実際にあった保護者からの「イレギュラーなお願い」
保育園では保護者の方からちょっと「イレギュラーなお願い」をされることがあります。状況によってはかなえられないこともありますが、保護者の方から説明していただければなるべく対応しているものもあります。
実際にあったお願いごととそのときの対応例をご紹介しますね。
「この後予定があって…髪の毛、おしゃれに結んでおいてもらえませんか?」
子どものヘアスタイルをかわいくセットすると子どもたちも保護者の方もよろこんでくれます。保育中、時間があるときに私も時々やっていました。
ただし、お願いされればいつでもできるものではありません。特にお昼寝明けの時間は大忙し。寝具の片付けや着替え、おやつの準備、午後の遊びの準備などでバタバタしています。
もし早めのお迎えで「髪の毛をかわいくしておいてほしいなあ」と思っている方も、おやつの時間などの空き時間で「結んでくれたらラッキー」くらいの気持ちで考えていただけるとうれしいです。
もし、どうしてもお願いしたいときは「時間がないのは承知ですができれば」「前にしてもらったとき、子どもがよろこんでいてその髪型で出掛けたいそうで」など、あくまで「可能であれば」という形で声をかけてみるといいかもしれませんね。
「帰りの時間が寒いので、下着を厚手の物にしておいてほしい」
冬場、徒歩や自転車登園の方は朝晩の寒さに対応するために厚手の下着を着せている方もいます。一方、園内は暖かいので活動時間中は薄手の肌着に着替えさせていることが多いです。
時間にゆとりがあればお願いされたお子さんだけ下着を着替えさせることもできるかもしれません。ですが、余裕がないときは難しいこともあります。
できれば保護者の方が着替えさせていただけると助かりますが、当日急いでいるときは理由を添えた上で「朝は薄手の下着に着替えてから受け渡すので、帰りはお願いできませんか」など、当日だけイレギュラーでお願いしたいことを伝えてみてはいかがでしょうか。イヤイヤ期などで親の着替えを拒否するときも「なるべく親がやりたいのですが」など、理由や事情を添えて相談してみてください。
「プールに入りたくない!」と本人が言ったら見学に切り替えたい
こちらは、プールが始まると時々あるお願いごとです。通常は朝の段階で自宅からプールカードに「〇」「×」を書いていただくのが一般的です。
しかし、プールの時間になってから「入りたくない」という子もいます。そんなとき、保育士は無理に水に入れることはしません。子どもの気持ちを聞いた上で入りたくない子の説得にあたっています。
自宅に帰ってから「プールに入りたくなかった!」となってしまうときは、見学できるよう「×」にしていただくことをおすすめします。
プールに入りたくない様子が見られないか心配なときは「家ではこんな風に言っているのですが、保育園ではどうですか?」と先生に質問し、一緒に対策を考えてもらうのがおすすめです。
「発表会の役や立ち位置を変えてほしい」
発表会の役はクラスみんなで決めるものです。こちらのお願いごとはかなえられないことが多いです。
「けがをした」「声がかれて話せない」などよほどの事情があれば対応せざるをえないものの「子どもが家では〇〇役がやりたかったって言ってます」「祖父母が来るので楽器発表の時は前の列にしてください」など、家庭の個人的な事情でのお願いは困ってしまいます。
保育園側としても一人に対応してしまったら、申し出た人は全員対応しなければいけなくなってしまいます。特別扱いは避けたいと考えていますので、こうしたお願いごとは避けるようにしましょう。
園の事情も配慮して声をかけてみて
いくつか事例を出してみました。筆者も母ですから、どのお願いごとも気持ちは分かります。保育士としてもかなえてあげられる余裕があれば対応したいのですが、園には他にもたくさんの子どもがいるので難しい場合もあります。
とはいえ「保育士は余裕がないから何もお願いしてはいけない」というわけではありません。お願いしたいことは園側や他の園児の事情にも配慮しつつ、「今回だけ対応してほしい理由」を添えて話してみるのがいいと思います。先生も事情を聞いてじっくり判断しますので、まずは相談してみてくださいね。