私はごく普通の、幼稚園に通う子どもを育てている母親だ。
私は真面目すぎる性格が故に、どこか他人と距離を置いてしまうタイプ。そんな私にとって、幼稚園で出会ったママ友・里奈は、まぶしいほどに明るく、生き生きとした人だった。
息子の幼稚園生活を通じて仲良くなり、里奈にはこれからもママ友としてお付き合いしてほしいと思っていた。でも、私は知らなかった彼女の一面を、少しずつ垣間見ていくことになる。
ママ友は親友、のはずだった。彼女の「裏の顔」を知るまでは…
息子の幼稚園入園は、私にとって新しい世界への扉だった。人付き合いが得意な方ではない私は、ママ友という存在にどこか身構えていた。そんな私の前に現れたのが、里奈だった。彼女は、私の知る限りで最も明るく、社交的で、誰とでもすぐに打ち解けることができる人だった。いつもキラキラとした笑顔で、周りの人を惹きつける。私とは正反対の性格で、だからこそ、彼女の存在は私にとって新鮮で、魅力的だった。
息子たちが同じクラスになったことをきっかけに、私たちは仲良くなった。里奈と話していると、子育ての悩みや日常の些細な不満も、笑い飛ばせるような気がした。彼女のオープンな人柄に触れて、私は少しずつ心を開いていった。
園のイベントや参観日が終わった後、ランチに行ったり、子どもたちを公園で遊ばせたりする時間が増えていった。彼女といると、私まで明るくなれるような気がして、私は彼女との時間を心から楽しんでいた。
家族ぐるみの付き合いも始まった。里奈の夫も明るくて気さくな人。休日は家族みんなで集まってバーベキューをしたり、公園に行ったりした。子どもたちも里奈のことが大好きで、「次はいつ遊ぶの?」と楽しみにしている様子を見て、私は嬉しくなった。里奈は私にとって、母親になって初めてできた、心から信頼できる大切な友人だった。
深夜の繁華街、泥酔する彼女…知らなかったママ友の「裏側」
ある日、私は初めて里奈にSNSアカウントを教えてもらい、何気なく閲覧してみることにした。彼女は、私たちと会っていないときの様子を、写真や動画で頻繁に投稿していた。そこには、私が知っている里奈とは少し違う顔があった。
深夜の繁華街で、大勢の友人と酒を飲み、楽しそうにはしゃぐ姿。派手なメイクで、普段は見せないような表情を浮かべていた。私は、その投稿を見て、胸の奥で小さなモヤモヤが湧き上がるのを感じた。
彼女が好んでお酒を飲むこと自体は知っていた。キャンプでもよくビールをおいしそうに飲んでいたし、ランチでも「1杯だけなら」とワインを注文するときもあった。でも、そんなに深酒をしていたわけでもないし、酔っぱらう様子もなかった。
しかし、深夜に遊ぶ彼女は違うらしい。泥酔して、SNSに「記憶がない!」と投稿していた。そんな姿を目の当たりにすると「母親としてどうなの」という思いが頭をよぎった。私の性格上、子どもを置いて深夜まで出歩く母というのがちょっと想像できなかったのだ。
もちろん、パパが家で子どもを見てくれているなら、母親の行動は自由なのだと頭ではわかる。でも、私の価値観では受け入れられなかったのだ。
🔴【次の話を読む】「子どもがかわいそう」ママ友のSNS投稿が不快→直接苦言を呈せない理由|ママ友にお説教して後悔した話
あとがき:ママ友との価値観の違いに気づくとき
この第1話では、主人公と里奈の関係性の始まりが描かれています。主人公にとって里奈は、自分にはない「明るさ」や「開放性」を持つ、憧れに近い存在として描かれています。この段階では、二人の関係は非常に良好で、家族ぐるみで付き合うほど深いものになっていました。
しかし、主人公が里奈のSNSを通じて、彼女の「母親」としての姿と「個人」としての姿のギャップを垣間見たことで、物語の火種が蒔かれます。このモヤモヤは、主人公の真面目な性格と、里奈の自由奔放な性格がぶつかる前触れなのかもしれません。










