がん研究センターがん情報サービス「子宮頸がん」(https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/diagnosis.html,2019年4月2日最終閲覧)
- 東京都がん検診センター「正しいがんの知識」(http://www.tokyo-cdc.jp/about/sikyuu.html,2019年4月2日最終閲覧)
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- 高輪台レディースクリニック「コルポスコピー・組織生検」(http://takanawadai-lc.com/colposcopy.html,2019年4月2日最終閲覧)
- 日本医師会「子宮頸がん検診」(https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/type/cervix/checkup/,2019年4月2日最終閲覧)
- 井上裕美(監)「病気がみえるvol.9 婦人科・乳腺外科」P144(メディックメディア,2015年)
- 新百合ヶ丘総合病院「子宮頸がんとは」(http://www.shinyuri-hospital.com/department/15_sanhujin/disease01.html,2019年4月2日最終閲覧)
- 藤東クリニック「コルポスコープ」(https://fujito.clinic/home/gyn/cca/colp/,2019年4月3日最終閲覧)
子宮頸がん検査の費用
厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」によると、子宮頸がんの検査は20歳になったら2年に一度受けることが推奨されています。各自治体では健康増進法に基づきがん検診を実施しており、がん検診費用の多くを公費でまかなっているため、費用を一部負担するだけで検査を受けることができます。
また、仕事をしている場合は、職場が加入している健康保険組合でも子宮頸がん検診を行っているため、健康診断の際に併せて受けておくとよいでしょう。
ただし、自治体や職場の健康保険組合の検診でない場合は、自己負担となる項目もあります。検診費用は医療機関によって設定が異なるため、受診前にどのような検査をしてどれくらい費用がかかるのか調べておくと安心です。
妊娠・出産・子育てアプリの「ママリ」では以下のような声がありました。
子宮頸がん検診の公費助成については、自治体によって多少内容が異なります。助成される費用や自己負担する費用については、お住まいの自治体に確認しましょう。
また妊娠した場合は、妊娠確定後の初期検査で子宮頸がんの検査が行われます。その際は妊婦健診の補助券を使用することが可能です。
- 厚生労働省「がん検診」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059490.html,2019年4月17日最終閲覧)
- セントラルクリニックグループ「乳がん・子宮がん検診」(https://www.central-cl.or.jp/ccl/kenshin/ladies/,2019年4月17日最終閲覧)
- 日本医師会「がん検診を受けるにはどのくらいの費用がかかるの?」(https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/how/cost/,2019年4月17日最終閲覧)
- 台東区「子宮頸がん検診(無料)」(http://www.city.taito.lg.jp/index/kurashi/kenko/gankensin/shikyukeigankenshin.html,2019年4月17日最終閲覧)
- 越谷市「子宮頸がん検診」(https://www.city.koshigaya.saitama.jp/kurashi_shisei/fukushi/yobousesshu2/kensinsodan/shikyuugann.html,2019年4月17日最終閲覧)
定期的に子宮頸がん検査を受けましょう!
子宮頸がんは、子宮頸部異形成の段階で発見できれば治療はさほど難しくありません。早期発見のためには定期的な検査を受けることが重要です。
子宮頸がんの検査は、20歳以上になったら2年に一度受けることが推奨されています。子宮頸がんは、初期の段階では自覚症状がないことが多いため、できれば異常が無くても年に1回検診を受けておくとさらに安心です。
自治体が行っている検診や職場の健康診断で受けることができ、検診費用を一部補助してくれる制度もあります。検診の時期や費用については、お住まいの自治体や職場に問い合わせてみるとよいでしょう。