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突然の夫からの謝罪に驚きつつ、心は凪のままだった。
「彩乃には感謝してる。これまでの結婚生活も、子どもたちとの生活も彩乃がいたから楽しかった。……だけど正直、彩乃を昔のようには想えない」
謝罪した直後に吐かれる夫の本音。彼は言い方に問題があったように考えているようだけど、そんなことは重要じゃない。それに気づいていないことが、なんだか虚しかった。
「彩乃に対して情はあるし、彼女より家族を大切に思ってる。……だけど、自分でもどうしたらいいか分からないんだ」
家族や私を思う素振りをして、自分も可哀想だとアピールしているように見えた。私は静かに話を聞きながら、彼に冷たい視線を向けていた。けれど彼はそれにも気づかずに話を続けた。
「今すぐには解決できない。だけど必ず、自力で解決するから、待っててほしい」
彼は私を真っ直ぐに見て言い切った。けれど、その言葉への期待すら抱けないほど呆れ切っている私は、素っ気なく「……うん」とだけ返して残った洗い物を洗いにキッチンへと向かった。 ※1
自分勝手すぎる、夫の言い分
娘が通う保育園の保育士と不倫をした挙句、「家族よりも不倫相手を選ぶ」と、はっきりと言い放った夫。
今さら謝罪されても、信じられませんね。しかも、あいまいなことばかりを言い、被害者ぶる態度に彩乃はあきれています。夫を完全に見限った彩乃は、完ぺきな復讐劇を仕掛けます…。
【夫視点】突然告げられた、不倫相手からの別れ
ある日の仕事終わり。彼女から電話がかかってきた。電話に出ると、第一声から彼女の怒号が飛んできた。
「ねぇ、奥さんには口止めしてるって言ってたよね?」
「ちょっ、落ち着いてよ。どうしたの?」
「仕事、クビになったよ。不倫の告発が、写真付きであったって。奥さんしかいないよね?」
予想外だった。妻は子どもたちのことを考えて、口をつぐむと高を括っていた。
「分かった……。とにかく、帰ったら妻に告発が勘違いだったと取り下げるように言うから、落ち着いてよ」
「はぁ?もうそんなの求めてない!あんたも心置きなく他の女に乗り換えられるんじゃないの?」
「他の女?何の話だよ」
「この期に及んで正直に言わないんだね。もう連絡してこないで!」
そのまま、電話を切られた。その後、何度も連絡を取ろうとするも反応がない。メッセージもトークルームがなくなっていた。彼女との関係は突如、終わりを迎えた。
俺は菜々以外と不倫なんてしていない。いったい何の話をされていたのか、俺は見当もつかなかった。 ※2
「家族よりも不倫相手」を選ぶと豪語していた夫にとって、不倫相手からフラれるなんて、まったく想定していませんでした。
突然、連絡手段も断たれ、夫はただただ混乱します。
【妻視点】妻が仕掛けた、完ぺきな復讐劇
夫が帰ってきた。その足取りは重く、意気消沈していた。自分の非を認めたのか、不倫の告発について問われることはなかった。私の計画通りに物事は進んだ。
制裁を決意した私は「不倫関係を終わらせつつ、菜々先生も辞めさせる」逆転計画を立てた。そのためにまず私は、菜々先生に近づいた。あえて「夫の不倫を疑う、惨めな妻」を演じたのだ。これで彼女を優越感に浸らせて隙をつくった。
ただ、そこから相談する内容は架空の不倫相手に関することで「夫の不倫相手」は菜々先生ではない。まさか自分が浮気されていると思わない菜々先生は動揺するだろう。そこで彼女に違和感を植え付けて不安を煽ったのだ。夫への不信感しかない彼女は夫から離れるだろうし。保育園にも戻れない。夫は不倫相手を失い、ついにひとりぼっちになるだろう。
その後、私は夫に離婚を突きつけた。夫は泣きついてきたが、不倫がバレてからの態度を私は許すことはしなかった。シングルマザーとして生きていくことに不安はある。でも、私の親も片親で私を立派に育ててくれた。きっと私にもできる。2人の愛おしいわが子と一緒に、私らしくいられる人生を送ると決めたのだ。私と子どもは、絶対に幸せになれると信じている。 ※3
彩乃が立てた計画は大成功でした!仕事をクビになった不倫相手…。離婚を突きつけられた、夫。周囲の人を傷つけ、家庭を壊した報いは、何かしらの形で返ってくるものではないでしょうか。
本作では、夫の不倫が発覚し、その後の夫の態度にも悩まされた主人公が、見事に大逆転をとげた様子が描かれています。
一時は傷つき、涙で眠れない夜を過ごした日もありましたが、自分と子どもたちの幸せのために、最後まで闘いました。母として、一人の女性として、たくましく強くあろうとした姿に、エールを送りたくなる作品です。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










