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増えた“非通知着信”→「待てよ?」記憶から行きついた、恐ろしい推理|恐怖!見えない敵はママ友でした

夫の転勤先で新しいママ友コミュニティーを築くことになった主人公・ゆき。子どもも新たな環境に早く馴染み、楽しい新生活が始まったかのように思えていました。しかし、ゆきの背後には恐ろしいものが忍び寄っていたのです。『恐怖!見えない敵はママ友でした』第1話をごらんください。

Ⓒママリ

🔴【全話読む】恐怖!見えない敵はママ友でした

夫の転勤に伴い新天地で新しい生活を始め順風満帆な主人公・ゆき。愛しい夫に子供、パートにママ友たちとの交流。小さな世界が広がった思いだった。だがそんなゆきに不穏な足音が忍び寄っていました。

新生活の新しい刺激

新生活 PIXTA


転居は人生における大きな転機だと、引っ越しの段ボールに囲まれながら私は改めて感じていた。夫の奏斗が転勤になり、私たちは慣れ親しんだ地を離れ、東京のとある町へと越してきた。新しい環境への期待と、少しの不安が胸の内で入り混じる。小学2年生になる娘の愛奈は、新しい学校に馴染めるだろうか。私はパート先を見つけられるだろうか。そんな思いを抱えながら、新生活の幕が上がった。

幸いなことに、愛奈はすぐに新しい小学校に馴染んでくれたようで持ち前の明るさで友達をたくさん作り、毎日楽しそうに学校の話をしてくれる。私も、愛奈の小学校でできたママ友コミュニティーのおかげで、寂しさを感じる暇もなかった。公園デビューならぬ「小学校デビュー」は、想像以上にスムーズだった。情報交換をするだけでなく、お茶をしたり、ランチをしたりと、あっという間に交友関係が広がっていった。

パートも、家の近くの美容雑貨のお店でレジ打ちの仕事を見つけることができた。週に3日、午前中だけという条件は、私にとって理想的だった。家事との両立も無理なくでき、何より外に出て働くことで気分転換にもなる。職場の人たちも優しく、新しい生活はまさに順風満帆。引っ越し前の生活を振り返ると、あのころは家と職場の往復で、ここまで活発に人と交流することもなく、少し単調だったかもしれない。東京での生活は、私に新しい刺激を与えてくれていた。

不穏の足音

スマホ PIXTA

そんなある日、私のスマートフォンに非通知着信が増え始めた。最初は間違い電話だろうと気にしていなかった。しかし、日に日にその頻度は増していく。ディスプレイに表示される「非通知」の文字を見るたびに、胸の奥に薄暗い影が差し込むような不快感を覚えた。誰かが私に用があるのだろうか。それとも、いたずらだろうか。着信に応じても、何も声が聞こえないことがほとんどだった。ただ無言の時間が流れ、やがて切れる。気味の悪い体験だったが、誰か夫や友人に相談するほどのことでもないと考え、そのままにしていた。

季節は巡り、東京の夏は以前の土地とは比べ物にならないほど蒸し暑かった。湿度が高く、少し歩くだけで汗が噴き出す。愛奈が夏休みに入り、私もパートのシフトを少し減らしていた。ある日の午後、パート先でレジを打っていると、聞き覚えのある声が私を呼んだ。

「ゆきさん!」

声のする方を向くと、そこに立っていたのはママ友の一人、佐藤詩織さんだった。彼女は愛奈と同じクラスの男の子のお母さんで、いつも朗らかで話好きな人だ。

「詩織さん、こんにちは!お買い物ですか?」

私が尋ねると、詩織さんはにこにこと頷いた。

「ええ、そろそろいつもの買い足そうと思って。ゆきさんの顔見えたからつい話しかけちゃった、お疲れさま」
「ありがとうございます。詩織さんも、毎日暑い中でお子さんのこととか大変ですよね」

私たちは他愛もない会話を交わした。愛奈の夏休みの宿題のこと、近所の美味しいパン屋さんのこと、来週の町内会のお祭りのこと。レジを打ちながらも、短い時間での交流は、私にとってうれしいものだった。詩織さんはいつも、明るい話題を提供してくれる。彼女との会話は、私の心を軽くしてくれるようだった。精算を終え、詩織さんは「また今度、お茶しましょうね」と言い残してお店を後にした。私も仕事に戻り、その日のパートを終えた。

夜、夕食を終えて家族団らんの時間を過ごしていた。奏斗は仕事から帰ってきて、疲れているはずなのに愛奈と楽しそうに夏休みの計画を立てている。そんな二人の姿を見ながら、私は今日あったでき事を思い出していた。詩織さんとの会話、そして新しくオープンしたばかりのパン屋さんの話。明日、愛奈を連れて行ってみようか。

その時、スマートフォンの画面が明るくなった。見ると、またしても「非通知」の文字。ドキリとした。ここ最近、非通知着信が増えていることは夫にも話していなかった。気味悪がらせてしまうだろうし、私自身もどう対処すればいいのかわからなかったからだ。しかし、この日はいつもと違った。その着信は、私の心に奇妙な引っかかりを残した。

ふと、今日一日のでき事が頭の中で逆再生される。詩織さんとの会話。スーパーでの他愛もない話。そして、その夜にかかってきた非通知着信。

――待てよ?

私の脳裏に、あるパターンが浮かび上がった。非通知着信が頻繁にかかるようになってから、私はいつその着信があったかを意識的に記録していたわけではない。しかし、漠然とした記憶を辿ると、非通知着信があった日は、決まって佐藤さんと何かしらの交流があったような気がする。公園で会った日、ママ友たちとのランチ会、そして今日のスーパーでの立ち話。

まさか。そんなはずはない。詩織さんは、優しくて、明るくて、私に新しい生活の扉を開いてくれた人の一人のはず。彼女が、私に嫌がらせをする理由など、どこにも見当たらない。だが、私の心の中には、一度芽生えてしまった疑念が、音もたてずにしかし確実に崩れ落ちていくのを感じていた。明日からも、彼女との交流は続くのだろうか。そして、そのたびに非通知の電話がかかってくるのだろうか。

私はスマートフォンを握りしめ、画面に表示された「非通知」の文字をじっと見つめていた。その日は眠りにつきづらく、寝返りを何度も打った。この疑念を、誰に相談すればいいのだろうか。家族にも、ママ友にも、話すことはできない。私は一人、夏の夜の闇の中で、水中に浮き上がった泥が溜まっていくような、そんな不安と向き合っていた。

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あとがき:平穏な暮らしの中に突如影を落とした、非通知着信の謎

夫の転勤によって新生活がスタート。今までの生活より視野が広がり、良い刺激を受けつつ平穏に暮らしていた主人公・ゆき。しかし、少しずつ非通知着信といういたずらに不穏な気配を感じるようになります。

小さなことでも積み重なれば気になりますし、原因を探りたくなるもの。今後彼女の身に何が降りかかっていくのでしょうか。

※このお話はママリに寄せられた体験談をもとに、個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています。

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