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中2の娘がSNSで出会った“大学生の彼氏”。5000円の送金通知をきっかけに、夫婦と娘の関係は崩れ始め、日常は不安と衝突に揺れ動いていきます。
スマホと違和感
私は真紀子。41歳の主婦です。夫の和明と、14歳の娘のひよりとの3人家族です。ひよりとは仲が良く、私にはわりとなんでも話してくれています。
ひよりは明るく、ちょっと抜けたところもあるけど、自分の子どもながら、とてもいい子です。12歳の時に持たせたスマホに夢中で、友達とのLINEを楽しんでいるようでした。ちょっとしたことが楽しく、私たちの時もそうだったなと懐かしく思うと同時に、その当時の私の親のやきもきがわかってしまい、苦笑しながらも大目に見ていたつもりでした。
ですが、最近ひよりがスマホを離さなくなったのです。スマホを持たせる時に、食事の時は使わない。お風呂には持ち込まない。23時までの使用という約束をしました。
マナー、ルールを身に付けさせたかったのと、何よりひよりの健康と成長のためを思って決めたことです。それまでひよりはちゃんと決まりを守ってくれていたのに、最近はずっとスマホをいじっています。
本当に肌身離さず、という言葉がぴったりで、食事の時は夫が持ち込ませないのですが、なんだかそわそわして適当に食べてすぐに自室に戻ってしまうのです。女の子の友達だけではないようで、顔を赤らめてニヤニヤしていることが増えました。
夫も気付いたようで、「ひよちゃん、彼氏?」と、冗談めかして言ったのが数日前。そのときは「んん〜?」とひよりは笑っていました。でも、私はなんとなく気づいていました。母親の勘もありますが、会話の節々に、浮ついたなにかが混じっている、そう感じたのです。
私はひよりに聞いてみることにしました。
「ねぇ、最近好きな男の子がいるでしょ?ママに教えてよ」
なるべく明るく、女子トークのていで聞くと
「えー内緒。パパに絶対言うもん」
とニヤニヤしながらも、よくぞ聞いてくれたと顔に書いてあります。
「言わないよぉ。パパに言ったら面倒だもん。ママには教えてよ」
そう畳みかけると
「内緒だよ〜?あのね、たくみくん!めっちゃかっこいいんだよ」
と、顔を赤らめて答えました。
「たくみくんて子、クラスにいたっけ?でも、最近クラスのクソ男子がーって言ってなかった?ほら、トモヤくんだっけ?」
と聞くと、
「あんなんと一緒にしないでよ、たくみさんは超大人なんだから!」
私達の不安と動揺
たくみさん…?大人…?違和感を覚え
「大人っぽいって、どんな?高校生?」
と聞くと
「違うよぉ〜、たくみさんは大学生なの!めっちゃイケメンなんだよ!」
と目尻を下げてニコニコ、いいえニヤニヤする娘に驚き、一瞬言葉を失いました。
「だ、大学生ってなによ!大学生が中学生と付き合うわけないでしょ!」
思わず叫ぶように言うと、ひよりも「付き合ってるもん!」といいます。
「そんなのおかしいよ、大体どこで出会ったの?」
「SNSだよ!小説サークルの人!」
小説…。ひよりは小学生のころからファンタジー小説が好きで、読むことはもちろん、中学生になってからは自分でも書いているようでした。話を聞くと匿名SNSにある自作の小説のグループのようなものがあり、そこで仲良くなったというのです。信じられない話でした。
私たちとは比べ物にならないほどSNSが身近にある世代とはいえ、会ったこともない人と付き合うなんて、しかも同世代ならいざ知らず、大学生だなんて…。
あまりに現実離れした話にひよりに押されて調子を合わせてくれているのだろう、ごっこに付き合ってくれているのだろう、そんなふうに思いました。
私は夫に言うべきか悩みました。だけど、ひよりは私を信用して教えてくれた…。約束を守らないと親子の信用がなくなってしまう。だけど、そのたくみという大学生になんとも言えない恐怖を感じます。でも…と、考えても考えても答えは出ませんでした。
日常の崩壊
その夜、夫に大学生のことを話そうか迷っていましたが、ほっといて何かが起こってからでは遅い。そう思い、話そうと考えていました。ひよりの入浴中、リビングに2人で居ると、テーブルのスマホに通知が入りました。
決済サービスからで、たくみという名前から5000円の送金の通知でした。夫は「たくみ?5000円?なんだよこれ…」と絶句していました。私はもう隠せないと思い、ひよりから聞いたことを話しました。夫の顔はみるみるうちに赤くなり、お風呂から出てきたひよりに言いました。
「ひよ、たくみとかいうやつからお金が来たぞ。なんなんだ、これは」
ひよりはギョッとし
「ママ、内緒って言ったじゃん!」
と怒ります。
「通知が来て、黙っているわけにはいかなかったの」
と答えると、夫は怒り
「大学生が中学生と付き合うわけないだろ!このお金はなんなんだ!」
と大声を出しました。
ひよりも負けずに「付き合ってるもん!お小遣いにしてねって送ってくれたの!」と応戦し、たくみさんは優しくて小説の才能がある素敵な人なんだから!と涙ながらにいいます。夫は怒髪天に達し、ひよりにスマホの没収を言い渡しました。
ひよりは泣き叫び、自室に駆け込んでしまいました。ひよりの泣き声を遠くで聞きながら、私たちは頭を抱えてしまいました。こうして、私たちの穏やかだった日常は、音を立てて崩れていったのです。
あとがき:母の勘が告げた違和感
母の勘がきっかけとなり、娘のひよりが大学生の“彼氏”を語り始める姿が描かれました。親から見れば危うく、不安しかないでき事も、ひよりにとっては純粋な恋のときめきです。その食い違いが、やがて家庭を大きく揺らす火種となります。こんな時あなたならどうしますか?
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










