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さつきの息子、「りゅうと」は小学1年生。友だち付き合いが広がり、よろこんでいたのも束の間…。厄介なクラスメートが連日、さつきの家に来るようになり、さつきは小さなストレスを感じるようになります。
平穏で幸せな日々
「はぁ、今日も一日が終わったわね」
私はさつき、31歳。どちらかというとおだやかで、争い事は苦手なタイプ。でも、家族のこととなると、芯は強い方だと思う。夫の達也は32歳で、長男のりゅうとは6歳になったばかり。
私たちは、ごく普通のマンションの一室に住んでいる。朝起きて、達也とりゅうとを送り出し、家事を済ませて、午後はちょっと自分の時間。りゅうとが帰ってきたら、一緒に宿題を見て、公園に連れて行ったり、家で遊んだり…。
家族3人で、ささやかながらも幸せな日々を送っていた。そう思っていた…。
毎日、やってくる「あの子」
最近、そのおだやかな日常に、少しずつ波紋が広がり始めている…。りゅうとのクラスメートの「けんや」くん…。彼が、毎日のようにうちに来るようになってからだ。
「ピンポーン」
まただ。時計を見ると、午後3時半過ぎ。今日は習いごとに行っているので、りゅうとが帰ってくるのは4時過ぎなのに…。
「はい…」
インターホン越しに声をかけると、画面には小さな男の子の顔が映っていた。くりくりした目と、ちょっと生意気そうな口元。息子のクラスメート、「けんや」くんだ。
「りゅうとくん、いる?」
彼の大きい声は、まるで自分の家に来たかのように堂々としている。
「ごめんね、けんやくん。りゅうとは今日は習いごとだよ」
私はできるだけ優しく、でも曖昧な返事にならないように気をつけて答える。だって、彼がうちに来る目的は、りゅうとと遊びたいから…というより、もっと別のところにあるように感じていたから。
「えー、まだ帰ってないの?」
少し不満そうな声が聞こえる。彼の顔には「早く開けてよ」とかいてあるみたいだ。
特殊すぎる息子のクラスメートに違和感
最初は、りゅうとの友だちが来てくれるのは、うれしいことだと思っていた。りゅうともよろこぶし、私も新しいお母さんたちと知り合えるかもしれない…。
でも、けんやくんは、少し…いや、かなり特殊なタイプだった。
彼は約束もなしに毎日、わが家に来る…。そして、彼の目的は「ゲーム」だということが明確だった。
りゅうとがまだ帰ってきていないのに、うちの玄関の前に立ち尽くす彼の姿を見るたび、私の心には小さな違和感が積もり始めていた。
「けんやくん、またね」
そう言って、私はインターホンを切った。だが、彼の姿がしばらく玄関の前にいるのが、モニター越しに見える。まるで、私がドアを開けるのを待っているかのように。
この小さな違和感が、まさかこんなにも大きなストレスになるなんて…この時の私は、知る由もなかった。
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あとがき:日常に忍び寄るストレスの影
さつきのおだやかな日常に、小さな波紋が広がり始めます。小学1年生になったばかりの息子・りゅうとのクラスメート・けんや…毎日のように繰り返される訪問。まだ、りゅうとが帰宅していないにも関わらず、家に上がりたそうにします。そして、さつきは、彼の目的は「ゲーム」だと確信しています。
さつきにとって、この小さな違和感が、やがて、大きな嵐となってしまうかもしれませんね。










