夫と義姉を女手一つで育て上げた義母を心から尊敬していた主人公。そんな義母が、コロナ禍で仕事が減り、生活が苦しいと相談してきました。夫と義姉がそれぞれ援助することを決意。主人公もその決断を心から支持し、家族の絆を深めるための温かい援助が始まります。
恩返しで始めた援助のはずが…義母の「ある一言」が家族を壊した
私たち夫婦と義母の関係は、元々はとても良好でした。夫のタクヤは、義母が女手一つで自分と姉を育ててくれたことに、心から感謝し、尊敬していました。私も同じです。義母はパートで自分の生計を立てていて、ブランド品一つ持たずに質素に暮らしている姿を見て、本当に立派な人だなと思っていました。そんな義母が、コロナ禍でパートの仕事量が減り、生活が苦しいと相談してきたのは数年前のことでした。
「タクヤ、ごめんね。最近、仕事が減ってしまって、生活が少し厳しくてね…」
夫は、その言葉を聞いて、すぐに姉に連絡を取りました。夫も義姉も、義母が苦労している姿をこれ以上見たくない、という思いでいっぱいだったのでしょう。
夫 「姉ちゃん、母さんが仕事減って大変みたいなんだ。二人で少し援助してあげないか?」
義姉 「そうだね。私もそうしようと思ってた。毎月数万円ずつ、二人で出そうか」
夫と義姉が相談し、それぞれ数万円を義母に援助することになったんです。私も、その決断を心から支持しました。だって、義母は私たちにとって大切な家族。シングルマザーとして苦労してきた義母を、私たちは何とか支えてあげたかったんです。
「一生懸命働く」義母を信じていたのに…“善意の援助”が招いた悲劇の始まり
義母は最初、本当に申し訳なさそうな顔をして、でも心から感謝を見せてくれました。
「ありがとうね。本当に助かるわ。こんな年になっても、子どもに迷惑をかけるなんて…」
その言葉を聞いて、私は「迷惑なんかじゃないですよ」と義母の手を握りました。私は自分の家族が大好きなので、一人暮らしでお金に苦しんでいる義母を、ほっとけないと思っていました。
その後、義母は新しいパートを見つけて、以前より収入は下がったけれど、一生懸命働いているようでした。
「新しい職場、大変だけど、皆さんに優しくしてもらってね」
義母からのそんな話を聞くたびに、私たちは本当に嬉しかったです。私たちの援助は、あくまで義母が自立するまでの支え。だからこそ、義母が前向きに頑張っている姿を見るのは、何よりの喜びでした。
しかし、この温かい関係が、次第に歪んでいくことになるなんて、この時の私は知る由もありませんでした。
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恩返しで始めた援助のはずが…義母の「ある一言」が家族を壊した
夫と義姉が、女手一つで育ててくれた義母への感謝と尊敬の念から、温かい金銭的援助を始める物語の序章です。義母の苦労を知っているからこその、純粋な親切心が描かれています。しかし、その優しさが、後に義母の甘えを引き起こすきっかけとなる可能性を秘めていることが示唆され、物語の不穏な展開を予感させます。










