🔴【1話から読む】自宅に呼んだ「マッサージ」。その正体は?11歳年上夫の秘密
大学時代の友人・真衣に相談をした、佳奈子。真衣は自身も母を亡くしている経験から、正行の気持ちにも理解を示した上で、「本当に家族が大切なら、悲しませるようなことはしない」ときっぱりと言い切ります。
的確な友人の意見
真衣はカフェで、私の話にじっと耳を傾けてくれた。
自宅にデリヘルを呼んでいたことが発覚するまでの経緯、普段の正行がとても家族思いなこと…。正行のことをきらいになれないこと、マオや義父のこと…。時折、真衣は眉間にしわを寄せ、ぐっとくちびるを引き結んでいた。
話し終えると、真衣はカップを置き、静かに口を開いた。
「…はぁ、信じられない。マジでふざけてるよ」
真衣の怒りが、ひしひしと伝わってくる。その怒りに、私はなぜか少し安堵した。
「佳奈子…よく聞いて。再構築するなら、次にやったら、絶対に離婚、慰謝料請求、親権も全部取るって、きちんと伝えなきゃダメだよ」
真衣は、まっすぐに私の目を見て言った。
「その場で泣き崩れて、『ごめん』って言っただけで許しちゃうのは、優しさじゃない。正行さんを甘やかしてるだけ。また同じことを繰り返すよ」
真衣の言葉は、私の心をエグるように鋭く、そして的確だった。たしかに…私は正行の涙に同情してしまい、強く追及できなかった。
友人の言葉の重み
「正行さんが言ってる『疲れてた』とか『寂しかった』っていうのは、全部ただの言い訳にすぎないでしょ」
真衣は、憤りを隠せない様子だった。
「そう…だよね…」
真衣の剣幕におされるようにうつむく私を見て、真衣はハッとしたように目を逸らした。そのあと、静かにこう続けた。
「ごめん…。私も母を亡くしたからさ…そのつらさも悲しさも、痛いほどわかる。でも、それとデリヘルを自宅に呼ぶのは、まったく別の話だよ…」
真衣は母親を昨年、亡くしていた。そのつらさを知っているからこそ、真衣の言葉には重みがあった。
「『一人になるのが怖い』『寂しい』…その気持ちはわかる。でも、もっと違う方法があるはず。趣味を見つけたり、友だちと会ったり…いくらでもやりようはあるでしょ」
真衣はそういうと沈黙し、ゆっくりと息を吐くと、私の目を見つめて言った。
「本当に家族を大切に思うなら、佳奈子やマオが悲しむことなんて絶対にしないよ」
真衣の言葉に、私は何も言い返すことができなかった。
夫に向き合う決意
正行が普段から、家族を大切にしてくれていることは知ってる…。でも、真衣の言う通りだ。
(本当に家族が大切なら、あんなことしないよね)
正行は、「佳奈子とマオがいてくれたから頑張れた」と言っていた。でも、その言葉に、今は何の価値も見いだせない。
「佳奈子…正行さんの言葉にだまされちゃダメだよ。優しく、家庭的な顔の裏で、そんなことをしてたってこと、ちゃんと受け止めなきゃ」
真衣は、私の手をそっと握ってくれた。
(そうだ…私は、正行の言葉に惑わされていた)
彼の泣きじゃくる姿に同情してしまった…。でも、それは私が弱いからだ。そして、彼を甘やかしているだけなのだ。このまま、悲しんでいても何も解決しない。しっかりと正行と向き合って、話し合わなければ。
私一人では、また正行に同情し、言いくるめられてしまうかもしれない…。本当に正行と再構築を目指すのであれば、信頼できる人の助けが必要だ。
私の頭に浮かんだのは、優しいけれど威厳を持ち合わせている、正行の父…義父の存在だった。私は、義父にもすべてを打ち明けることにした。
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あとがき:現状を変えるための糸口
耳に痛い言葉は、言うことも聞くこともためらわれるものです。真衣の言葉は厳しいものですが、的確で、その裏には、佳奈子の幸せを思う気持ちが伝わってきますね。
そんな、真衣の言葉で目が覚めた佳奈子。自分の弱さや甘さにも向き合い、現実に立ち向かう覚悟をします。他人を変えることはとても大変なことです。まずは、自分自身が変わることが、現状を変えていく糸口なのかもしれませんね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










