5歳の平均身長は?
まず、5歳児の平均身長を厚生労働省のデータ「21世紀出生児縦断調査」と文部科学省の出している「学校保健統計」で見てみましょう。
- 5歳6月か児の平均身長:110.5cm(男の子)・109.8cm(女の子)
- 4歳6か月児との身長差:+6.5cm(男の子)・+6.6cm(女の子)
こちらの平均身長は、厚生労働省が平成13年に生まれた子どもを追跡調査して得たデータです(調査対象:男児 9,177、女児 8,505)。このため、5歳ごろのデータは平成18年のものになります。
次に毎年データが更新される文部科学省の「学校保健統計」(平成30年)を見てみましょう。
- 5歳男:110.3cm
- 5歳女:109.4cm
上のデータから、5歳児の平均身長は約110cmだということと、5歳6か月の時点では、男の子・女の子両方とも1年間で平均6.6cm身長が伸びることがわかりますね。ただし、身長が高い5歳の子どもだと、男の子で116.5~119.9cm、女の子で114.8~118.2cmの子もいて±10cm前後の違いはあるでしょう。
筆者の子どもはとても大きい方だったので、5歳(年長時の4月)のころには120cmくらいでした。逆に小さめのお友だちでは100cmと少しという女の子もいました。今は小学生ですが、どちらもとっても元気に過ごしていますよ。
- 厚生労働省「3 子どもの生活の状況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/syusseiji/tokubetsu/kekka03.html,2021年2月17日最終閲覧)
- 文部科学省「学校保健統計調査」(https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11293659/www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2019/03/25/1411703_03.pdf,2021年2月17日最終閲覧)
- 厚生労働省「II調査結果の概要」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/73-22-01.pdf,2021年2月17日最終閲覧)
子どもの成長をチェックする方法
子どもの成長具合をチェックするためには「成長曲線」を利用することがおすすめ。成長度合いは子どもによって差がありますが、成長曲線に成長を記録していけば、他の子どもの成長度合いと比較することできます。
成長曲線とは、子どもの身長や体重の増加を曲線で描いたもののことです。子どもがどのように成長しているのか、視覚的に確認できます。
標準の成長曲線があり、そのカーブに沿っているか確認することにより、5歳の平均身長として順調なのか、何か問題が起こっていないかなどを判断するのに役立ちます。成長の変化を知るためのものでもあるので、継続して記録をつけましょう。
成長曲線の表には、子どもの身長の平均値や高身長・低身長のスコアがあらかじめ記入されていて、他の子どもの成長におけるモデルケースもわかるようになっています。
5歳児の平均身長と比較することもできますし、他の子どもと比べて身長の成長に問題がないかも確認できるようになっていますので、成長曲線の表に子どもの成長記録を残してみてはいかがでしょうか。
母子手帳にも入っているかと思いますが、日本内分泌学会のHPにも、身長だけでなくBMIの確認用のシートもありますよ。
- 日本小児内分泌学会「成長評価用チャート・体格指数計算ファイル ダウンロードサイト」(http://jspe.umin.jp/medical/chart_dl.html,2021年2月26日最終閲覧)
- 厚生労働省「成長曲線を描いてみましょう」(https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/02/dl/s0219-3b.pdf,2022年4月13日最終閲覧)
低身長の判断基準は?
子どもの成長度合いには個人差があり、平均的な身長に届いていないからといって、過度に心配する必要はありません。
ただ、病気などが原因で身長が伸びていない可能性もゼロではないので、気になる場合は成長曲線や平均値からどれだけ離れているかの幅を示す「SDスコア」をチェックしてみてください。
SDスコアは「(身長の実測値-平均身長)÷標準偏差」で求めることができ、その数値が-2SD以下の場合は、低身長の疑いがあります。
5歳男児の低身長(-2SD)の目安
- 0ヶ月 98.1cm
- 1ヶ月 98.5cm
- 2ヶ月 99cm
- 3ヶ月 99.53cm
- 4ヶ月 99.9cm
- 5ヶ月 100.4cm
- 6ヶ月100.9 cm
- 7ヶ月101.4cm
- 8ヶ月 101.8cm
- 9ヶ月 102.3cm
- 10ヶ月 102.8cm
- 11ヶ月 103.3cm
- ファイザー「身長が低い」(https://ghw.pfizer.co.jp/smartp/slow/qa_01.html,2024年4月8日最終閲覧)
- 日本赤十字社 芳賀赤十字病院「男の子の平均身長と低身長のめやす(-2SD)」(http://www.haga.jrc.or.jp/cms/wp-content/uploads/2015/02/heikinsintyou_M.pdf,2024年4月8日最終閲覧)
病気の可能性がある成長曲線のパターン
標準と同様でなかったとしても、そのカーブに沿っていれば大きな問題はないとされます。これは、それぞれの個性によって身長や発育が違うためです。ですが、標準的な範囲から大きく外れている場合、以下のような可能性があります。
- 成長ホルモン・甲状腺ホルモンの病気
- 染色体の病気
- 子宮内発育不全
- 骨・軟骨の病気
- 心臓・肝臓・腎臓などの臓器異常
例えば、骨や軟骨の病気の場合、胴体よりも手足が短いなど見た目にもわかる特徴が見られることがあります。
一方、その他の低身長を引き起こす原因については、詳しい検査をしてみなければわかりません。臓器の病気が関係していることもあります。
平均身長と差が大きくなっている場合、一度小児科で相談してみたほうがよいでしょう。早期に治療を行うことにより、身長が伸びることも期待できます。
- 日本小児内分泌学会「低身長」(http://jspe.umin.jp/public/teisinchou.html,2022年4月13日最終閲覧)
5歳児の順調な成長のために押さえたいポイント
それでは、5歳児の身長を順調に伸ばしていくためのポイントについて確認していきましょう。子どもが健やかに成長するため、かかせないポイントをまとめました。
食事とおやつで必要な栄養を摂取させること
食事とおやつでは、必要な栄養素をしっかり取り入れられるメニューを考えましょう。特に注目したいのが「カルシウム」「タンパク質」「ビタミンA」です。
カルシウムは骨や歯を形成する役割があります。タンパク質は、筋肉の成長と深く関わっている栄養素です。ビタミンAも成長に関わる栄養素なので、不足した場合、成長が停止してしまう恐れもあります。しっかり取り入れたいですね。
- 健康長寿ネット「カルシウムの働きと1日の摂取量」(https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-ca.html,2022年4月13日最終閲覧)
- 健康長寿ネット「三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量」(https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/tanpaku-amino.html,2022年4月13日最終閲覧)
- 健康長寿ネット「ビタミンAの働きと1日の摂取量」(https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-a.html,2022年4月13日最終閲覧)
10~11時間の睡眠時間を確保すること
睡眠をたっぷりとることも5歳児の身長を伸ばすための重要なポイントです。3~5歳で必要な睡眠時間は10~13時間だとされています。子どもの睡眠時間は年齢が上がるにつれて短くなっていく傾向にあるため、5歳では10~11時間の睡眠時間が適切でしょう。
子どもの成長にとって睡眠が大切な理由は、睡眠中に「成長ホルモン」という体の成長を促すホルモンが分泌されるため。子どもの睡眠に関する研究でも、脳や体の発達には睡眠が重要だと報告されています。
乳幼児時期の睡眠は脳や心身の発育に重要な役割を果たしている。乳幼児期より,深い睡眠中に成長ホルモンが活発に分泌され,脳内の神経ネットワークの形成や身体の形成が行われる。 ※1
成長ホルモンは眠り始めてすぐに訪れる、深い睡眠であるノンレム睡眠中に分泌されます。成長ホルモンを多く分泌させるためには、眠り始めにぐっすりと眠れていることと、睡眠時間をたっぷりと取ってノンレム睡眠の時間を増やすことを意識してくださいね。
- 文部科学省「中高生の生活習慣作り」(https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/04/07/1368971_05.pdf,2021年2月17日最終閲覧)
- e-ヘルスネット「ノンレム睡眠(のんれむすいみん)」(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-048.html,2021年2月17日最終閲覧)
たくさん運動をさせること
5歳児の身長を伸ばすためには運動をさせて、骨の成長を促すことも欠かせません。子どもの低身長の治療をおこなっているとびた整形外科・内科クリニックでは、子どもの成長に大切なホルモンとして以下の3つをあげています。
- 成長ホルモン
- 甲状腺ホルモン
- 性ホルモン
中でも、成長ホルモンは体内で骨を成長させる成分に変化するため、特に成長ホルモンが重要だと説明されています。
成長ホルモンを分泌させるための、ご家庭でできる事
① 良く寝るようにさせる
② 運動させる
③ きちんと食事を摂る ※2
成長ホルモンを分泌させるために家庭でできることとして、上記があげられています。意識して運動させることにより、おなかがすいてたくさん食事をとることができ、適度な疲労で夜もぐっすり眠ることができるようになります。
悪天候がつづき、外で遊ぶことができないようなときは子どもが夜なかなか寝ないというようなこともありますよね。よい循環のためにも、まずは運動が大切ということがわかります。
過度なストレスを与えないこと
幼児期の子どもの身体発育は、離乳時期、食生活リズムや摂取栄養バランス、運動、
生活リズム、精神的ストレス、親の育児状況などにより影響を受けます。これらの要
因や、成長障害をきたす疾患などを念頭において、幼児の身体発育を総合的に評価し、
必要な観察や指導を行うことが重要です。
※3
知らず知らずのうちに、親が子どもにストレスを与えていることもあります。例えば、子どもに不安を感じさせてしまうような行動を取っている、スキンシップが少ないなども注意しなければならないポイントです。
ストレスが原因と思われるほどの変化があった場合も、叱ったり突き放したりしないようにしましょう。
子どもは、ストレスを感じると寝付けなくなったり、反対に必要以上にたくさん眠ったりしてしまうことがあります。他にも食欲が減る、いつもイライラしていて気持ちが落ち着かない、集中力がないなどもストレス反応の一つです。
具体的にどういったストレス反応が出るかは、子どもによっても違いがあります。普段から子どもの様子をよく観察し「ストレスを感じているかも?」と気付けるようにしたいですね。
- 日田市教育センター「子どものストレス反応と対応について」(https://www.city.hita.oita.jp/material/files/group/34/jidounosutoresutaiou.pdf,2022年4月13日最終閲覧)
5歳児の平均身長は約110cm!3つのポイントで成長を促してあげよう
子どもの成長の仕方には個人差があり、どの子も同じように成長するわけではありませんが、ある程度の目安や平均値はありますので、身長から成長の度合いを計ることはできます。
5歳児の平均身長は110cmほどですから、110cm前後であれば平均的な成長だと考えられます。それでも±10cmくらいの差は現れますので、平均身長と同じではなくてもあまり心配しないでくださいね。
ただ、平均身長より10cm以上低い場合は、低身長の可能性もありますので、今回紹介した栄養・睡眠・運動の三つのポイントを見直して子どもの成長を促してみましょう。
ママリで、わが子向けのアドバイスがもらえます
子どもの発育に不安があるとき、誰にどのように相談すればよいか迷ってしまうこともあるでしょう。電話や対面での相談は少しハードルが高く感じたり、そもそもどのような場所で、どのような専門家に相談すればよいのか自力で調べるのが難しいですよね。
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