🔴【第1話から読む】「奥さんとは上手くいってないって」優等生の友人が既婚者と“怪しい関係”に|人の夫を奪う友人
店に乗り込んできた高橋の妻に慰謝料を請求されてしまった由香。泣き崩れる由香に、「これが現実だよ」と千夏は厳しい言葉をかけ、彼女の反省を願いました。
姿を消した由香
あの夜を境に、由香は姿を消しました。心配と同時に、どこかで少し距離を置く時間が必要なのだと感じていました。きっと今は、何を言っても届かない。そんな気がしていました。
しばらくしてようやく届いた短いメッセージには、「弁護士に相談した」「お金は払う」とだけ書かれていました。責任を引き受ける決意のような重さが、たった数行の文字に滲んでいました。
それから半年が経ち、私は駅前のカフェで久しぶりに由香と再会しました。以前の華やかさは嘘のように落ち着いていましたが、その姿に枯れた印象はありませんでした。むしろ、どこか透き通るような美しさを感じました。
由香「慰謝料、全部払ったよ。貯金はなくなったけど、それでよかったと思ってる」
私「……大変だったね」
由香「自業自得だよ」
苦笑しながらコーヒーカップを見つめる由香の目には、もう焦りや虚勢はありませんでした。
由香「私ね、あの店で”誰かに求められる自分”を探してたんだと思う。仕事でも家族でもない、どこかで必要とされていたくて」
私「居場所を探してたのね」
由香「うん。でもね、あれは居場所じゃなくて、逃げ場所だった」
その言葉に、私は胸が締め付けられました。
反省と再生
由香「奥さんが店に来た日、千夏が言った『これが現実だよ』って言葉、すごく怖かった。でも、あれでやっと目が覚めたの」
私「怖かった?」
由香「あの瞬間、自分のしたことの重さを初めてちゃんと感じた。誰かを傷つけてまで幸せになんてなれないよね」
私「由香……」
由香「でもね、あの一言がなかったら、今もどこかで同じことをしてたと思う。本当に、ありがとう」
その言葉を聞いて、私は小さく息を吐きました。
私「あの時は冷たくしちゃったと思う。優しくなんてできなかった」
由香「いいの。優しくされたら、たぶん私はまた逃げてた」
二人の間に、ようやく柔らかい空気が流れました。
私「今はどうしてるの?」
由香「もう夜の店には行ってないよ。ママにも、『自分を楽しむのはいいけど、誰かを犠牲にしちゃいけない』って言われた」
私「ママ、名言だね」
由香「でしょ?ちょっと遅いけどね」
私たちは小さく笑いました。ここには以前のような虚勢も、張り詰めた気配もありませんでした。店を出ると、夕暮れの風が少し冷たく頬を撫でました。一人で駅へ向かう由香の背中は、もう逃げていたころの由香ではありませんでした。
人は誰でも、寂しさの穴を埋めようとする。でも、埋め方を間違えると、自分まで壊れてしまう。由香は、そのことをようやく理解したのだと思います。人は間違えても、やり直せる。
そして私もまた、誰かの寂しさに寄り添える大人でありたいと、静かに心の中で誓いました。
🔴【第1話から読む】「奥さんとは上手くいってないって」優等生の友人が既婚者と“怪しい関係”に|人の夫を奪う友人
あとがき:痛みを伴う友情
友情とは、いつも優しいものばかりではありません。あの夜の言葉が由香の人生を変えたように、ときに厳しい言葉が、相手を救うこともあります。誰かを思う気持ちは、痛みを伴っても、きっと届くのだと信じたいですね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










