🔴【1話から読む】自宅に呼んだ「マッサージ」。その正体は?11歳年上夫の秘密
思い出の詰まったマイホームで、正行はデリヘル嬢とお風呂まで入っていたことが発覚します。受け止められない事実の数々に、佳奈子の心は限界を感じ…。
デリヘル嬢と自宅の風呂で…
正行の号泣する姿を前に、私は怒る気力さえもうしなってしまった…。あまりにも取り乱している彼を前に、逆に「大丈夫だよ」となぐさめてしまっている自分がいた。
「もういいから、落ち着いて…」
「佳奈子、ごめん…本当にごめん…」
彼は何度も何度もあやまり続けた。その姿は痛々しかったが、どうしても拭いきれない違和感が私の中に残っていた。それは、お風呂場にあった長い髪の毛だった…。私はショートヘアだから、私のものではない。まさか…。
「ねぇ、一つだけ聞かせて。お風呂にも…一緒に入ったの?」
私の問いに、正行は顔を真っ青にしてうつむいた。答えは、沈黙が物語っていた。
「信じられない…」
私は思わず声に出した。毎日、マオと一緒に入っているお風呂だ。マオの遊び道具が浮かんでいるかもしれない、あの浴槽で…。
(どうして、そんなことができるのだろう)
正行の行動は、私の理解をはるかに超えていた。
娘と自宅を飛び出したけど
「どういう神経してるの…?私とマオが、毎日入ってるお風呂だよ?」
ようやくしぼり出した私の言葉に、正行はただただ泣くばかりで、何も答えることができなかった。
その日、私はマオを連れて実家に帰ることにした。この家にはいられない。このままこの家にいたら、私自身が壊れてしまう。
「ごめん、正行。少し、一人になりたい…」
「佳奈子…!」
すがりつく正行を振り切って、私は家を飛び出した。
実家に帰っても、何も手につかない。母は心配してくれたが、私は何も話すことができなかった。ただただ、マオを抱きしめ、この先のことを考えていた。
「離婚」
その二文字が、何度も何度も頭をよぎった。でも、実際に正行と離れることを想像すると、胸がしめつけられた。
「今、何してるかな…。ご飯、ちゃんと食べてるかな…」
泣きじゃくり、私にすがりつく正行の顔が頭をよぎる…。そんな自分がいて、正直、おどろいた。あんなことをされたのに、正行のことを心配している。
優しかった正行を、きらいになれない…。それに、マオを抱えてシングルになることもこわかった。
離婚をためらう理由
「ねえ、ママ、パパは?おしごと?」
無邪気にたずねるマオ…。その、あどけない顔を見ていると、しがない夫婦げんかなんじゃないか…正行を許すべきなんじゃないかと、また自分を責める心もわきあがってくる…。
(マオだって、パパが大好きだよね…)
そして、もう一つ…離婚を躊躇(ちゅうちょ)する理由があった。
正行の父、義父の誠司さんの存在だ。義父は、孫であるマオを心からかわいがってくれている。となり町に住んでいて、時間があれば、会いに来てくれた。おだやかで優しい義父は、私にとっても、もう一人の父親のような存在だった。
「じいじ、またマオと遊んでね」
「ああ、もちろん。いつでもおいで」
そう言って笑顔でマオを抱きしめる義父の姿を思い出すと、この大切なつながりを、断ち切ってしまってもいいのだろうか…そう思ってしまう。
堂々めぐりになる思考に出口がほしくて、私は誰かに話を聞いてもらいたかった。でも、実家の母は、正行のことを実の息子のように信頼していたから、このぐちゃぐちゃとした今の私の感情を吐き出すのは、心苦しかった…。
「ねぇ、真衣。今から会えないかな…?」
頭に浮かんだのは、実家近くに住む、大学時代からの友人だ。芯がしっかりとしていて、はっきりものを言う彼女の性格が好きだった。真衣にLINEを送ると、すぐに「いいよ。どこにする?」と返信が来た。
私は近所のカフェを指定し、真衣に全てを話すことにした。
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あとがき:離婚の文字が頭をよぎる
「離婚」と言う文字が頭をよぎる佳奈子でしたが、一方で、普段はとても優しく家族思いな正行の姿を思い出します。夫を「きらいになれない」という気持ちと「許せない」という気持ちのはざまでゆれ動く佳奈子…。
大切な人の一面を知ってしまい、許容できないこともあるかもしれません。ですが、今まで育んできた関係も、すぐに断ち切ることは難しいですよね。当事者同士の関係はもちろん、その周りにも広がっている関係もあります。
もし、一人で悩んでいても解決の糸口が見つからないのであれば、佳奈子のように客観的な意見をくれる友人などに相談することもひとつの方法ですね。「この人に相談したい」という人物が近くにいることは、とてもありがたいことですね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










