突然の耐えられない歯の痛み…子連れでは受診も大変
新米ママとして2か月の子どもの育児に日々奮闘する仁美さん(仮名)。ある日の授乳中、突然、歯ぐきがズキズキしてきました。最初は我慢していたものの、痛みは強くなるばかり。
「そういえば、妊娠中に歯肉炎を指摘されたけれど、忙しくてそのままにしていた」と思い出し、慌てて歯科医院を受診しました。
授乳中は薬を飲んでもいいの?
妊娠中、自治体などからのお知らせで歯科検診を受診した方もいるのではないでしょうか。受診時は虫歯も痛みもなく大丈夫だったのに「なぜ今?」と思いますよね。産後はまだ体調が万全ではなく、慣れない育児に向き合ってママは大忙しの毎日。実はお口のケアがおろそかになって、歯科トラブルが多くなる時期でもあります。
仁美さんは急性歯周病と診断され、治療のため抗菌薬と痛み止めの服用が必要に。母乳への影響が気になり医師に尋ねると「服用中は授乳を控えた方がいいかも」といわれてしまいます。
母乳しか飲まないわが子…薬の影響も気になるし、耐えるしかないの?
実は生後2か月のわが子・小奈津は哺乳瓶拒否が始まり、「服薬中は授乳を控えて」といわれても簡単なことではありません。インターネットで調べても「服薬中は授乳を控えるべき」「授乳中に服薬しても問題ない」と2つの結果が出てくるため、何が正しいのか、仁美さんは混乱してしまいます。
迷えるママをサポート!「妊娠と薬情報センター」の存在
日々悶々と悩んでいた仁美さんを助けたくれたのは国立成育医療研究センターの「妊娠と薬情報センター」でした。授乳中の薬に関する相談はオンラインで予約できるため、忙しいママでも安心です。その時は予約枠が空いており、翌日すぐに相談できてホッとした仁美さん。
赤ちゃんが母乳を飲む量で影響が変わる
仁美さんが最も気になっていたのは、薬の服用が赤ちゃんに影響するのかということ。「妊娠と薬情報センター」の担当医師によれば、母乳を介して赤ちゃんが摂取する量は多くの場合はとても少ないということです。子どもの成長とともに離乳食が進み授乳量が減れば、その分薬の影響も小さくなる傾向に。ただし授乳中には必ず医師の判断のもとで服用すべきでしょう。
オンラインで専門家に相談できてひと安心
専門家に直接相談できるため、不確かな情報に惑わされる心配はありません。服用予定の薬について尋ね、今回処方された薬は母乳への影響が少ないとの回答を得ました。授乳もでき、なおかつ歯の痛みも解消できた仁美さん。解決の糸口がつかめて安心し、その顔には笑顔が戻っていました。
授乳中に服薬に悩んだら専門窓口に
授乳中の薬について相談できる窓口が、国立成育医療研究センターの「妊娠と薬情報センター」です。専用の予約フォームより「授乳中のお薬相談」の外来予約を受け付けています。
授乳中の薬の使用に役立つ情報も載っています。授乳中には急に薬の治療が必要になることもありうるため、事前にホームページを確認しておくといいかもしれませんね。
子育てに悩みは尽きません。不安ばかりが大きくなって身動きが取れなくなることもあるでしょう。ママやパパの悩みをひとつでも多く解消するために専門窓口があります。少しでも迷ったときは、まずは気軽に相談してみてください。
取材協力:国立成育医療研究センター 妊娠と薬情報センター、東京都立小児総合医療センター 小児歯科 小方清和医師
漫画:ママリ
- 国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」(https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/jdip/,2023年3月22日最終閲覧)
- 国立成育医療研究センター「授乳と薬について知りたい方へ」(https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/index.html,2023年3月22日最終閲覧)
- 厚生労働省「妊婦・子育て家庭への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施(出産・子育て応援交付金)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29323.html,2023年3月22日最終閲覧)
- 公社) 日本小児歯科学会「「こどもたちの口と歯の質問箱」」(https://www.jspd.or.jp/question/,2023年3月22日最終閲覧)