🔴【第1話から読む】「ご祝儀で返すから」弟夫婦への不安な貸し出し
義妹は「親が返さなくていいと言った」「片方にだけ返すのは不公平だ」と返済を拒否。美雪は困惑しながらも父へ相談。父は義妹の父へ連絡し、誤解と理不尽を正す協力を依頼。ついに弟から謝罪の電話が入り、状況が急変する――。
父の一手、事態は急展開
貸したお金が返済されないことについて両親に相談した翌日、弟から電話がかかってきた。電話に出ると、弟は慌てた様子で話し始めた。
「あっ、姉ちゃん?返せてなかった結婚式のお金なんだけど、返せそうだから、その……どうやって払えばいいかな?」
電話口の弟の慌てた口調には、心からの申し訳なさに後悔、そして恐れが混じっているように感じた。
「返してくれるのはうれしいけど…そんなに慌ててどうしたの?」
私は落ち着いて弟にたずねる。
「愛梨の両親から『貸したお金は返さなくてもいい』って言われてたのが、急に取り消されてさ……」
「取り消された?」
「そう……『親族から無心するような真似して恥ずかしい』って、電話口で怒鳴られて……」
当時の状況を思い出しながら話したのか、説明する弟の声は次第にか細くなっていき、最後には泣き出しそうな様子だった。
「大変だったんだね。でもまあ、愛梨さんのお父さんの言うことはもっともだと思うけどね…」
私は敢えて、嫌味っぽく弟にそう告げた。
「……本当に、ごめんなさい」
後悔と申し訳なさが滲む弟のその言葉に、私は心が晴れる感覚がした。その後、義妹からも電話とメッセージでていねいな謝罪があった。ここまで事態が急転したのには、父の働きがあったのだ。
義家族との絆が生んだ救済
私が貸したお金が返ってきていない現状を相談した直後、父は早速行動に出た。父は1本の電話をかけた。相手は愛梨さんの父親だった。
「あっ、どうも、健太の父です。お世話になってます〜。ちょっとご相談したいことがあって…」
フレンドリーな導入から父は、私が話したことを事実確認しながら義父に説明していった。話している雰囲気から、両家顔合わせで意気投合して以降も交流があったことを想像させた。
「……と言うわけなんです。なので、健太で構いませんので、うちの娘から借りたお金を返すよう伝えてくれませんか?厳しく言ってもらって結構ですので……えぇ、私からも伝えますので……えぇ、お手数おかけしますが、よろしくお願いします。では……」
「もしかして、愛梨さんのお父さん?」
「うん。顔合わせで気が合っちゃってさ。頻繁に連絡とってたから話しやすくて助かったよ」
義家族と意気投合したことが、まさかこんな形で活きることになるとは。そんな驚きを感じつつ、父の行動力と義父の協力によって、私は諦めていたお金を取り戻すこととなった。
失った分だけ、学ぶものがある
その後、弟夫婦は派手なハネムーンをキャンセルして両家から借りていたお金を返済。借金を返したらわずかな費用しか残らなかったようで「きちんと自分たちでお金を貯めてから、改めてハネムーンに行きます」とのことだった。
弟夫婦も若気の至りだっただろうけど、魔が差した結果、強烈なしっぺ返しがあって色々学んだこともあったはず。自分たちで蒔いた種とはいえ、今は大変だろうけど、いつか笑い話にできるほどの素敵な結婚生活を送ってほしいと、私は密かに思っている。
あとがき:祝福が続いていくように
祝い事に絡むお金のトラブルほど、心を消耗させるものはありません。返ってこなかったら……と疑うたびに、信じたかった家族への不信感が胸を刺します。
でも今回は、父の勇気ある一手で誤りが正され、関係を壊さずに前へ進むことができました。弟夫婦は遠回りをした分、これからの人生に必要な学びを得たはず。いつかこの出来事を笑い話にできる未来を願いたくなる結末でした。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










