川崎病とは
川崎病とは、1967年に小児科医の川崎富作氏が発表した病気で、世界でも「Kawasaki Disease(KD)」という病名で知られています。地名の「川崎」との関連はありません。発症する原因は研究中で、詳しくは不明とされています。
川崎病の患者のうち、およそ80%は4歳以下の子供だといわれています。この時期の育児中には気を付けたい病気といえるでしょう。
- 加藤裕久ほか「好発年齢を外れて発症した川崎病の検討」(https://www.niph.go.jp/wadai/mhlw/1994/h060219.pdf,2019年11月21日最終閲覧)
- 関西医科大学「川崎病ってどんな病気?」(http://www2.kmu.ac.jp/openSeminar/open09/02ogino.html,2019年11月21日最終閲覧)
川崎病の症状
川崎病の症状は「急性期の症状」と「残る可能性がある後遺症」に分けられます。
急性期の症状
川崎病を発症してすぐの「急性期」には以下のような症状が出ます。体の変化を観察し、できるだけ早く受診しましょう。
- 高熱が続く(38℃以上が5日以上)
- 両目が充血する
- 唇が真っ赤になったり、舌にいちご状のブツブツができる
- 全身に赤い発疹が出る
- 首のリンパ節が腫れる
- 手足のむくみが起こり、熱が下がる頃に手足の皮膚がむける
これらの症状のうち、5つ以上に当てはまる場合は川崎病と診断されます。また、当てはまる症状が4つの場合でも冠動脈瘤(かんどうみゃくりゅう)がみられる場合は川崎病と診断されます。
冠動脈瘤とは、心臓全体に酸素や栄養を供給している冠動脈という血管に瘤(こぶ)ができることです。
しかし、中には上記に当てはまらない、非定型の川崎病もあるといわれています。長期間にわたって高熱が続き、全身に発疹が現れた場合には、すぐにかかりつけ医に受診しましょう。
これらの急性期の症状は、1~2週間ほどでおさまることが多いといわれています。
残る可能性がある後遺症
川崎病でできた冠動脈瘤は、後遺症として残る可能性があります。
川崎病の急性期に冠動脈瘤ができると、その後、「冠動脈障害」と呼ばれる後遺症が起こり得ます。これは、冠動脈に血栓ができて詰まったり、血管壁が厚くなったりして血管が狭くなり、心筋に十分な血液がゆきわたらなくなることがあるものです。ときには心筋梗塞などを引き起こす要因になることも。
冠動脈瘤の中に血栓ができて生じる心筋梗塞は、川崎病の発症から1年半以内に、血管が狭くなる狭窄(きょうさく)は発症後1,2年後、あるいは10年ほど経過してから出てくるケースがあります。医師の診断によっては、後遺症の状況について、定期的な通院で確認しましょう。
- 日本川崎病学会「日本川崎病学会とは」(http://www.jskd.jp/about/index.html,2019年11月14日最終閲覧)
- 千葉県医師会「乳幼児に要注意!「川崎病」を知ろう」(https://www.chiba.med.or.jp/general/topics/medical/medical_49.html,2019年11月14日最終閲覧)
- 国立循環器病研究センター「循環器病情報サービス」(http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/child/pamph31.html,2019年11月14日最終閲覧)
- 日本赤十字社「小児科からの疾患メッセージ[6.川崎病]」(https://www.haga.jrc.or.jp/diagnosis/clinic/child/child_message06/,2019年11月21日最終閲覧)
- お茶の水循環器内科「川崎病」(http://xn--v6qx2jexjd1vw1f.com/kd/,2019年11月21日最終閲覧)
- 日本医療機能評価機構「川崎病 Minds版やさしい解説」(https://minds.jcqhc.or.jp/n/pub/3/pub0164/G0000756/0005,2019年11月21日最終閲覧)
- 日本心臓財団「冠動脈瘤」(https://www.jhf.or.jp/check/opinion/4-3/1461s.html,2019年11月21日最終閲覧)
川崎病の治療方法
川崎病の場合、入院治療となることがほとんどです。心臓疾患などの後遺症をできるだけ残さないためにも、発症してから7日前後までには治療を始めることが大切だといわれています。
治療の方法は本人の状況や検査結果によって異なりますが、大きく分けて主に2種類の治療法が用いられます。
- 免疫グロブリン療法:炎症を抑制して冠動脈瘤ができるのを防ぐ
- アスピリン療法:血管の炎症を抑制し、血液を固まりにくくし、血栓ができるのを防ぐ
上記の治療で改善がみられない場合は、ステロイド剤や免疫抑制剤を使って治療することもあります。詳しくは主治医の指示に従ってください。入院はおよそ1~3週間です。
なお、退院したあとも、冠動脈瘤ができていないか定期的にチェックをします。退院時に冠動脈の病変がない場合、発症後1ヶ月、6ヶ月、1年、5年をめどに通院し、心臓超音波検査等を受けます。それらの検査で問題がないとされた場合、その後の通院は不要となります。
- 日本血液製剤機構「川崎病」(https://www.jbpo.or.jp/kd/treatment.html,2019年11月14日最終閲覧)
- 静岡市立清水病院「川崎病ってどんな病気?」2019年2月1日(https://www.shimizuhospital.com/organ/11001/,2019年11月14日最終閲覧)
- 佐地勉ほか「「川崎病急性期治療のガイドライン」(平成 24 年改訂版)」(http://minds4.jcqhc.or.jp/minds/kawasaki/kawasakiguideline2012.pdf,2019年11月18日最終閲覧)
- 船内クリニック「川崎病について」(https://www.funauchi.org/archives/123,2019年11月21日最終閲覧)
- 日本血液製剤機構「川崎病のエキスパートに聞く」(https://www.jbpo.or.jp/med/jb_square/kd/kawasaki/ka01/01.php,2019年11月21日最終閲覧)
「わが子が川崎病に」先輩ママの体験談
ここからは、実際にわが子が川崎病にかかったことがあるママの体験談をご紹介します。症状や状況は人それぞれですが、いざというときの参考にしてください。
1. 診断が出るまでが不安だった
上の子が幼稚園で何か貰ってきてたのかな、買い物やご近所の付き合いに参加して無理させちゃったのかな、もっと気をつけて見てたら防げたのかなと自分がいけなかったのではと思ってました。
お医者様からこの病気の説明はちゃんと受けられましたか?
未だに原因は不明ですが今は治療法もどんどん進歩しています。
(中略)
そして経過観察は長くしていかなければならないけれど、それほどビクビクしながら過ごさなくてはいけない病気でもないそうです。
川崎病だと気づくまでがつらかったというママの声です。原因がわからないまま、体調が悪い子供の看病をするのはつらいですね。
その分、診断を受けた後は適切な治療を受けられることもあり、少し前向きな気持ちになれるのかもしれません。
2. はじめは風邪と診断された
最初は高熱で病院いったら風邪からくるものと診断され、次の日熱は下がらず発疹がでてきて、目が充血してたので再度病院いったら川崎病の疑いで大きい病院に移されて即入院でした。
(中略)
入院は発見が早かったんで1週間で退院しました。
川崎病の急性期に出る症状は、高熱や目の充血など、ほかの病気と見分けがつきにくいものがあります。受診してもしばらくは川崎病であるとわからないケースも。
一度受診したあとでも、さらに気になる症状が出た場合は再受診した方がよいでしょう。
3. 今は再発せず、普通の生活をしている
川崎病は、症状が治まったあともしばらくは通院し、後遺症の確認をする必要があります。子供を連れて定期的に通院するのは大変ですが、再発せず元気に生活してくれるのが一番ですね。
子供の症状に「あれ?」と思ったら受診を
川崎病の症状は、一見ただの風邪だと思ってしまうようなものも含まれます。ただ、子供の様子を観察して「いつもと違うかも」と感じる部分があれば、できるだけ早く受診し、医師の判断を仰ぎましょう。
入院や検査はかかりつけ医ではない病院で行うこともあります。初めての病院の場合は緊張するかもしれませんが、落ち着いて受診してくださいね。