エスカレーターで起きた子どもの事故事例をご紹介
それではまず、日本で実際に起きた子どものエスカレーター事故の事例を見ていきましょう。
- 2歳:エスカレーターでの移動中に建物の壁に手をついたため後方に転落した。(上りエスカレーター上)
- 2歳:手すりのベルト引き込み口に手を入れて巻き込まれた。(エスカレーター降り口)
- 3歳:エスカレーターと側面ガードの間に指を挟める。子どもは持っていたゴミを拾おうとしていた。(上りエスカレーター上)
- 5歳:エスカレーターと側面ガードの間にサンダルとつま先を挟める。子どもが後ろを振り向いた際に事故発生。(上りエスカレーター上)
- 10歳:付近の広告つりがねにフードを挟め首がしまる。子どもは手すりによりかかりながらエスカレーターに乗っていた。(エスカレーター上)
東京消防庁の管轄内では、平成25年~平成29年の5年間で43人の小さな子どもがエスカレーター事故で救急搬送されたそうです。幸いなことにいずれも死亡事故ではありませんが、子どもにとってエスカレーターが危険なものであることがおわかりいただけるはず。
実際に起きたエスカレーター事故事例を確認すると、事故に遭った子どもの中で遊んでいた子どもは少なく、何かの拍子に巻き込まれてしまったというケースが多く見られますね。
- 東京消防庁「エスカレーターで起きる乳幼児のはさまれ事故に注意!」(https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/topics/201506/escalator.html,2021年2月18日最終閲覧)
子どものエスカレーター事故の原因とその予防対策
ふとした拍子に起きてしまいがちな子どものエスカレーター事故。大切な子どもを守るためには、パパママが事故の原因を知って、しっかりと予防・対策をしてあげることが大切です。
それでは、子どものエスカレーター事故の原因と、それぞれの予防・対策法について確認していきましょう。
原因1:エスカレーターの近くで遊んでいた
小さな子どもは遊んでいるうちに、エスカレーターの手すりのベルト引き込み口に巻き込まれてしまうことが少なくありません。最初にご紹介したエスカレーター事故事例の中にもありましたが、遊びに夢中になっているうちに巻き込まれたり、エスカレーターの引き込み口に興味を持ってしまったりする子も。
事故を予防するためには、エスカレーターの付近で遊ばせないことがいちばんです。エスカレーターの近くで遊んでいたら、危ないからと必ず注意してください。
原因2:手すりに寄りかかった・手すりから身を乗り出した
エスカレーターの手すりに寄りかかる、手すりから身を乗り出すなど、乗り方が間違っていることも子どものエスカレーター事故の原因です。手すりの近くに乗っていると、建物の壁で頭を打ったり、広告の吊りがねに洋服を引っ掛けてしまったりと思わぬ危険にさらされがちです。
エスカレーターに乗るときには、なるべくステップ中央のほうに乗り、手すりから外に体が出ないようにすることを子どもに教えてあげることが大切ですね。
原因3:スカート・マフラー・靴ひもが巻き込まれた
スカートやマフラーが長く、エスカレーター側面のガードに巻き込まれてしまう事故は子どもに起こりがちです。ほどけた靴ひもも巻き込まれやすいもののひとつ。
エスカレーターに乗る前に、子どもの服装で巻き込まれやすいところはないか、パパママがしっかりとチェックしてあげてください。マフラーは垂れ下がりが少なくなるようにし、靴ひもがほどけていたら結び直してあげましょう。もちろん、ステップ中央に乗って巻き込まれないようにすることも基本です。
原因4:ビニール樹脂製の靴が巻き込まれた
子ども用のサンダルや長靴によく使われているビニール樹脂。ビニール樹脂製の靴は、スカートやマフラーと同じように側面のガードに巻き込まれやすいため注意してください。ビニール樹脂がガードに触れると、摩擦によってそのまま強く巻き込まれてしまうことがあります。
とは言え、ビニール樹脂の靴を履かせているというパパママもいるでしょう。その場合は子どものエスカレーター事故を未然に防ぐために、靴が巻き込まれないよう黄色い線の内側に立たせてあげることが大切ですよ。
原因5:子どもをベビーカーに乗せていた
小さな子どもであれば、ベビーカーに乗せたままエスカレーターに乗せているというパパママもなかにはいます。しかし、ベビーカーから手が離れてしまったり、バランスを崩したり、人がぶつかったりするとベビーカーごと転落してしまうリスクもあるでしょう。
一般社団法人日本エレベーター協会では、ベビーカーのエスカレーターの乗り入れを禁止しています。エスカレーターに乗るときは、子どもをベビーカーから降ろし、パパママが抱っこしながら乗るようにしてくださいね。
原因6:子どもが1人でエスカレーターに乗った
正しくエスカレーターに乗れる子でも、1人で乗ると転落してしまうことがあります。子どもは大人より体のバランスを取るのが難しく、動いているエスカレーターの上でバランスを崩してしまうことも…。
エスカレーターでの転落事故を防ぐために、エスカレーターに乗るときは子どもをステップ中央に乗せ、パパママが手をつなぎながら乗ってあげると安心です。
- 日本エレベーター協会「エスカレーターのご利用について > お願い」(https://www.n-elekyo.or.jp/instructions/escalator.html?tab=3,2021年2月24日最終閲覧)
エスカレーターに乗る時の注意点
子どものエスカレーター事故を防ぐには、パパママが子どもにエスカレーターの正しい乗り方を教えてあげることがいちばんの方法です。子どもが安全にエスカレーターを使えるように、注意点に気をつけて乗るよう教えてあげましょう。
一般社団法人日本エレベーター協会の「エスカレーターの使い方」によると、子どもが特に注意するべきポイントは次のようになっています。
・お子様の1人乗りは危険です
・顔や手を乗り出した利用は大変危険です
・ビニール樹脂製の履物はご注意ください
・落とし物をしたら係員を呼んでください
・手すりにまたがるなどして遊ばないでください
・寄りかからないでください
・裸足では絶対に乗ってはいけません ※1
大人にとっては何でもないことでも、子どもにとっては危険なこともあります。最初のエスカレーター事故事例でご紹介したように、落としたものを拾おうとしてエスカレーターに巻き込まれる子どもも少なくないことから、つい自然にしてしまう「落としたものを拾う」ということも事故の原因になりかねません。
手すりから身を乗り出さない、エスカレーターの近くで遊ばないという基本的なことだけでなく、エスカレーターの正しい乗り方や注意点もちゃんと教えてあげられれば、子どもがエスカレーター事故に遭う確率はぐんと低くなるはずですよ。
子どものエスカレーター事故を防ぐには乗り方が大切
子どものエスカレーター事故事例や事故の原因をご紹介してきましたが、エスカレーター事故を防ぐためには、パパママが子どもに正しい乗り方をしっかりと教えてあげることが最大の対策法です。
日本でも多くの事故が発生しているエスカレーター。この記事を参考にしながら、エスカレーターの近くで遊ばないこと、1人で乗らないことを基本として、安全な乗り方を教えてあげたいですね。