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「なんで黙ってたんだよ。俺、ゆみこから聞いてびっくりしたんだ」
「ごめん。お兄ちゃんに余計な心配をかけたくなくて」
兄はゆみこさんに聞くまで、ゆみこさんが実家でどんな過ごし方をしているか知らなかったという
「俺はてっきりゆみこも一緒に実家のことしてくれてるんだと思ってて、まさか母さんと父さんに丸投げだとは思わなかったんだ」
兄の言葉に、私は少しだけホッとした。兄が親に丸投げするよう指示したわけではないんだ。
「そうなの。お母さんたちがクタクタで心配で…」
「悪かったよ。春に双子が生まれてから俺もゆみこもいっぱいいっぱいでさ。つい頼りやすいところに負担かけちゃったんだと思うよ。配慮が足りなかったな」
「お兄ちゃんは悪くないし、ゆみこさんも悪気はなかったと思うの。きっと疲れて甘えたかったんだよね」
兄曰く、ゆみこさんの両親は病気がちでなかなか頼れないらしい。私もその情報を知らないために「うちの親ばかり頼る」と不満っぽく言ってしまったことを後悔した。
「俺たちが図々しかったよ。今度ちゃんと父さんと母さんに謝りに行くつもり」
兄は静かにそう言った。ゆみこさんだけでなく「俺たち」と表現する兄は、家族思いだと思った。 ※1
妹の助言がきっかけで、変わり始めた兄家族
兄の家庭では、3人の子育てに追われる日々。兄は仕事が忙しく、子育ては妻である ゆみこに丸投げしていたようです。そして、誰にも頼ることができなかった ゆみこは、夫の実家に甘えすぎてしまったそう。
兄が子育ての大変さ・孤独を理解したことで、少しずつ家族はいい方向へと変わっていくことができそうです。
兄嫁からの謝罪
兄との電話の後、しばらくしてゆみこさんから電話が来た。よそよそしい挨拶のあと、少し間が空いてゆみこさんが話し始めた。
「さとみちゃん、ごめんね。この前は、何も言わずに帰っちゃって」
その言葉に、私は胸を撫で下ろした。
「いえ、大丈夫です。私も、少し言いすぎたかなって」
「ううん、違うの。さとみちゃんが言ってくれたこと、全部、本当のことだよ。夫にも言われたし、私も反省してる」
私は、ゆみこさんの素直な言葉に、驚いた。
「私、本当に甘えてたんだと思う。パパが忙しいから育児には関われないし、私の両親は…頼れないから…」
ゆみこさんの言葉は、震えていた。
「…ゆみこさん?」
「ごめんね、なんか、悔しいっていうか、情けないっていうか…」 ※2
ゆみこは、ワンオペ育児に追い詰められ、心身ともに限界だったのかもしれません。自分の今までの行いを猛省し、心から謝罪と後悔しているようです。
再び、家族として向き合うために
その後、私たちは何度か会って、ゆっくりと話をした。
ゆみこさんの実家のご両親は病気がちで頼れず、心配をかけたくないために「疲れた」「困っている」など言えないままだったこと。そして夫である私の兄も仕事が忙しく、どうしようもないと思っていた中で義両親が尽くしてくれて、最初は感謝していたのに、いつしか当たり前になってしまったこと。
「お義母さんやお義父さんのやさしさに甘えすぎてた。本当にごめんね」
ゆみこさんはそう言って、もう一度頭を下げた。 私は、ゆみこさんの事情を知り、少しだけ心が軽くなった。
「夫婦で話したの。これからは、ちゃんと分担して、お義母さんたちに甘えすぎないようにするって」
兄ともしっかり話し合い、自分たちでできる範囲のことはしっかり自分たちでやるということにしたらしい。 ※3
話し合いをしたおかげで、ゆみこが一人で抱えていた問題が明らかになりました。家族や夫婦であっても、話さなければわからないこともありますね。
本作では、子育てに追い詰められ、図々しい嫁に変貌してしまった一人の女性の姿と、振り回されてしまった家族の様子が描かれています。子育ては周囲の助けが必要です。ですが、それを当たり前に思わず、感謝の気持ちを忘れはいけませんね。
改めて、家族として身内とどのように関わるべきか、考えさせられる作品です。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










