Ⓒママリ/画像の生成にAIを使用しています
無期限でスマホを預けられたひよりは反発を強め、親子の溝は深まる。送金の真意に不安を募らせた両親は返金を決意し、母は今夜こそ娘にネットの危険を伝えようと覚悟する。
朝の沈黙と、娘の反発
嵐のような夜が明け、朝の陽射しでいっぱいになったリビングは、シンと静まり返っていました。誰も何も言わず、モソモソと朝食を食べる音だけが響いています。昨夜、私はしばらく娘の部屋の前で立ち尽くしていました。嗚咽まじりに何か言っていますが、聞き取ることができません。
私はどうしてこんなことになってしまったのかと、自分を責める気持ちと、私の知らない娘を見た気がして、心も頭の中もぐちゃぐちゃでした。
そのあと夫と話し合い、無期限でスマホを預かることにしたのです。正気に戻るまで、高校受験に本腰を入れられるようになるまで。
そう決めたものの、やり過ぎかなという思いもありました。それに、スマホを持たないことで、違うトラブルに遭ったら…。ですが、今スマホを持たせているのはよくない、そう心を鬼にして決めました。
下を向いてパンをかじっていた娘が言いました。
「いつ?いつ返してくれる?」
と顔色をうかがうように一言。
しばらくかかりそうね、と言いたいのをこらえて
「とにかくさ、落ち着こうよ。ひよ、最近スマホ依存症みたいになってたしさ」
と返すと、夫も
「今年は受験だし、スマホをいじっている時間なんか無いんだから」
とたしなめます。
「そんなに?無理!」
と口を尖らせるひより。
「ひよが反省して、落ち着いて暮らしてくれればすぐ返すよ」と夫が言うと、
「反省って何?たくみさんはいい人だもん!」と立ち上がって反抗。…思ったよりも重症でした。
「とにかくしばらくスマホはだめよ。今は学校に集中して!」
私は大きい声でキツく言ってしまいました。
ひよりは「もういい!ママたちにたくみさんの良さがわかるわけないもん!」と捨て台詞を吐き、学校に向かいました。
夫婦の疑念
「明るくて素直ないい子」のひよりの見たことのない姿に唖然としました。夫も同じで、怒ったような、戸惑うような、なんとも言えない表情でした。顔を見合わせたものの、言葉は出ず、コーヒーをすする音だけが響きました。
夫がぽつりと言いました。「大学生、なんで送金してきたのかな」低い声に、私も全く同じ疑問を抱いていたことを話しました。
ひよりは「お小遣いとしてもらった」と言っていたけれど、見知らぬ人から五千円も受け取った事実は、親として到底納得できるものではありません。とにかく、返金しなければ…。
それに、そんな金額を渡す理由が、ただの好意や気まぐれで済むはずがない。頭の奥底では、口に出すことをためらうような可能性が次々と浮かんでいました。
けれど、娘の前でそれを言葉にしてしまえば、もう二度と戻れない場所へ踏み込んでしまう気がして、私は口をつぐんだのです。
「まさか…エッチな写真とか…」
思わず夫を見ました。気まずそうに、「いや、そんなわけないよな。ひよはそんなバカじゃないよ。相手にだってリスクはあるんだ」と自分に言い聞かせるようにつぶやきました。
「パパ、私も同じことを考えていたよ。あの浮かれっぷり、きっと年上の人に女の子扱いされて舞い上がってるのよ。もしかしたら、写真とか、送っているかもしれない…」
夫の顔から表情が消え、「見返りってことか?そんな、まさかひよが…」と絶句し、うなだれました。そういうことがあってもなくても、返金しよう。そう話し合い、夫を送り出しました。
母の決意
とにかく今夜改めてひよりと話をすることにしました。ネットの怖さ、人間の悪意、中学生の彼女に教えなければならないことがいっぱいです。
普段から一緒にニュースを見たりしていたし、スマホを持たせる時にもよく言い聞かせたのですが、実際に持ってみるとSNSは楽しくて危険なことと思えないのでしょう。まして小説はひよりの好きなものです。無理もありません。
ちゃんと噛み砕いて教えれば、きっと彼とのお付き合いを辞めてくれる。そう思うしかありませんでした。
🔴【続きを読む】言い返した言葉、その代償|はじめての恋、見えない檻
母が伝えたい、ネットの怖さ
スマホを無期限で預けられたひよりが強い反発を見せ、親子の溝が一気に深まっていきました。大学生からの送金の意味を考えざるを得なかった両親は、口にするのも恐ろしい可能性に震えつつ、返金を決意します。真紀子さんは、娘を守るためには「ネットの怖さ」をきちんと伝えなければならないと覚悟を固めました。信じたい気持ちと、不安に押しつぶされそうな思い。その狭間で揺れる母の姿が浮かび上がります。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










