5月に増加する子どもの交通事故
子どもの交通事故が最も増えるのが5月です。パパママにとってはゾッとする話ですが、5月に交通事故が多いのは、交通ルールに不慣れな小学校入学直後の児童による事故が多い時期だからだと考えられます。内閣府から公開されている「交通安全白書」の記載を確認してみましょう。
〈発生月別〉
「歩行中」について,発生月別に死者・重傷者数を見ると,3~6月及び10・11月が多い。学年別に見ると,特にこの時期には,小学1・2年生が多い。1年生については,入学間もない4月よりも5月中・下旬が第1のピークとなっている。
…中略…
〈小学1年生の発生月別目的別〉
小学1年生に着目して,歩行中事故の発生月別・通行目的別に死者・重傷者数を見ると,事故の多い4~6月のうち,特に5月中・下旬に,私用及び下校中の死者・重傷者が多いことがわかる。
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このように、実際に毎年5月は小学校1年生の交通事故が多いというデータが報告されています。
平成27年から令和元年までの小学生の子どもにおける交通事故件数は合計311件ですが、そのうち小学校1年生が96件(30.8%)、小学校2年生が69件(22.1%)と低年齢児童の交通事故が圧倒的な多さです。
事故を防止するために子どもへ教えられること
それでは、幼児や子どもを交通事故から守るためにはどうすればよいのでしょうか。子どもの交通事故件数が増える5月を迎える前に、パパママから子どもに教えてあげられることをまとめてご紹介します。
横断歩道の正しい渡り方
最初に子どもに教えてあげたいのは、横断歩道の正しい渡り方です。「信号が青になったら渡る」ということだけではなく、次のような順序で渡ることを教えてあげてください。
- 横断歩道の前では必ず立ち止まる
- 左右を確認して車が来ないこと、停まっていることを確かめる
- 道路横断中も左右を確認しながら渡る
- 信号が点滅し始めたら絶対に渡らない
たとえ青信号であっても、上記でご紹介した4つのステップを守りながら渡ると安全です。
交差点で注意したいこと
横断歩道のルールと一緒に教えてあげたいのが、交差点で注意したいことです。信号や横断歩道のない交差点は、横断歩道以上に危ない場所ですから、次のようなポイントに気をつけるよう教えましょう。
- 交差点では必ず立ち止まる
- 角で頭だけを出して左右を確認する
- 駐車している車や看板で見えないところからの車に注意する
- 後ろから車が来たときは走り去るまで待つ
交差点と横断歩道を渡るときのルールは基本的には同じですが、横断歩道がある大きな道路より見通しの悪い場所が多くなるのでより一層の注意が必要です。
後ろから来た車が左折しようとして子どもを巻き込んでしまう…という事故も考えられるので、左右だけでなく、前後から走ってくる車も意識するように教えてあげると良いでしょう。
また子どもにルールを伝えるときは「わかった?」という口頭の確認だけではなく、「できる?」と聞いたうえで実際にパパママが一緒に通学路を歩くことも大切です。
小学生の交通事故の特徴
5月になると増加する子どもの交通事故。実は、子どもの交通事故にはある特徴と傾向が見られます。
子どもの交通事故の原因は「飛び出し」
子どもの交通事故原因として最も高い割合を占めるのは「飛び出し」です。小学生の子どもでは、全体のうち38.9%が飛び出しによる交通事故と報告されています。
「道路に飛び出しちゃダメ」という言葉は子どもに交通マナーを教えるときの基本となっていますが、それは事故の割合が高いからなのですね。
入学直後は緊張している子どもも、5月になると小学校や登下校に慣れ、「飛び出し禁止」というルールを破りがちになることで事故件数が増えるのかもしれません。
また4月中は学校や地域で1年生の登下校の見守り活動があることが多いのですが、5月からは1年生への見守り活動は縮小する場合もあり、こうしたことも事故の増加につながっているのかもしれません。
子どもが死亡にいたる交通事故の傾向
「子どもの交通事故」と聞いてまず不安になるのは、死亡事故に関する情報でしょう。残念ながら、小学生・幼児とも死亡にいたる交通事故は報告されています。報告されている情報をまとめると、幼児と小学生の子どもでは、次のように死亡事故の原因が少々違います。
- 幼児:パパ・ママが付き添っていないひとり歩き中の死亡事故率が高い
- 小学生:15~17時の下校中に歩行しているときの死亡事故率が高い
幼児が死亡する交通事故の傾向は、他の年齢も含めたときと比べて横断中の事故が圧倒的に少ないということです。そして、幼児が事故に遭う確率が最も高いのが、パパママが付き添っていないひとり歩き中。
それに対して、小学生の交通事故による死亡は下校時の歩行中に発生する確率が高くなります。時間帯ごとに見ると、特に子どもが事故に遭いやすいのは5月であれば薄暗く、視界が悪くなる17時ごろ。
幼児と小学生の傾向を比較すると、幼児はひとり歩きすることが少ないので飛び出して道路横断中に事故に遭う確率が低く、ひとりで下校するようになる小学生が飛び出しによる交通事故に遭いやすいと考えられるでしょう。
最も注意したいのは5月下旬
5月に子どもの交通事故が多いとお話してきましたが、5月の中で最も交通事故が多くなるのは下旬です。小学校1年生の交通事故件数を確認すると、上旬では31件、中旬では33件ですが、下旬では41件と上旬に比べて10件も増えます。
5月上旬はゴールデンウイークで登校日が少なく、これまでだと5月中旬は家庭訪問で下校時刻が早くなる場合が多くありました。
そこから考えると5月下旬は、「登下校が通常サイクルとなる」「通学路への慣れ」が交通事故につながるとも考えられます。子どもの交通事故対策を行うなら、遅くとも5月下旬までにはしっかりと交通ルールを守れるように教える必要がありますよ。
- 警察庁「幼児・児童の交通事故発生状況について」(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bunseki/kodomo/020324youjijidou.pdf,2021年3月10日最終閲覧)
- 警察庁「歩行中児童の交通事故の特徴等について」(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bunseki/kodomo/310328hokouchujidou.pdf,2021年3月10日最終閲覧)
自分が加害者にならないように注意したいポイント
「5月は子どもの交通事故が増える」この事実に注意するべきなのは子どもだけでなく、車を運転する大人も同じです。子どもの交通事故件数が増えるということは、加害者になる大人の数も増えるということ。車を運転しているときはご自身が加害者になってしまわないよう、次のようなポイントを意識してください。
- 横断歩道や交差点の前では最徐行を心がける
- 歩行者を優先する
- 15~17時は下校中の小学生に意識を向ける
ご自身が加害者にならないためには、子どもの交通事故が多い時期や時間帯にはより一層気を張って運転し、横断歩道や交差点などの危険な場所はもちろん、常に「子どもが飛び出してくるかもしれない」という意識を持つ必要があります。
5月は最も危険な時期!子どもの事故を防ぐための対策を
子どもの事故はパパママにとって最も不安なことでしょうが、残念ながら5月は子どもの交通事故件数が増える時期。幼児や子どもの交通事故の中には死亡事故も含まれるので、普段からしっかりと交通ルールを教えてあげるようにしてください。
飛び出してはいけないことはもちろんですが、子どもの交通事故を防ぐためには、横断歩道や交差点の正しい渡り方を教えてあげることも大切。子どもが自分で身の安全を守れるようにしてあげたいですね。