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祖母に婚約を報告し笑顔→数日後、従姉妹からの連絡で“心が暗転”|介護問題で親族と不仲になった話

家族が増えることも、減ることも、誰もがいつかは経験する。けれど「介護」という現実は、思っている以上に家族の絆を試してくる。母と叔母の対立。板挟みになる美咲。そして、仲の良かった従姉妹・彩花とのすれ違い。誰も悪気があるわけじゃないのに、少しずつすれ違いが深まっていく。祖母を思う気持ちは同じはずなのに──そう信じたいのに。気付けば、家族の間には戻れない距離ができていた。『介護問題で親族と不仲になった話』をごらんください。

🔴【第1話から読む】母と祖母の通話で「怒鳴り声」→支えあうはずの祖母の介護が崩れていく|介護問題で親族と不仲になった話

祖母の介護をめぐり、母と叔母の対立は深刻化。板挟みになった美咲は、家族を繋ごうと奔走するが、従姉妹の彩花とも衝突してしまう。関係修復の糸口を探すも、次第に行き場を失っていく。

すれ違いの狭間で見つけた、小さな安らぎ

夜 スマホ PIXTA

母と叔母のみならず、長年仲の良かった従姉妹の彩花との間にも遂に亀裂が入ってしまった私は、完全に行き詰まりを感じていた。家族にも従姉妹にも気を張り詰め、迫る祖母の最期にも胸を痛める私にとって、唯一の安らぎは恋人の俊介との日常のやりとりだった。

「そっかぁ。板挟みだけでも辛かったのに、従姉妹さんにも誤解されちゃったんだね」

「……うん。それぞれが手一杯で余裕がなくて。仕方ないとは思うんだけど……」

「まぁね〜。ただ、せめてお互いにもう少し、耳を傾けられると良いよね」

穏やかで思いやりに溢れた彼と惹かれ合って、私たちは長い付き合いになっていた。そして、祖母の病気発覚の直前、私は彼からプロポーズを受け、婚約をしていた。

本来であれば、そこから両家への挨拶を済ませて正式に婚姻する予定だった。けれど、祖母の件を聞いた彼が気を使って「落ち着いてからにしよう」と言ってくれた。そのため、彼のことを家族や祖母、叔母家族も知っていたが、婚約についてはまだ家族にしか伝えていなかった。

祖母の笑顔に宿った、ひとときの救い

祖母 笑顔 PIXTA

仕事がひと段落し、久しぶりに家族で休みが合った週末。私たち家族は祖母の家へと向かった。

「婚約の話、おばあちゃんに言ったら喜んでくれるかな……」

父が運転する車に揺られる中、私はそんな期待を密かに抱いた。

祖母の家に着く。祖母の衰弱具合はより深刻になっていた。以前来た時は動けていたのに、ベットで上体を起こすのがやっとのようだ。明るく振る舞う気遣いを見せても、辛そうなのが透けて見えた。

「ミサちゃん、久しぶりだねぇ。……お仕事、忙しいのかい?」

途切れ途切れな祖母の力ない声に、私は胸を締め付けられ、思わず涙が溢れそうになった。けれど、気丈に振る舞う祖母の前では泣くまいとグッと涙を堪え、婚約について話した。

「おばあちゃん、俊介くん覚えてる?」

「……ミサちゃんの、恋人かい?」

「うん。実はね、プロポーズしてくれてね、婚約したんだ」

そう言うと、祖母は既にシワだらけの顔をさらにクシャっとさせて、満面の笑みを浮かべた。

「そ〜かい、良かったねぇ」

祖母の笑顔と祝福の言葉に、堪えていた涙が堰を切ったように溢れ出た。でも、流す涙は弱っていく祖母への切なさではなく、辛そうな祖母を一時でも笑顔にできた喜びと安心からだったように感じた。

その日はそれ以降、祖母の調子が上がっていった。食事にも積極的で、家族での会話も弾んだ。最近しかめっ面が多かった母にも笑顔が窺えた。叔母家族との不仲で家庭内さえ緊張が続いていた中で、久しぶりに穏やかな空気が流れていた。

従姉妹との断絶、こぼれ落ちた言葉

すれ違い PIXTA

祖母に婚約の話をして以降、私は職場で異動があり、これまで同様の忙しさに加えて環境にも変化が起きた。また、私たち家族と叔母家族の確執もさらに深まり、母と叔母の衝突はさらに激化。公私のストレスが重なった私は次第に、祖母の介護から足が遠のいていった。

そんな中で、久しぶりに1人で祖母の元を訪れた数日後、従姉妹の彩花から連絡が入った。嫌な予感がして、恐る恐る電話に出た。

「もしもし……どうした?」

「この前の週末って、美咲1人でおばあちゃん家に来てたんだって?」

「えっ、うん……」

「埃っぽかったんだけど、掃除したの?」

冷たく突き放すような語気で話す彩花に胸を痛めるも、その内容に心当たりはなかった。

「埃っぽかったらごめん。でも、掃除は毎回してるよ」

「はぁ……。ただでさえおばあちゃん、病気で身体弱ってるんだから、掃除ぐらいしっかりしてよね」

誠実な弁解にも、彩花は嫌味を吐くだけだった。これ以上の衝突は避けようと押し黙ると、彩花は祖母から聞いたのか、私の婚約の話を持ち出してきた。

「そういえば美咲、俊介さんと婚約したんだって?」

「えっ、あ、うん……」

「おばあちゃんも大変な時に……。随分とおめでたいよね。浮かれて掃除どころじゃなかったんじゃなくて?」

彩花の行き過ぎた、当てつけのような嫌味に私は絶句してしまった。その様子に彩花は満足したのか、「次からはちゃんとして」と吐き捨て電話を切った。

静寂が広がる部屋。かつて仲の良かった従姉妹の姿がぼやけ、深い孤独を感じる。私と彩花の間の亀裂は、もう私の歩み寄りだけでは埋められないほど深いものになっていた。

🔴【続きを読む】手放せなかった優しさの行方|介護問題で親族と不仲になった話

あとがき:祖母の笑顔と、従姉妹との断絶

祖母の笑顔を見たあの日のぬくもりは、今も胸の奥で光る。けれど、その温もりの裏で、確かにひとつの絆が崩れていきました。「大切にしたい人たちが、互いを傷つけてしまう」──そんな現実の前で、美咲はただ立ち尽くすことしかできません。それでも、祖母が見せてくれた笑顔が、美咲にとっての“家族の原点”であることに変わりありません。壊れてもなお、心のどこかで誰かを想い続けること。それが、美咲に残された祈りのようでした。

※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています。

🔴【全話読む】介護問題で親族と不仲になった話

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