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さゆりは、子どもたちの前での優しい父親の姿を思い出し、離婚を拒否。「もう二度としない」という正勝の言葉を信じることに。しかし彼は、愛人との「区切り」をつけるため、1か月の猶予を要求。さゆりは不信感を抱きながらも、最後の猶予を与えてしまい…。
相手は風俗嬢…
「風俗で知り合ったってことは、お客さんとしてだけ付き合ってたってこと?」
「そう、だから個人的な連絡先は知らないし、続けるつもりなんてなかったんだよ」
私はこのとき、まだ正勝を信じたい思いでいました。昔働いていた職場の同僚との会話でも「プロ相手に遊んでるだけなら許す」という人がいた記憶もあり、私もそう思えば楽になれるような気さえしていました。
なんとか家族としての形を保ちたい、その一心だったのかもしれません。
子どもたちにとってはいい父親
でも、正勝が長女のみちるを抱き上げるとき、次女のみゆに絵本を読んであげるときの、あの優しい眼差しを思い出すと、どうしても「離婚」という言葉を口に出せませんでした。子どもたちの前では、彼は本当に最高の父親なんです。
「離婚はしたくない。お願いだから、もう二度としないでね」
私のその言葉に、正勝は一瞬ホッとしたような、安堵の表情を見せました。
「ありがとう、さゆり。もう二度としない。誓うよ」
正勝は私の手を取りました。しかし、すぐに彼はまた目を泳がせ、続けました。
「ただ、一つだけ頼みがあって…」
その頼みは、私には到底理解できないものでした。
謎の猶予期間の提案
「彼女とは関係を切るつもり。でも、相手にもちょっとワケがあって急に切るのは気が引けて…。必ず別れるから、区切りをつけるのに、1か月だけ待ってくれないか?家族が大事だからとはっきり言って、以降は絶対に会わないし連絡も取らないから」
風俗嬢と別れるのに1か月も必要?単にお店に行かず、連絡を取らずにしたらいいんじゃないの?私には理解できませんでした。しかし、ここで彼の要望をのまずに戦う気力はもうありませんでした。真夜中ですし、明日も育児も家事も続くし、もう疲れてしまったのです。
「わかった。絶対に整理して」
「約束するよ」
その日から、正勝は相変わらず子どもたちと遊び、何事もなかったかのようにふるまいました。しかし、私の心には黒い塊が居座り続け、時折、彼が子どもたちに触れるのを見るだけで、言いようのない嫌悪感を覚えるようになっていました。
彼の優しい笑顔も、全てが嘘に見えてしまう。もう私は、彼を心から信じられないのかもしれません―――。
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あとがき:一か月という名の『猶予』
さゆりの「離婚したくない」という言葉は、正勝にとって都合の良い「許し」として受け止められてしまいました。その後の正勝の安堵の表情と、「一か月の猶予」を求める身勝手な要求は、彼がさゆりの傷にどれほど無関心かを物語っています。この一か月は、さゆりにとっては苦痛を長引かせる期間であり、正勝にとっては最後の悪あがきをするための時間でした。彼を信じたい気持ちと、日に日に増す嫌悪感の間で揺れるさゆりの心は、もはや修復不可能なくらいに深く傷ついています。この時点で、夫婦の絆はほぼ破綻していたと言えるでしょう。










