1錠でも命に関わる
「子どもが薬を誤飲したかも」、そんな心配で病院を受診するケースは多いそうです。Dr.リノさんのある投稿が話題になっていましたのでご紹介します。当直中だった小児科医のDr.リノさん実際に経験したことです。それがこちら。
【One pill can kill】
先日の当直中に「何かを誤飲したかも」という幼児の受診がありました。「私(親)の薬が減っている気がする」「いつ飲んだかもわからない」「半日ほど自宅で様子みたがネットをみてるとだんだん心配になったので受診」という、なかなか難しい主訴の受診でしたが、
続 ※1
まずは受診してくれたことを褒めました。
そのうえで「飲んだかもしれない時間からかなり経過しているので胃洗浄などの処置の適応がない」ことを伝えます。薬の種類が分からないので私も困っていると、親はぼろぼろ泣き出してしまいました🦏💦
「1錠くらいなら大丈夫と言ってもらえると思った」
続 ※2
心配で来られた親に対して、こちらとしても「大丈夫ですよ」と言ってあげたいのはやまやまなんですが、小児救急の世界には「One pill can kill」という言葉があります。少量でも致死的になりうる薬剤があるのです。これらの薬剤を前にして「少量だし大丈夫」とは安易に言ってはいけません。
続 ※3
幸い、飲んだ可能性のある薬剤のなかに該当する薬剤はないうえに、かなり時間も経っておりお子さんもすこぶる元気そうだったので「おそらく問題ないでしょう」と帰宅させましたが、あの時どう対応するのが良かったのか今でも悩みます🦏💦
というわけで、それらの危険な薬剤を紹介します。
続 ※4
☑三環系抗うつ薬(トフラニール、トリプタノールなど)
・意識障害、けいれん、不整脈、低血圧など
☑降圧薬(カルシウム拮抗薬:アムロジピン、ニフェジピンなど)
・心停止、血圧低下、不整脈など
☑降圧薬(β受容体遮断薬:インデラル、テノーミンなど)
・心停止、血圧低下、不整脈など
続 ※5
☑麻薬(オピオイド:コデイン、ハイドロコドンなど)
・中枢神経抑制、昏睡、不整脈、血圧低下、呼吸抑制など
☑血糖降下薬(スルホニルウレア剤:クロルプロパミドなど)
・意識障害、けいれんなど
☑鼻粘膜充血除去薬(クロニジンなど)
・意識障害、低血圧、不整脈、呼吸抑制など
続 ※6
☑ 消炎鎮痛剤(サリチル酸)
・興奮、不穏、耳鳴り、嘔気、嘔吐、脳浮腫、代謝性アシドーシスなど
☑アルコール(エタノール、メタノール、エチレングリコール)
・意識障害(傾眠~昏睡)、散瞳、視力障害(メタノール)
これらの薬剤の保管場所、皆さん今一度見直してくださいね🦏💦 ※7
「1錠くらいなら大丈夫」と言えない理由…それは、「One pill can kill(たった1錠で命を奪い得る)」という言葉。つまり、少量だから平気とは簡単に言えないのですね。大人にとっては問題なく日常的に飲んでいる薬でも、体の小さな子どもにとってはたったの1錠で命に関わるリスクがあるということを忘れないようにしましょう。親ができる一番の対策としては、やはり子どもの手の届かないところに薬を保管することを徹底することだと思います。
この投稿には「致死量って体重で変化しますしね…。薬と毒の違いは量。」「私も不安になったことあります。防げる事故は防いでいきたい。」といったリプライがついていました。子育て中の親にはとてもためになる投稿でした。










