Ⓒママリ
🔴【第1話から読む】“財布の中身が足りない”…義実家同居中の妊婦が抱える「密かな不安」|家のお金が消えていく
義母の犯行映像を夫に見せるが、夫は隠蔽を試みる。さゆりは夫に失望し、警察への相談を検討。最終的に夫と義母を問い詰め、義母がギャンブルの借金で盗んでいたことが判明する。
義母の犯行が確定
「学くん、これを見て」
私は、ベビーモニターに録画された義母の犯行現場の映像を、学に見せた。学は最初、信じられないという顔で画面を見ていたが、映像が進むにつれて、その顔はみるみる青ざめていった。
「……まさか……母さんが……」
学は、絶句した。しかし、私が期待していたような怒りや、義母を問い詰める素振りは見せなかった。むしろ「きっと何か事情があったんだ…」とこの期に及んで、義母を庇うような様子なのが分かる。
(この様子、きちんとけじめをつける気はなさそうね……)
私は、学の態度に失望した。このままでは、義母の犯行はうやむやにされ、また同じことが繰り返されるだろう。私は、もうこんな生活は耐えられなかった。
義母の謝罪と真相
「学くん、私、警察に相談しようと思う」
私がそう言うと、学はハッと顔を上げた。
「警察!?さすがにそれは……家族内の問題だろ?」
学は慌てて私を止めようとした。その言葉に、私は確信した。学は、義母が捕まることだけを恐れているのだ。私の苦しみや、家族のお金が盗まれていることには、全く向き合おうとしない。
「じゃあ、どうするの?このまま、お金が盗まれ続けるのを黙って見ていてってこと?」
私の言葉に、学は何も言い返せない。しばらくの沈黙の後、学は重い口を開いた。
「……わかった。母さんに、ちゃんと話すよ」
私は、学の言葉を信じることにした。そして母に真実を問い詰める場を設けた。ベビーモニターの映像を突きつけられた義母は、最初はしらばっくれようとしたが、動かぬ証拠を前に、ついに観念した。
「ごめんなさい……本当に、ごめんなさい……」
義母は、涙ながらに自白した。聞けば、家族の知らないところで競馬・パチンコなどにお金をつぎ込んで、借金をしていたという。そしてその借金を返済するために、私のお金に手を出していたのだ。
私は、義母の自白を聞いても、すぐに許すことはできなかった。しかし、この事実が明らかになったことで、私の心は少しだけ軽くなった。
新たなスタートを
「私、しばらく実家に帰るね。別居してお互いに頭を冷やしたいから」
私は、学にそう告げた。このまま同居を続けるのは、私にとってあまりにも精神的な負担が大きい。学は最初は戸惑っていたが、私の固い決意を知り、最終的には受け入れた。
その後、私はタンス貯金は一切やめることにした。すべて銀行に預け、現金は必要最低限しか持たない。義母は、今まで盗んだ総額を返していくことを約束した。
別居して数か月。義母は反省したのか定期的に連絡をしてきて、謝罪を伝えている。返済もきちんと確認できている。だけど、まだ信じることができない。もう少し、様子を見ることにしようと思う。
私と学の関係も、まだ完全に修復されたわけではない。でも、今回のことで、学も少しは変わってくれたように思う。間もなく赤ちゃんが誕生するからこそ、夫の変化も注意深く見ていきたい。この人が父親にふさわしいかどうか、じっくりと見極めるつもりだ。
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あとがき:真実と未来への一歩
ついに家族間の問題が浮き彫りになりました。さゆりの勇気ある行動で義母の犯行が明らかになりますが、夫の態度に再び失望を味わいます。しかし、さゆりは自分の幸せと生まれてくる子どものために、別居という決断を下しました。この決断が、彼女と家族にどのような未来をもたらすのか。物語はここで幕を閉じますが、さゆりの新たな人生はここから始まります。
イラスト:まい子はん










