🔴【第1話から読む】「俺にも非はあったけど、辞表叩きつけた」育休中に仕事辞めた夫|1400万円借金夫と離婚した話
壮太は妻の意見をシャットアウトし、里美が会社の状況を尋ねても「事業はトントン」と答えるばかり。半年後、彼は里美に30万円を無心。里美が問い詰めると、壮太は借り入れた1000万円が半年で跡形もなく消えたという恐ろしい事実を白状します。
私の苦言には耳を貸さない夫
壮太は、自分の会社を設立しただけで妙に自信満々でした。しかし、その根拠のない自信は、私の心に深く沈んだ不安を晴らしてはくれません。
「友達2人と勝手に決めて、勝手に借り入れして…あなた、私の意見を1つでも聞いた?」
私がそう問い詰めても、壮太は開き直るばかり。
「うるさいな。これはビジネスなんだよ。里美には経営なんてわからないだろ?」
彼はそう言って、私をシャットアウトしました。借り入れた1000万円は、彼の「夢」という名の、底の抜けたバケツに無造作に放り込まれたのです。
「トントン」が決まり文句
私は、せめてもの抵抗として、彼の会社の状況を探るしかありませんでした。
「ねえ、会社どう?売上とか収支はどうなの?」
育児の合間、けんを抱っこしながら尋ねると、壮太はいつも不機嫌な顔をして、ソファに寝転んだまま、スマホから目を離さずに答えました。
「まあ、トントンかな」
それが彼の決まり文句でした。収入と支出が同額、つまり利益ゼロ。でも、1000万円も借りておいて、半年近く経って利益ゼロでどうするの?不安は募るばかりです。
「トントンって、具体的に何がどうトントンなの?借りたお金が減ってるんじゃないの?」
「まだ始めたばかりだから、そんなもんだろ?しつこく聞くなよ」
問い詰めると、彼はすぐに不機嫌になり、逆ギレして会話を終わらせようとします。彼は、常に私と向き合うことから逃げ続けていたのです。そういう面を見るたびに、彼の子どもな部分にモヤッとしていました。
思った以上にひどい経営状況
季節は移り、12月になりました。クリスマス、そして年末を目前に控えたある日の夕食時。壮太が突然、妙に落ち着いた声で話しかけてきました。
「あのさ、里美にちょっと相談が……というか、お願いがあるんだけど」
壮太がこんな改まった言い方をするときは、ろくなことがありません。私はすぐに身構えました。
「なに?」
「お客さんからの入金が少し遅れててさ。新しい仕事を受けるのに、どうしても機材が必要なんだ。悪いんだけど、30万円だけ貸してくれない?」
30万円貸してですって?私は思わず立ち上がりました。
「待ってよ、壮太。借り入れした1000万円は、どこに消えたの?たった半年で?」
壮太は慌てて目を泳がせました。
「それは……機材とか、倉庫の改装費とかさ、初期費用がずいぶんかかったから…」
頭が真っ白になりました。この半年間、彼は私にトントンだと言い続けていました。でも、実際は「1000万円が跡形もなく消えた」という、想像を絶する現実を隠していたのです。
「機材をそろえたら無くなった?その機材の領収書と、1000万円の使途明細はあるの?」
私の声は震えていたけれど、壮太の目を見据えました。彼はうつむき、何も答えられませんでした。その沈黙が、彼の嘘を、そしてこの先の破滅を予告しているようでした。壮太は、もう私を巻き込んで、奈落の底へ落ちることを決めているようでした―――。
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あとがき:「トントン」が隠した底なしの現実
根拠のない自信を持つ夫の、典型的な「逃げの姿勢」が描かれた一話です。壮太が口にする「トントン」という言葉が、実は1000万円の消失という想像を絶する現実を隠すための常套句だったことに、里美さんの衝撃と怒りが伝わってきます。
問い詰めて逆ギレする姿勢は、まさに自分の行動に責任を持てない「子ども」そのもの。この瞬間に、里美さんは「夫の破滅に巻き込まれる」という危機感を確信したことでしょう。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










