🔴【第1話から読む】「子育てなんてまっぴら」子無し宣言する同僚に、妊娠報告しづらいワケ|マタハラ同僚の話
妊娠が安定期に入り、おなかが大きくなったゆきえは、ついにえみこに妊娠を伝えます。えみこは祝福の言葉一つもかけず、不安をあおるような言葉をかけてきて…。
おなかが目立つ時期になった
結婚式から数か月が経ち、私の妊娠は順調に進みました。安定期に入ったことをきっかけに、職場のメンバーには意を決して妊娠を伝えることに。
えみこ以外のメンバーは「もしかして…と思ってたよ!」「体調優先でね!」などとても温かい言葉をかけてくれました。幸いつわりは軽く仕事を続けてくることができましたが、もしも何かあったら休んでねと言ってくれたことで心は軽くなりました。
そんな中、えみこは薄ら笑いを浮かべてこちらをちらっと見るだけで、業務の手を止めてくれもしませんでした。まるで、私の妊娠報告なんて仕事の邪魔だから聞きたくないとでも言うように。
ついに直接マタハラを受ける
その後、職場全体の食事会があって、えみこと席が隣になってしまいました。ビクビクしながらえみこの隣に座ると、えみこはなぜかとてもにこやかに話しかけてきました。
「ゆきえさん、お疲れ様!」
「え、えみこさんも…」
こんなににこやかなことはあまりない。なぜだろう…と怖ささえ感じました。
「ねえ、妊娠中だと座りっぱなしも大変なんでしょう?デスクワークは大丈夫なの?」
えみこが体調の心配をしてくるなんてびっくりしましたが、答えない理由もないので回答します。
「あ、はい。まだそんなにおなかも出てきていないし大丈夫ですよ」
そう答えると、えみこの目の奥がにぶく光ったように感じ、背筋がヒュッと冷える感じがしました。えみこはにこやかな表情のまま、食事会のために集まった周囲の同僚に声をかけます。
「あの~、高齢出産って何歳からだっけー?」
大きな声で尋ねながらわざとらしく、少し首を傾げています。
「え、た、たしか35歳からじゃないですか?」
近くに座った男性の同僚がそう答えました。彼の奥さんは昨年出産したばかりです。
すると、えみこは私の顔をまじまじと見て、こう言います。
「ゆきえさんは、今何歳ー?」
「…35歳ですけど」
するとえみこの顔がパッと明るくなります。
「そっかー、じゃあ高齢出産だ!大変だよね~」
えみこは私の年齢をずいぶん前から知っているはずです。この場で聞いたのは、まさにつるし上げのようなことだと思いました。極めつけは、まるで脅すような一言です。
「2人目を急がないとね?1人で終わらせる気がないのなら」
この人になぜそんなことを言われなきゃいけないのでしょう。わたしはイライラが止まりませんでした。
同僚からの悪意に涙が
えみこはその後もチクチクと嫌がらせ発言を繰り返していました。産休に入る少し前は、出産のことも。
「ねぇ、出産ってめっちゃ痛いらしいよー? 怖いよね?もう逃げられないけどさ~」
「わざわざ痛い思いして、そのあと大変な子育てでボロボロになるなんて、私には理解できないわ」
目の前で出産を控えている人をわざわざ怖がらせるような発言をする必要があるでしょうか?私はもう何か答える意欲もなくなって、適当な笑みをうかべて「そうですね~」と言うだけに終始していました。
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あとがき:高齢出産という名のナイフ
ゆきえさんの妊娠という喜ばしい出来事が、えみこさんの心ない言葉によって冷たく濁されていく様子が、痛いほど伝わってきました。それは、単なる「無邪気な質問」ではなく、幸福への妬みからくる明確な「悪意」でしょう。「高齢出産」というレッテル貼り、未来の二人目へのプレッシャー、そして出産への恐怖を煽る一言一言は、祝福の代わりに冷たい水たまりを作るようでした。他者の幸せを純粋に喜べない人の存在、そしてその言葉がどれほど深い傷となり得えるのでしょう…。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










