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「おばあちゃん、亡くなった」→祖母の死後、親族間で深まった確執の原因|介護問題で親族と不仲になった話

祖母が亡くなり、介護の日々が終わった。けれど、胸の奥には“やり残したこと”が重く沈んでいる。彩花との確執、母と叔母の関係、そして返ってこない介護資金。形の上では終わっても、心の中では何ひとつ片付いていなかった。『介護問題で親族と不仲になった話』をごらんください。

PIXTA

🔴【第1話から読む】母と祖母の通話で「怒鳴り声」→支えあうはずの祖母の介護が崩れていく|介護問題で親族と不仲になった話

祖母の衰弱が進むなか、婚約者の俊介からのプロポーズを報告し、束の間の笑顔を取り戻した家族。しかし従姉妹・彩花との関係は決定的に悪化し、祖母の最期にも立ち会えなかった──。

静かに冷えていく家族関係

チャット PIXTA

弱っていく祖母に、みんなで寄り添いたい──そんな私の願いとは裏腹に、私たちと叔母家族の関係は冷え込んでいた。以前まで楽しそうに叔母と長電話していた母の姿はなくなり、もはや怒声を上げることすらなくなった。

私と従姉妹の彩花の関係も同様で、通話の機会はめっきりなくなり、チャットのやりとりのみになっていた。その内容も良くて淡々とした文章、悪いとチクチクとした嫌味が織り交ぜられていた。

そんな家族間の不和を知る由もない祖母は、訪れる度に私たちと叔母家族への感謝や思い出話を話してくれる。そのことが逆に、それぞれの家族が祖母を思って行動しているのに、分かり合えていないことを突きつけているようで胸が痛かった。

介護資金と、募る違和感

通話 PIXTA

波風はないけど家族間の緊張状態が続く中、久しぶりに彩花からの着信があった。

「もしもし、美咲。ちょっと相談なんだけど」

「……うん、どうした?」

彩花からの相談は介護資金についてのことだった。彩花のお父さんの持病にかかる医療費がかさみ、翌月分の介護資金を出すのが難しいかもしれない――そんな相談だった。

「……そうなんだ。いくら足りないの?」

私は祖母に不自由な思いはさせまいと、それ以上は聞かずに足りない分の介護資金を補填した。その後も度々、何かにつけて彩花から介護資金不足の相談を受けた。私はモヤモヤが残るものの、祖母のためと思い切り、補填を申し出続けた。

届かなかった最期と、返らない想い

暗い PIXTA

介護を始めて3ヶ月が経とうとしたある日の夕方、彩花から1通のチャットが入った。

「おばあちゃん、亡くなった」

短い文面を読んだ瞬間、込み上げてきたのは深い喪失感と憤りだった。確執を埋めるための話し合いもできずに介護から足が遠のき、大好きだった祖母の最期に立ち会うこともできなかった。

祖母には気付かれてなかったかもしれない。けれど、叔母家族とギクシャクしたまま最期の時間を過ごしていたことに、私は今更申し訳なさを感じては強い後悔に苛まれた。

お葬式では親類や祖母の生前の知り合いがたくさん出席していて、それぞれが故人との思い出を和やかな雰囲気で話していた。私たちも参列し、祖母との思い出話をしていたが、介護を終えても叔母家族と交わることはなかった。和やかな場の雰囲気とは裏腹に、たまに合う視線は依然として冷たく、鋭いものだった。

祖母が亡くなって、しばらくが経った。喪失感に暮れる暇もなく進む日常に何とか食らいついて、やっと慣れ始めた頃だった。私はふと、祖母の介護費用を補填したことを思い出した。

自分から申し出て補填していたものの、そこそこの金額でもあったため、私は彩花に久しぶりに連絡した。

「彩花、久しぶり。少し、確認したいことがあって」

「うん。何?」

彩花の受け答えは依然として淡々としていて、温度を感じなかった。

「おばあちゃんの介護資金、何回か決めた配分より多くこっちで出したよね?今更だけど、そこそこの額だったし、返してもらえたりしないかな?」

私は遠慮しつつも返金のお願いをした。すると、スマホ越しに彩花の深いため息を吐く声が聞こえた。

「確かに補填してもらったけど、あれって美咲の意思で出してくれたんじゃなかったの?」

「えっ?」

「いやさ、あの時“足りなくなるかも”とは言ったけど、“貨してほしい”なんて言ってないよね?」

彩花から出る言葉は、私には屁理屈にしか聞こえませんでした。だけど、彩花は構わずあの時の補填は私の善意でしたこと、返済前提としては受け取っていなかったことを平然と話した。私は呆れ切ってしまい、話を流し聞くことしかできなかった。

結局、補填した介護資金の返済はなしとなり、通話は終わった。介護が始まって母と叔母が対立するまでは、気の合う従姉妹だと思っていた彩花。しかし今となっては、もはや赤の他人のように思えるほど、見る影もなかった。

それでも私は、あの頃の彩花や母と叔母の関係が、いつかまた戻ってくるんじゃないか――そんな淡い期待を、どうしても手放せずにいた。

🔴【続きを読む】祖母の四十九日と、もう一度笑えた日|介護問題で親族と不仲になった話

あとがき:すれ違いの先に残ったもの

祖母を想う気持ちは、誰もが同じだったはずなのに、立場や事情の違いが、美咲たちの心を少しずつ離していきました。善意で差し出したお金も、想いも、やがては誤解にすり替わり、何もかもが虚しくほどけていきました。
それでも、すれ違いの先に美咲に残ったのは、いつかの日のようにまた、仲良くなれることへの期待。喪失や失望を経ても、誰かを信じようとする美咲に心打たれるエピソードでした。

※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています。

🔴【全話読む】介護問題で親族と不仲になった話

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