わが子は神経質、怖がり。このままで大丈夫?
子供の性格には個人差があります。赤ちゃんが大きくなってきて外出するようになり、他の同月齢程度の赤ちゃんをよく目にするようになると、よりわが子との違いを感じるかもしれません。
周囲の子供と比べて、新しい遊び場になじむことがゆっくりだったり、周囲の音や人の声を怖がったりすると「わが子は神経質なほうなのかしら」と心配になる場合があるようです。
娘はかなり慎重というか怖がりというか、知らない人に話しかけられたり近付いて来られたりすると、固まってしまいます。
公園など行っても、他の子がいると遊べなくなり、遠く離れた所で砂遊びなどしています。
私があまりママ友もおらず、冬も割と引きこもりがちで、他の子と接する機会を作れなかったり、過保護にし過ぎたのかなとか、このまま幼稚園などで娘がお友達を作れなかったらどうしようと悩んでいます。
どのような性格も子供の個性。大人にもいろいろなタイプの人がいるように、いろいろな子がいるはず。そう頭ではわかっていても、いざわが子が引っ込み思案な場面や神経質な様子を見ると「このままで大丈夫かな」と心配になるママはいるでしょう。
子供の性格を作る要素や、神経質や恐がりな子との関わり方についてまとめました。
性格は、生まれつきの気質と環境で決まる
子供の性格はどのように決まるのでしょうか。諸説ありますが、子供の性格形成には、生まれつきの気質と育ってきた環境が影響するといわれています。
生まれつきの気質は、赤ちゃんの頃にも感じやすく「この子はよく泣くから神経質なのでは」と思う場面があるかもしれません。また、きょうだいであっても気質の違いで育てやすい、育てにくいと感じることがあるでしょう。
ただし、親と子供はとても近い距離で生活しているため、生活環境から形成される要素は大きいといえます。親のしつけ方や関わり方によって、子供の表面に出てくる性格は成長と共に変化していきます。
- 三原クリニック「 ■性格」(http://www.mihara-clinic.com/~kosodate/ikujisyo/seikaku.html,2017年8月21日最終閲覧)
- 日本心理学会「心理学ふしぎふしぎ」(https://www.psych.or.jp/interest/ff-07.html,2017年8月21日最終閲覧)
- 埼玉大学 松原達哉「親子関係と子どもの性格」(http://sucra.saitama-u.ac.jp/modules/xoonips/download.php/BKSC090005.pdf?file_id=32246,2017年8月21日最終閲覧)
- ポーポー・ポロダクション「伸ばすための子ども心理学: のびのび育む発達心理と育児心理」気質(PHP研究所,2014)
- 横井茂夫「小児科医がやさしく教える 育児ストレスがなくなる のびのび赤ちゃん育て」34(PHP研究所,2004)
子供の思いを受け止めて、安心感を与える
わが子が周囲の子供よりも神経質であったり怖がりだったりすると感じると「もっといろいろなことに積極的になって欲しい」「チャレンジ精神を育てなくては」と必死になってしまうママはいると思います。
しかし、神経質な子や、ささいなことに不安を覚えてしまう子への接し方として大切なのは、子供を安心させてあげることです。
本人が不安に感じていることや、嫌だと思っていることを否定し「そんなことは気にするな」と押し込めたり、「わがままだ」などとけなしたりしてはいけません。あくまでも本人が感じていることは認めることが大切なのです。
その上で親の方は神経質になりすぎず、のんびり子育てをしていきます。子供の性格はそのまま受け止め、無理に矯正しようとせずに育てましょう。
- 三原クリニック「■性格」(http://www.mihara-clinic.com/~kosodate/ikujisyo/seikaku.html,2017年8月21日最終閲覧)
- 林道義「父親のための家庭教育のヒント: 幼児期から思春期まで」P95~99(日本教文社,2004)
- 伊藤友宣「子供の心が見える本: 「お母さんカウンセリング」のすすめ」こわがる(PHP研究所,1993)
「できたこと日記」で一歩を見逃さない工夫を
神経質な子や怖がりな子が心配なとき、ママができることはどのようなことがあるでしょうか。保育士で、江戸川区にある認可小規模保育所「にっこりハウス」の園長の児島史篤(こじま ふみあつ)さんにお話を聞きました。
児島さんは、神経質な子や怖がりな子でも「何もできていない」ということは絶対にないといいます。
「子供にとってママは安全基地。神経質だったり、怖がりだったりする個性を持っている子は、ママという安全基地のそばにいることで安心します。その分前に出ていけないことや、できないこともあるでしょう。
しかし、安全基地にいながらも子供は経験しています。例えば海に行って、怖くて海に入れなくても、ママと海を見ることや、砂の感触を確かめることを『できている』のです。」(児島さん)
ママは子供に何かをさせようとするとき、成果を求めがちですが、子供にとっての「できたこと」は行動の成果だけではないと児島さんは話します。さらに、ママがわが子の神経質さや怖がりな部分が心配になるときは「できたこと日記」をつけるとよいそうです。
「たとえ小さなことでも『できた経験』を書きためるノートを作り、ママが書き留めておくと、不安になった時に読み返して、わが子の成長を感じられるでしょう」(児島さん)
神経質や怖がりな子は、一歩踏み出すまでの準備が少し長いのだと児島さんはいいます。ママのそばでじっと見て、安全だと思ったら一歩踏み出すのです。その時、ママは無理に押し出さず、できるだけ自分のペースで行かせてあげるのが良いそう。不安になった時は「できたこと日記」を読み返し、じっと待ちましょう。
子供の勇気を信じ、小さな一歩を見守ろう
周囲の子と比べて初めてのことに慎重、あるいは怖がる様子が見られると「このままでは、さまざまな経験をする機会を逃すのではないか」と不安になったり、突き放した方が良いのかと考えたりすることがあるでしょう。
しかし、神経質でも怖がりでも、前に進んでいないわけではありません。本人なりに新しい場所を見て、聞いて、歩幅は小さくても前進しています。その一歩を踏み出した勇気を認めてあげましょう。「この子は必ずできる」とママがどっしり構えていると、子供は安心して前を向けるようになりますよ。
取材協力:児島史篤さん
保育士、全国私立保育園連盟認定保育カウンセラー、江戸川区認可小規模保育所「にっこりハウス」園長。「子供も大人も教育者も、にっこり笑顔があふれおうちのように安心できる」をテーマに保育園や子育て相談室を運営。自身も6歳、4歳、0歳のお子さんを持つパパ。