育休中の里美(31歳)は、夫・壮太(32歳)から突然の退職と独立を告げられる。楽観的で無責任な夫は、里美の反対を無視し、なんと1000万円を借りて会社を設立。里美は絶望的な不安にさいなまれます。
突然、夫が会社をやめた
私、里美。31歳。長男・りゅうが4歳、次男・けんが1歳です。今、私が立っているのは、人生の大きな岐路。本来なら、次男の育児休業中で、家族の穏やかな時間を過ごしているはずでした。でも、去年の春、私の日常は音を立てて崩れ始めました。
夫の壮太は32歳。彼は私より1つ年上ですが、そうとは思えないほど根っからのお調子者でした。その楽観的な性格は、結婚当初は「一緒にいて楽しい人」と映ったけれど、蓋を開けてみれば、ただ子どもっぽい人だったんです。
自分宛の封書すら開けず、さまざまな料金を延滞するほど無責任な大人。お金の管理は論外でした。そんな壮太が、去年の3月、けんがまだ生後間もないころに、驚くべき行動に出たのです。
「里美、悪いんだけどさ、会社辞めてきた」
その声を聞いた瞬間、私の心臓は凍り付くほどのダメージでした。
夫が起業を決意するが…
「……は?今、なんて?」
「だから、会社辞めた。ちょっと会社とトラブってさ。俺にも非はあったんだけど、あまりに腹立つこと言われたから辞表叩きつけてやった」
私は耳を疑いました。そのとき私は産後まもない育休中で、わが家の収入は激減しています。目の前にいるのは、無収入になった夫。頭が真っ白になるなんて、比喩じゃありません。
「えっ、それでどうするの?これから。私はまだ働けない状況だし…どうやって生活するつもり?」
「心配すんなって。俺、独立するよ。前からやりたかった仕事があるからさ。お前も社長夫人ってわけ!」
翌月の4月。彼はもう、私の言葉を聞いていませんでした。
「会社をやりたいのはわかったから、生活に余裕があるタイミングに考え直してほしい」
何度も、何度も、声を大にして訴えました。この子たちの生活を守るために。でも、彼にとって私の警告は雑音でしかなかったようです。
壮太は銀行で融資を受け、倉庫を借りたと胸を張りました。自己管理ができない夫が会社を経営するなんて、絶対に無理なのに…。
お金の管理ができない夫に不安しかない
彼の背中を押したのは、一緒に事業をやると言ってきた友人2人と、銀行からの借入金1000万円です。
いっせんまんえん。その金額を聞いたとき、私はもう何も言えませんでした。まるでゲームのポイントのように、壮太にとっては現実味のない数字だったのでしょう。そんな大金を借りた責任感は、彼の言動からは一切感じられませんでした。
その大金がどう使われてしまうのか、考えるだけで吐き気がしました。この不安が、まさかあれほど現実を伴って私を追い詰めることになるなんて、この時の私は知る由もなかったのです―――。
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あとがき:無責任な大人と、凍りついた心臓
新しい命を迎えたばかりの春に、夫の無責任な行動で人生が崩壊し始める導入でした。壮太の「会社辞めてきたわ」という言葉は、里美さんの心臓を凍らせます。
お金の管理ができない夫が1000万円を借り入れるという事態は「地雷が爆発する予感」しかありません。この時点での里美さんの訴えを「雑音」として処理する壮太の姿勢に、夫婦としての破綻が見て取れます。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










