フレネ教育って、どんなもの?
フランスで広く取り入れられているフレネ教育は、日本ではまだまだ珍しい教育方法のひとつです。日本の一般的な学校は、時間割が決まっていて、みんな同じ教科書を開いて授業を受け、みんな同じペースで授業が進んでいきます。
しかしフレネ教育はこの詰め込み型の教育を良くないとし、子供の考えをベースに子供のペースで学ぶという教育方法を実践しています。とはいえ自由に勝手に学ぶのではなく共同体の中で人格形成を目的として学びが進んでいきます。
起源は?
フレネ教育の先駆者セレスタン・フレネは、毎日、教科書と黒板を使った授業で子供たちが全く集中もしていない、楽しんで学んでいない状況に疑問を抱いていました。
ある日、普段全くやる気も見せない子供たちを散歩に連れていき散歩中に見た人々の様子や自然について子供たちに自由に表現させました。すると普段はやる気のかけらもない子供たちがたくさん発言をしたのです。読み書きもできないと思っていた子供たちがすらすらと黒板の文字を読み、板書をしたのです。
ここからフレネは子供たちが日々感じていることや考えていることを作文にしそれを教科書がわりに使う教育を生み出したのです。作文という形で自由に考えを表現しそれを題材にすることで、子供たちは「認められた」という認識をもち積極的に学ぶようになったそうです。
教育方針は?
フレネ教育の教育方針はどんなものなのでしょうか?
学びの題材は自由作文
決まった教科書が配られ授業がその教科書に沿って行われる教育とは異なり、フレネ教育では生徒一人ひとりが自分の考えや感じたこと、研究したことを自由に作文し表現します。この自由作文がフレネ教育の教科書です。自由作文をみんなの前で発表し、その中から教材をするものを生徒みんなで選び教科書が完成します。
与えられた教科書では子供の関心がない内容も入っているし学びの順番も決められています。フレネ教育では生徒たちが日々興味を持っていることを題材とするため、1冊の教科書を与えられて学ぶよりも学びへの興味関心、やる気が大きいとされています。
自分のペースで
決まった時間割に従って進む授業では生徒によっては学びのテンポが早すぎてついていけなくなってしまうことがあります。またテストなどがあれば決まった時間内に決まった分量の知識を覚える必要があり、どうしても詰め込み式の学習になってしまいます。
フレネ教育ではこれとは正反対に学びは自分のペースで行います。基礎や基本を学ぶ時間は生徒一人ひとりのレベルに合わせてその生徒のペースで進んでいきます。自分がわかったと感じるまで、じっくりと学ぶことを大切に考えています。
異年齢が一緒に
ひとつの年齢だけがまとまっているのではなく異年齢が一緒に学ぶのがフレネ教育です。異年齢が一緒にいることで上の子が下の子を気にかけ、教えてあげたり手伝ってあげたりという思いやりの気持ちが芽生えてきます。
学びは自分のペースで進んでいきますがクラスの中で助け合ったりすることで、共同体の中での人間関係を築いていく力も身につけていきます。
活動計画にそって学ぶ!
フレネ教育では時間割は生徒一人ひとり違います。そのため学習プランは自分で立てて「活動計画表」という自分の時間割を作ります。この計画表に従って自分のペースで学べるという半面、自分から進んで学習を進めなければならないというタスクもあります。分からないことがあれば先生に聞いてより深く学びます。
学習の達成を見極めるのも自分です。計画表の目標通り学習が進んだかは計画表のマス目を塗りつぶしたりして自己管理していきます。また2週間ごとに自分の学習成果をみんなの前で発表し、クラスメイトの話し合いで最終評価を受けます。
フレネ教育の幼稚園・学校を紹介☆
日本ではまだまだ珍しいフレネ教育ですが、日本にもフレネ教育を取り入れている学校があります。
①けやの森学園幼稚舎
埼玉県狭山市にあるフレネ教育の幼稚園「けやの森学園」は幼稚園児40名、保育園児35人の幼保一体型の学園です。日々の生活の何気ない出来事や問題をみんなに伝えそこから学んでいくような教育を取り入れています。
幅広い年齢の子供たちが一緒に活動することで下の子のお世話をすることや思いやる気持ちを自然と学んでいきます。毎年5歳児を対象にした2泊3日の「ひとりだちキャンプ」を行っており、子供たちは大自然の中でたくさんの「なぜ?」を体験し、学んでいます。
②箕面こどもの森学園
箕面こどもの森学園は個別学習、共同学習、自由学習の3つを取り入れ子供が主体となった自発的な学習を応援するフレネ教育の学校です。
6~12歳までが通う学校で低学年クラスと高学年クラスの2つに分かれています。子供たちが自主的に行うのは学習だけではなく体育祭や夏祭り、フリーマーケットなどの行事も自分たちで作り上げていきます。
③ジャパンフレネ
6~18歳を受け入れているフレネ教育の学校です。平日10~17時まで開校しており日本語と基礎数学以外の授業時間は、自分の学習プランに合わせて学習を進めます。
学習プランだけではなく学校で何をするかということはすべて自分の責任において自分で決め、必要な時には学校全体で話し合いの場が設けられます。教室内だけではなく近隣の公園や図書館、体育館などを活用し課外学習もたくさん行っています。
子供が主体の自由教育
子供たちの自由作文をもとに作られるオリジナルの教科書や自分自身で時間割を決める活動計画表は、既存の学校にはない仕組みでとてもユニークです。
小さなころから、自分で計画する、達成度を自分で管理するスキルを身につけられるのは、大人になっても大きな利点になるでしょう。まだまだ日本では珍しいフレネ教育ですが、良い点がたくさんあります。学校選びの参考にしてみてください!